表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第一章私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?
4/75

1-3お兄ちゃん、誰その女性!?

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説! 


お兄ちゃんの浮気者ぉっ!!(由紀恵談)


 今日はいよいよ待ちに待った桜川東高校の見学日。


 マイクロバスに十数人が乗り込みいざ出発。

 と言っても桜東は私の家の反対方向に有るのでそれほど遠くない。

 バスに乗っても十五分くらいで着いてしまった。



 公立桜川東高校。


 共学で特に何か有る訳でもない普通高校。


 ただ公務員試験に合格する人が多いと言われているのでそっち方面ではそこそこ人気があるらしい。

 勿論進学も考えられている普通高校なので大学や短大、専門学校に進学する人もいる。


 バスが着いたそこはいかにも地方の高校っぽさが際立っていた。


 

 「由紀恵ちゃん、ここって周り田んぼだねぇ~。流石に隣の市との境目、何にもないねぇ~。でも静かで私は好きだなぁ~」


 ゆる~い感じで紫乃は周りを見ている。

 確かにここに来るまでにコンビニも一つしかないし、周りは田んぼだらけ。

 他の桜川北高や桜川西高、そして桜川南高に対しても一番田舎と言われることは有る。


 でも私にしてみればそんな事は些細な事。

 ここには私のお兄ちゃんがいるのだ!



 今は二年生は授業中のはず。

 どの辺にいるのかなぁ~?


 私はそわそわしながら校舎を見る。

 すると引率の先生がみんなを呼ぶ。



 「みんなこちらに集まってくれ。今日は桜川東高校を案内してくれる笹川教頭先生だ。挨拶を」



 「「「「こんにちわ~」」」」



 「はい、こんにちわ皆さん。今日は桜川東高校の見学と言う事で私が皆さんを案内します」


 年の頃五十過ぎの女性の教頭先生はびしっとしたスーツ姿でにこやかに話しかけてきた。

 いかにも教員ですと言った感じで私たちを見渡している。


 そして桜川東高校について話し始める。


 「皆さんも知っての通りこの市には東西南北に四つ高校が有ります。それぞれ工業、商業、農産業そしてわが校の様に普通高校となっていてます。わが校では標準的な事を教え~」


 お決まりのセリフなのだろう。

 長々と聞いていると眠くなるような話を我慢して聞く。

 私としては早い所お兄ちゃんの様子を見てみたいのだけど。


 「それでは校内の案内を始めますね。皆さんついて来てください」


 笹川教頭先生にそう言われ校内の案内をしてもらう。

 前にも一度学園祭で来たことが有るので大体は見て知っているけどやっぱり普通の高校で特に変わったことはない。


 と、チャイムが鳴り授業の終了を告げる。



 私たちが体育館から校舎の中庭に差し掛かる頃上の階から声が聞こえてきた。



 「おお、学校見学だ! へぇ、可愛い子もいるじゃん!」


 「あ、ほんとだ、あの黒髪の長い子なんて奇麗ね? ね、長澤君もそう思わない?」


 「へ?」



 最後に聞いた事のある声がする。

 声のした方を見上げるとお兄ちゃんがいた!


 しかし!!!?


 窓際に腕をひかれて立っているのは間違いなく私のお兄ちゃん。

 問題はその腕をひぱってるのが見知らぬ女!?

 

 し、しかもお兄ちゃんの上腕を引っ張る気安さ!?

 むやみに大きそうな胸がお兄ちゃんの腕に当たりそう!!!?



 「なななななななっ!!」



 「おや、どうかしましたか? 次は各実習室なのですけど?」


 「す、すみません! 急にお手洗いに行きたくなりました。すぐに追いつくので先に行っていてください!! それでは失礼します!!」


 私はそう言って笹川教頭先生の回答も待たずにすぐさま向こうの校舎に駆け込む。

 そして階段を駆け上り目的の教室にたどり着く。


 私の制服を見て休息時間を廊下などで談話している生徒が驚いているけどそんな事はどうだっていい!



 ガラっ!



 勢いよく教室の扉を引き開ける。

 一斉にこちらに視線が注目されるけどそん事もどうでもいい。


 さっと教室内を見渡すとまだ窓際にお兄ちゃんの腕を取ったあの女が二人して窓の外を見ていた。



 「ななななななっ! 私はお兄ちゃんをそん子に育てた覚えはないよ!?」



 ざわざわざわっ!



 プルプル震える私の指先にはゆっくりとこちらを振り返るお兄ちゃんとあの女。

 お兄ちゃんは私の姿を見て大いに驚いているけど隣にいる女はきょとんとしている。


 私はずかずかとお兄ちゃんのそばまで行ってその女からお兄ちゃんの腕をむしり取り抱き着く。



 「どこのどなたか存じませんが不純異性交遊はうちの兄には不要です。お引き取りください!!」



 とたんに部屋中が騒がしくなる。



 「おい、長澤! 誰だよそのかわいい子!? 中学生?」


 「な、長澤君の妹さん? 可愛い!」


 「なになに、ブラコン!? 可愛いわねぇ妹さん!」



 とたんに周りに人が集まってくる。

 そして今までお兄ちゃんの腕を取っていたあの女も。


 「あー、長澤君の妹さんなんだ。凄い美人だと思ってせっかく長澤君呼んだのにね。長澤君、残念だったねぇ~」



 何この人!?

