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私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第五章お兄ちゃんは知っちゃいけないよ!?
28/75

5-2対策の対策?

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説!


ま、負けないんだからねぇっ!(由紀恵談)


 「へぇ、ここが由紀恵ちゃんのお部屋かぁ」


 「どうぞこちらに座って下さい」



 私は高橋静恵を私の部屋に招き入れ用意していたテーブルに座らせる。

 自分から言い出した事とは言えまさかこうも容易く高橋静恵を我が牙城に引き入れるとは!!



 「えへへぇ~、高橋さん今日はお願いしますねぇ~」


 「はいはい、私で良ければいくらでも教えてあげるよ? 由紀恵ちゃんがここを提供してくれれば」



 ぐっ!

 こいつわざとか?

 わざとなのか!?



 「ん~それじゃ始めよっか?」


 高橋静恵はそう言って紫乃に勉強を教え始めたのだった。



 * * *



 「ところでさ、由紀恵ちゃんのお兄さんなんだけど‥‥‥」


 「はい?」


 私たちは次の模擬試験に向けて問題を解いている。

 しかし高橋静恵はいきなりお兄ちゃんについて振って来た。



 「私、やっぱり長澤君の事好きなのよ。由紀恵ちゃん協力してくれない?」



 「ぶっ!!」


 「ええっ! 高橋さん友ちゃんのこと好きだったんですかぁ!?」



 いきなり高橋静恵は真っ向から宣戦布告をしてきた。



 「由紀恵ちゃんがお兄さんの事好きなのはわかってるけど、私は由紀恵ちゃんも嫌いじゃないの。だからこそこそしないで真っ向から由紀恵ちゃんには話がしたくてね」



 「なななななっ! お兄ちゃんは私のです! 誰にもあげません!!」




 私は慌ててそう言うものの高橋静恵は動じず真っ向からこちらを見る。



 「兄妹としてお兄さんが好きなのはよく分かるわ。でもね、私は一人の女として長澤君の事が好きなの」



 ガーン!!



 高橋静恵のその一言は至極まっとうな正論で私がどうしても超えられない壁を易々と超えてしまう一言だった。



 「勿論矢島さんも泉さんも長澤君の事は好きよ。私はあの二人にも真っ向から言うつもり。だけどもし長澤君が私を選んでくれても妹の由紀恵ちゃんと仲が悪くなるのは嫌なのよ」



 ―― 友ちゃんが私を選んでくれないとこの話は始まらないからね ――


 恵姉の言葉がふいに蘇る。





 「‥‥‥だめ、やだぁ、お兄ちゃんがとられちゃう」




 「えっ? 由紀恵ちゃん!?」


 気付くと私はぽろぽろと涙を流していた。



 「わわわっ! 由紀恵ちゃん何処か痛いの!?」



 紫乃が慌ててティッシュを取って私の涙を拭く。




 痛いわよ! 


 ものすごく心が痛いわよ!!




 分かってはいる。

 兄妹では恋愛は出来ない。



 どんなに大切な人でも。



 どんなに大好きな人でも。



 どんなに私を守ってくれても。




 私は「妹」という鎖から決して解き放たれる事は無い。




 「うーん、泣かせるつもりは無かったんだけどなぁ。ちょっと強く言い過ぎたかな? でもね由紀恵ちゃん、私も本気なんだよ?」



 ちーん。

 

 私は鼻水をかみながら高橋静恵を見る。

 でも何も言えない。



 「嫌われちゃったかな? でも裏でこそこそしてある日突然長澤君の彼女ですって言うのも嫌でしょ? だから今ここではっきりと言っておくわね。由紀恵ちゃん、私は長澤君の事が好きよ」



 正々堂々とそう言われ私は更に言葉を失う。



 でも‥‥‥

 それでも‥‥‥



 「‥‥‥それでも私はお兄ちゃんが好き」



 「うん、、今はそれでいいよ。ただ、私も容赦しないからね?」


 高橋静恵はそう言ってにっこりと笑う。



 まさか正面切って勝負に出られるとは思いもしなかった。


 

 でも私だってお兄ちゃんが好き。

 だからまだ引きつく笑いを顔に張り付けて私も真っ向から勝負してやる! 



 「お兄ちゃんの貞操は私が守ります!!」 

 

  

 そう宣言する私に高橋静恵はもう一度にっこりとほほ笑むのだった。


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