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私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第五章お兄ちゃんは知っちゃいけないよ!?
27/75

5-1模擬試験対策

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説!


来たか! ガタッ!(由紀恵談)


 秋が深まる頃私たち三年生はいよいよ受験勉強の本番とでもいう模擬試験が始まった。



 「なんで中間や期末テスト以外に試験しなきゃいけないのかなぁ~」


 「紫乃、それ本気で言っているの?」



 今度の土曜日が模擬試験日になる。

 私は紫乃に苦手科目を教えながらその答えを見る。



 「またここ間違っている! 何度言ったら分かるの? こっちに代入してからじゃなきゃ計算しちゃだめじゃない!」


 「うえぇ~ん、由紀恵ちゃん怖いぃ~!!」



 むう、人がこんなに真剣に教えていると言うのに。

 紫乃は涙目になりながら苦手な数学の問題をやり直している。



 「うう、高橋さんに教えてもらいたぁ~いぃっ!」



 あっ! 

 この紫乃のくせに裏切るか!?



 いや、しかしこのまま紫乃を高橋静恵にくっつかせれば一人はお兄ちゃんから遠ざけるか!?



 「紫乃、それじゃ早速高橋さんに連絡よ! 高橋さんにびったりとくっついてお兄ちゃんからあのおっぱいを引き離すのよ!!」


 私はスマホを取り出し高橋静恵に早速連絡のメールを入れる。


 「でも高橋さん忙しいんじゃないの?」

 

 「大丈夫、もっと忙しくさせてやるから!」


 「??」


 紫乃は首をかしげている。

 そう、お兄ちゃんにまとわりつけなくなる位に忙しくね!!




 私は残り二人の排除について考える。




 矢島紗江。


 彼女はお兄ちゃんの後輩でバスケ部のマネージャー。

 バスケ部はお遊びだって言っているけどそこそこ本格的にやっている。

 でも強いかと言うとそう言う訳では無いらしくインターハイとかは夢のまた夢。


 なので愛好会に毛が生えて程度だとお兄ちゃんは言っていた。


 しかしそこのマネージャーかつお兄ちゃん狙いともなれば話は変わってくる。


 「接点は部活くらいか‥‥‥ しかしこの夏休みからやたらとお兄ちゃんに接近してくるしなぁ」




 そしてもう一人、泉かなめ。


 三人の中で一番分かり辛いのが彼女だ。


 昨年の裏方ミスコンの優勝者。

 密かに行われていたという男子人気投票の堂々一位らしい。


 確かにあの美貌とスタイルは「完璧」ではないかと思わせる。

 しかし反面性格は超奥手、自信の無さからかいつも物陰に隠れていると言う引っ込みがちな性格。



 しかしお兄ちゃんに対してだけは何故か頑張ってしまう。


 そしてなぜかお兄ちゃんも彼女に関しては特に優しい!!




 「実はこいつが一番危険かも‥‥‥」


 「由紀恵ちゃん、さっきから何ぶつぶつと言ってるの?」


  

 私が悩んでいるとメールの返信が届く。

 

 「なになに? 勉強を教えるのは大丈夫? ただ、場所が無いから私の家で勉強会ならいいよだって? ‥‥‥しまったぁっ! 逆に高橋静恵が家に来る口実を与えてしまったぁっ!!」



 私は頭を抱える。

 一番お兄ちゃんに近い人物が私の家にも来る口実を与えてしまった!!



 「くぅっ! 謀ったな高橋静恵ぇぇっ!!」


 「ほえ? 孔明の罠?」



 また紫乃が訳の分からない事を言っている。


 私は頭を抱えて今更断れない事を心底悔やんだのだった。



 * * * * *


 

 「ただいまぁ、高橋、上がって上がって」


 「うん、お邪魔しまぁ~す。えっと由紀恵ちゃんたちは?」


 「多分二階だろう。由紀恵の部屋に連れて行くな」


 

 下の階からお兄ちゃんたちの声が聞こえる。

 あたしと紫乃は慌てて下の階に向かう。

 

 見れば玄関で靴を脱いでいる二人。


 むう、完全に高橋静恵一人で来ている。

 下校もお兄ちゃんと一緒か‥‥‥



 くぅううぅっ! 

 うらやまけしからん!!


 きっとキャッキャうふふしながらお兄ちゃんと楽しく帰って来たんだ!




 私は震える拳を見られないように後ろに隠すのだった。


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