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私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第三章お兄ちゃんの面倒は私が見てます、私を通さないといけないよ!
20/75

3-13夏休みの終わり

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説!


むう、お兄ちゃんと一緒のはずだったのにぃ!(由紀恵談)


 「なんで!?」


 私はお兄ちゃんの部屋でわなわなと震えていた。



 お盆でおじちゃんの家でもの凄く怖い思いをした私はガクブルでお兄ちゃんにしがみついたまま自宅に帰って来ていた。


 そしてやっとその恐怖もお兄ちゃんの優しい介抱のおかげでやわらぎこうして普通に生活できるようになった。


 ただその間に恵姉と唯ちゃんのSNSでのお兄ちゃんへのアタックがもの凄く増えてたけどね。



 でもまあ、私が回復するまでお兄ちゃんが私に優しくしてくれたのは行幸だった。



 もう、お兄ちゃんたら!

 ものすごく優しくて私が数日寝込んでもちゃんを介抱してくれるんだもん♡


 その時の私は逆にあの幽霊さんに感謝するくらいだった。



 しかし今私の目の前にある光景は‥‥‥



 「あら由紀恵ちゃん、こんにちわ。もう大丈夫なの?」


 「こんにちわ、寝込んでたんだって?」


 「あ、あのこんにちわ。 これ、私の田舎のお土産‥‥‥」


 「ねぇねぇ、由紀恵ちゃん見てみて! ほら俺こんなに焼けたんだぜ!!」



 高橋静恵に矢島紗江、そして泉かなめと親友その一。

 何故お兄ちゃんの部屋に集まっている?



 「由紀恵、大丈夫か? 今日な、こいつら夏休みの課題後半戦からほとんどやっていないで慌てて家に来て勉強会だってんだ。俺は由紀恵のお陰でほとんど終わってるんだけな」



 お兄ちゃんは頬をポリポリと掻いている。



 いやそれ、間に合わないから答え写させてって事でしょ!?



 あたしは高橋静恵を睨む。

 するとこのおっぱいはあたしから視線を外す。


 おのれ!


 あたしは矢島紗江を見る。


 「八島さんは一年ですよね? お兄ちゃんの課題を写すわけにはいきませんよ?」


 「そこは由紀恵ちゃんにお願いして~」


 そう言ってお菓子の折り詰めを差し出してきた。


 「田舎の名物がしなんだって。ねねっ、由紀恵ちゃん助けて!!」


 高校生が中学三年生の私に賄賂を差し出し懇願とか‥‥‥

 私はため息をついてそれを受け取る。

 

 だってこのお菓子は北の大地で有名な白いチョコレートを薄いビスケットで挟んだとっても美味しいお菓子だからだ。


 初めて食べた時は「神かっ!?」とか驚いたものだ。


 以来レーズン入りのバターサンドと双を成す私の北の大地お気に入りお菓子であった。


 あ、ジャガイモのスティックはダメだったわね。



 「仕方ありませんね。矢島さんには私が、高橋さんと泉さんはお兄ちゃんの正面で勉強するなら許します。横はダメです!!」


 一応高橋静恵もお土産でブドウとか持ってきているけどそれはそれ、これはこれ。

 お兄ちゃんの横という特等席は譲れない。




 「ねぇねぇ、ほら、俺の日焼け具合がさぁ~」



 「「「「見せないでいいわよっ!!」」」」



 一斉に女子四人から突込みと座布団を食らう親友その一。


 「剛志、流石にそれは止めておいた方が良いぞ? セクハラになるぞ?」


 お兄ちゃんに言われ上半身裸で乳首だけ手で隠しているおぞましい姿の親友その一。

 お兄ちゃんが言い終わる前に私の鉄拳が親友その一の顔面に決まっていた。




 ぴんぽーん!

 

 玄関のチャイムが鳴った。

 そう言えば今日は紫乃と吉野君が私の様子を見に来るのだったっけ?