 随分とお兄ちゃんになれなれしい!?



 私はお兄ちゃんを見上げる。


 お兄ちゃんは頭の後ろをポリポリと掻きながら私を見て言う。


 「まさか由紀恵が学校見学に来ているとは知らなかったよ、驚いた。で、何時俺が由紀恵に育てられたんだよ?」


 「それは言葉のあやです! だって、この人と腕組んでいたじゃないの! だめです! そんな不潔な事!!」


 「おーおー、長澤君妹さんに愛されてるねぇ~。大丈夫、別に長澤君を取ったりはしないよ。えーと‥‥‥」


 「長澤由紀恵です。来年この桜川東を受験する者です!」


 「うん、分かった。頑張ってこの高校に来てね。私は高橋静恵たかはししずえ。長澤君の友人だよ」


 そう言ってあの女、高橋静恵と名乗った女性はニカっと笑った。


 

 むう、彼女では無いのね?


 

 私は彼女、高橋静恵を睨みながらお兄ちゃんの腕を更にぎゅっと抱きしめる。

 

 「なあ、由紀恵。そろそろ放してくれないか? みんなが見ているんだが‥‥‥」


 「いいじゃないですか! お兄ちゃんが不純異性交遊するよりは!!」


 「いや、不純異性交遊って‥‥‥、高橋とは別に何も無いよ?」


 私はキッとなってお兄ちゃんを見る。

 だってまんざらじゃなさそうな顔しているから。



「おいおい、友也。お前にそんな可愛い妹いたのかよ!? 紹介してくれ!」


 何この人?

 ずいぶんとお兄ちゃんになれなれしいけど?


 「剛志、紹介って言われてもなぁ‥‥‥」


 「俺、太田剛志おおたつよし、友也の親友だ。よろしくな、えーと由紀恵ちゃんで良かったっけ?」


 「お兄ちゃんの親友? 良いでしょう、お兄ちゃんの学校での情報と引き換えです!」


 「おいおい、由紀恵‥‥‥」



 キーンコーンカーンコーン



 私たちが話し込んでいると次の授業が始まる合図が有った。



 ガラっ。



 「どうしたんだお前たち、次の授業が始まるぞ‥‥‥ って、誰だその子は?」


 どうやら次の授業の先生が来たようだ。

 ざわつく教室が一斉に席に着くために動き出す。

 

 「せんせい~、長澤君の彼女でぇ~す!」

 

 何処かの誰かが茶化すけどむしろそれは本望よ!

 

 「ふざけてるんじゃない、君、学校見学の子? もしかして迷ったのかい?」


 「い、いえ、兄にちょっと用事が‥‥‥」


 「兄? もしかして長澤、お前の妹さんか?」


 まだ私と一緒に席に戻らないで立っているお兄ちゃんは先生に答える。


 「ああ、はい、そうです。由紀恵、学校見学に戻りなよ」

 

 「うう、わ、分かったわよ。でもお兄ちゃん、浮気はだめだからね!」


 「なんだそりゃ!?」


 どっと教室全部から笑われる。

 

 「まあ何でもいい、とにかく長澤お前は席に着け。えーと、君は‥‥‥」


 「あ、長澤由紀恵です。来年この桜川東高校を受験します」


 その先生は笑ってから私にこう言った。


 「うん、それじゃあ長澤由紀恵さん、学校見学に戻って。うちの生徒になれるよう頑張ってください」


 そう言って私に見学に戻るよう言う。


 教室を出るまで室内にはお兄ちゃんを茶化す声がしていたけどあの女、高橋静恵がお兄ちゃんを庇護して騒ぎは収まる。

 


 むう、やっぱりあの女要注意ね!?



 私は渋々学校見学に戻るのであった。



 * * *



 「由紀恵ちゃんどこ行ってたの~? なかなか戻ってこないから心配しちゃったよぉ」


 「紫乃、今後お兄ちゃんに近づくあの女を駆除するのに手を貸してね!」


 「はぇ? 友ちゃんに女の人? ええっ!? まさか友ちゃん彼女出来たの!?」


 「違うわよ! でも危険な女よ、あの胸はお兄ちゃんをたぶらかすわ!」


 「うーん、由紀恵ちゃんいろいろ凄いけど胸だけは私よりちっちゃいもんねぇ~」


 「しぃのぉっ!!」



 学校に戻るバスの中で私は紫乃のほっぺをムニムニと引っ張るのだった。



評価、ブックマーク、ご意見、ご感想いただけますと励みになります。

誤字、脱字ありましたらご指摘いただけますようお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