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私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第三章お兄ちゃんの面倒は私が見てます、私を通さないといけないよ!
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3-8 告白

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説!


あたしは別に‥‥‥(由紀恵談)


 「副会長じゃないか? へぇ、浴衣似合ってるじゃん」


 「ええと、確かサッカー部の‥‥‥」


 「綿貫哲也だよ。ちょっとショックかな? 長澤由紀恵副会長なら俺の名前くらい知っているかと思ったけど?」


 その名前を聞いてやっと思い出した。

 彼はサッカー部の主将。

 今は引退して私と同じく高校受験を控える身。

 

 桃ノ木中学イケメン四天王の一人と言われ女生徒に人気のある綿貫哲也はポリポリと頬をかいている。



 「んで、副会長は一人で花火見に来たの?」


 「いえ、私はお兄ちゃんたちと一緒に来たのだけどはぐれちゃって‥‥‥」



 私はスマホを見せてこれから連絡を取るところだと言う。


 「なんだ、お兄さんとかと一緒だったのか。もし一人なら俺がエスコートでもしようと思ったのにな」


 白い歯をきらっと光らせて自然に歯の浮くようなセリフを言い放つ。


 私はどうもこう言ったイケメンが苦手だ。

 自意識過剰というか、こう言ったセリフも平然と言い放つ。



 「それはありがとう。でも私には既にエスコートしてくれる騎士様がいますので」


 「つれないなぁ。ここで会ったのも何かの運命。俺は前々から長澤副会長が気になっていたんだぜ?」



 はぁ?

 何こいつ。

 今度はいきなり私を口説くつもり?



 「そう言う言動はあらぬ誤解を招くわよ? 綿貫君だって彼女いるって聞いたけど?」


 「もう別れたよ」


 しれっとそう言う。

 そして私をじっと見て人ごみの中だというのにきらきらフォーカスかけて甘い言葉をかけてくる。


 

 「俺はずっと副会長の事が気になっていたんだぜ?」



 多分普通の女の子はこれでズキューンとくるだろう。

 でも私には三文役者のセリフにしか聞こえない。


 「おふざけはここまでね。ごめん、私お兄ちゃんたちと合流しなきゃならないんで」


 そう言ってスマホで電話しようとするとその手を綿貫哲也がそっと抑える。


 「本気なんだぜ? 俺は長澤由紀恵が好きなんだぜ?」



 おいおい、何処の恋愛小説漫画よ?

 それともスマホのゲーム?



 私は心底嫌そうな顔して綿貫哲也に言い放つ。


 「ごめん、お断りします。残念だけど私以外の女の子に言ってあげて」


 すると綿貫哲也は心底驚いたような表情をする。


 

 「なんだ、哲也でもダメじゃん。やっぱ副会長は高嶺の花だよ」


 「そうそう、運良く最大のチャンスだったけど当人にその気が無きゃ駄目だよね」


 「ほい、俺の勝ち。哲也かき氷お前のおごりな!」



 いきなりそんな声がしてそちらを見ると桃ノ木中学イケメン四天王と呼ばれる面々が!?



 「まだだ! 長澤由紀恵、お前が好きだ! 俺と付き合ってくれ!!」



 中学生のその真っ直ぐな告白は周りの雑音もかき消し人ごみの人々でさえ立ち止まらせる。

 ものすごく注目を浴びている。

 でも私は‥‥‥



 「ごめん、興味ないから。電話、電話っと」



 とたんに周りから大きなため息がどっと出る。

 「青春だなぁ」とか「可哀そう、あの子」とか「私があの子慰めてあげようかな?」とか聞こえてくる。



 「哲也いい加減あきらめろ。それより長澤さん、じつは‥‥‥」


 「ごめん、以下全部お断りね。あ、お兄ちゃん? 何処? うん、うん、わかった、すぐ行くね♡」


 私はスマホを切り「じゃ、私は行くね~」と手を振ってその場を離れる。



 周りからまたも大きなため息が発せられたのは言うまでも無かったのだった。


 

 

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