 私は玄関に二人を迎えに行く。


 「由紀恵ちゃん大丈夫~? 夏バテ?」


 「先輩、大丈夫なんですか? って、なんでこんなに靴が?」


 玄関先で二人とあいさつしながら私はいきさつを話した。



 * * *



 「結局こうなるのね‥‥‥」


 お兄ちゃんお部屋にはぎゅうぎゅうになっている私たち。


 いつもの光景が見て取れる。

 ただ、お兄ちゃんはこうなることを見越していた様で可能な限り部屋を広くしていて座布団も既に準備していた。



 「由紀恵、ちょっと狭いから俺のベッドで良いか?」


 「是が非でも!!」



 ああっ! 

 お兄ちゃんの匂いがするベッド!!

 もうそのままダイビングして枕とかくんかくんかしたいわよ!!



 「あ~由紀恵ちゃんいいなぁ、ベッドって広くて寝転がれ得るからいいよねぇ~」

 そう言って紫乃もお兄ちゃんおベッドに上がり込んでパタッと倒れる。


 「ちょっと! 紫乃っ! スカート、スカート!!」


 「ほえ? あっ!////」


 なんと白いワンピースを着ていた紫乃が倒れた瞬間スカートが捲れてクマのプリント柄のパンツが丸見えしてしまった。


 慌ててスカートを戻す紫乃だったけど、しっかりとお兄ちゃんと吉野君、それと親友その一に見られた。


 「うわぁ~~~~っ! 恥ずかしいぃっ! ////」


 真っ赤になっている紫乃。


 「おほっ! 眼福眼福!!」


 「剛志、やめろよ! 可哀そうだろ!!」


 「そうよ、太田君。流石にそれはダメよ」


 「太田先輩最っ低ぃー」


 「わ、私も引く‥‥‥」


 「/////」


 みんなに一斉に非難される親友その一。


 「あ、いや、この場の空気を和ませようとしたんだけど‥‥‥」



 「「「「「和んでないっ!!!!」」」」」


 

 このバカ死んでもダメね。

 それに対してお兄ちゃんは紫乃の頭をなでてよしよししている。

 紫乃は涙目で真っ赤になりながらもお兄ちゃんに慰められて少し元気になった様だ。



 って、頭なでなで?



 「あ”ぁぁーっ! お兄ちゃん!!」



 それずるい!

 だめよいくら紫乃でも!!


 私は紫乃をお兄ちゃんから引き離す。


 「お兄ちゃんはいいから、紫乃気をつけなさいよ!」


 「うん、でも友ちゃんに撫でられた~。えへへへへ~」



 うっ!

 こいつこんなにうれしそうに!!




 ちょっと焼きもちを焼きながらあたしたちは勉強会を続ける。

 

  

 * * *



 「そう言えば先輩、皆さん文化祭に呼ぶんですか?」


 「文化祭?」


 「ああ、そう言えば桃ノ木中って夏休み終わってすぐ文化祭だったな。由紀恵たちも何か出店やるの?」


 吉野君が不意にそんな事を聞いてくるので私は思わず聞き返してしまった。

 そこへお兄ちゃんが思い出したかのように付け加えて聞いてくる。


 「そう言えばまだ何やるか考えていないなぁ。学校始まったらクラスの方も早い所やらせなきゃだね」


 「由紀恵ちゃんがいればすぐ決まるよ~。ねぇ、友ちゃんも来る?」


 「そうだな、行くかな?」

 

 

 ああっ! 

 紫乃、私がお兄ちゃん誘おうとしたのに!


   

 「なになに、由紀恵ちゃんの中学の文化祭? 私も行っていい?」


 「面白そうですね、先輩、私も連れてってくださいよ~」


 「あ、私も‥‥‥」



 何それ!?

 高橋静恵も矢島紗江も泉かなめもお兄ちゃんに一斉に願いしている!?



 「あ、一般参加の土曜日だったら誰でもこれますよ? 皆さん普通に遊びに来てくださいね」



 吉野君、余計な情報を!!



 「じゃぁ、決まりだ! 由紀恵ちゃんの学校の文化祭みんなで行こうぜ!!」



 何故お前が取り仕切る親友その一!?




 結局文化祭の最終日はみんなで来る事となってしまった。

 あたしは深いため息をつくのだった。 


 

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