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私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第三章お兄ちゃんの面倒は私が見てます、私を通さないといけないよ!
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3-7花火大会

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説! 


えーと、誰だっけ?(由紀恵談)


 「お兄ちゃん、早く早く!」


 私は新しく買ってもらった浴衣を身に着け足元とかに虫よけスプレーをかけている。


 「今行くよ。それにしても俺まで浴衣なんてな」


 お兄ちゃんはそう言いながらも浴衣の姿で草履をはいて私同様に虫よけスプレーをかけ始めた。


 「駄目だよ、私とおそろいなんだから!」


 私は心底うれしくお兄ちゃんの腕を取る。

 思い切りお兄ちゃんの腕を胸に押し当てるけどむにょっとは成らない‥‥‥


 一体いつになったら私の胸は成長するのよ! 


 おかげでお兄ちゃんは私が腕に抱き着いても何も反応しない。

 くそう、あの紫乃でさえ揺れるほど成長しているってのに!!


 「由紀恵暑いよ」


 「だめっ! せめてみんなとの待ち合わせの所までこのままじゃなきゃダメぇ!」


 お兄ちゃんは苦笑しながらそれでも私のしたい様にさせてくれる。

 私たちは腕を組んだまま待ち合わせの河原の土手にまで歩いて行くのだった。



 * * * * *


 

 「来た来た。おーい長澤くーん!」


 高橋静恵が手を振っている。



 むう、あの凶器は浴衣の胸元を見事に押し上げている。


 

 「友也、おせーぞ」

 

 「浴衣なんて着たの久しぶりだからな。みんなも浴衣似合ってるじゃん」


 「本当ですか先輩!」


 「あ、ありがとう、長澤君‥‥‥ う、うれしい‥‥‥」


 「でしょ? お母さんに新しいの買ってもらったんだぁ~」


 集まったみんなはそれぞれ浴衣姿。


 

 高橋静恵は朝顔のガラが入った紺の浴衣姿で見事に凶器が帯の上で揺れている。

 

 矢島紗江は明るいオレンジ色を主体としたガラでいつものポニーテールをお団子に結い上げている。

 

 泉かなめは意外に白を基調とした薄水色が入ったさっぱりした感じの浴衣で均整の取れたラインが見事に生えていた。


 紫乃は紫色の浴衣で吉野君は甚兵衛の姿だった。


 あ、親友その一は普通の浴衣なので端折るけど、私だって負けていない。



 白を基調に金魚の柄が入った可愛らしい感じのやつ。

 所々お花の柄も入っていて自分でもかなり気に入っている。

 あまりにもうれしくて昨日はお兄ちゃんに一足先に見てもらい「うん、可愛いじゃないか。似合ってるよ由紀恵」なんて言ってもらって有頂天になっちゃった。



 「それにしてもやっぱり暑いな。先に出店でかき氷でも買うか?」


 お兄ちゃんはそう言って持ってきたうちわでパタパタと自分を仰いでいる。

 確かにもう夕方なのにまだ暑い。

 私も手でパタパタしているとお兄ちゃんがうちわで私を仰いでくれる。



 流石お兄ちゃん!

 優しい!!


 もう、こう言う所が良いのよね!

 お兄ちゃん大好き!



 「あーいいなぁ、友ちゃん私もぉ~」


 紫乃はそう言って私の横に並んでお兄ちゃんの仰ぐ風を一緒に受ける。

 その際紫乃の胸が私に触れるけど女の子同士なので気にもしていない。


 むにょ。


 くっ、こいつまた大きくなったんじゃない!?


 私の内心を知ってか知らずか紫乃は更に胸を押し当ててくる。


 「あ~涼しい。友ちゃんありがとぉ~」


 「いいなぁ、由紀恵ちゃんと紫乃ちゃん。先輩に仰いでもらって」


 「それより長澤君、あっちに『かち割り』が有ったわよ?」


 「『かち割り』‥‥‥ あれ、良いよね‥‥‥」


 「かち割り」?

 何それ?


 「お兄ちゃん、『かち割り』って何?」


 「由紀恵知らないのか? かち割った氷にシロップ入れたやつでビニール袋に入っているんだ。結構長く飲めるから冷たくていいぞ?」


 それってかき氷の手抜き?

 

 それでもお兄ちゃんたちはそれを買おうと言う事でそっちの屋台に行く。

 私もそれについて行って一緒にその「かち割り」とか言うのを買う。


 「はいよ。次のお嬢ちゃんは何味にする?」

 

 お店のおっちゃんがかち割った氷をビニール袋に入れてシロップを指さす。

 うーん、ここはオーソドックスに苺にしようかな?

 あ、でもレモンもさっぱりしていていいかな?


 悩んでいたら紫乃が先に注文をした。


 「私カルピスぅ~!」


 おっちゃんが紫乃にカルピスを渡している。

 私はレモンにしようとすると親友その一が先に注文をする。


 「ふふ、俺はシロップ全部だ! カラフルなかち割りで目立ってやるぜぇ!!」


 「兄ちゃん、本気か?」

 

 「ああ、全部入れで頼むぜ!」


 「まあ、いいが、知らねーぞ」


 おっちゃんは親友その一の願いを聞き入れ全部入れのかち割りを作ってよこす。

 そしてみんなは絶句する。


 最初はまだよかったのにすぐにシロップは混ざってしまい混沌とした茶色になってしまった。


 「あれ?」


 「まあ、そうなるよな。剛志、それは味も最悪だぞ?」


 「ええっ! そうなの!?」


 しくしくしく‥‥‥


 お兄ちゃんに指摘されながら涙する親友その一。

 全く、相変わらずバカなんだから。



 「由紀恵はレモンが良いのかな?」

 

 「え? お兄ちゃんなんでわかったの?」


 「由紀恵の事だもの、そりゃぁわかるさ」



 ずっきゅーん♡



 お兄ちゃん、神かッ!?


 私は思い切りハートを射抜かれてしまった。

 もう、大好きお兄ちゃん!!


 「ほい、レモンな。あ、俺はブルーハワイで」


 「あいよ、ブルーハワイね」


 受け取った「かち割り」は確かに冷たくしばらく手や頬にくっつけると冷たくて気持ちいい。

 私は夏の暑さ以外にお兄ちゃんのせいで火照った体をかち割りで冷やしながらニコニコしてお兄ちゃんたちについて行く。



 「あっちの方が人が少ないわよ、長澤君」



 高橋静恵がそ言ってみんなを土手の方に誘う。

 私はあまりの幸せとのぼせた頭でふらふらとついて行くけどいきなり人ごみが多くなってしまってお兄ちゃんたちをはぐれてしまった。



 「しまった、あまりにうれしすぎてお兄ちゃんたちを見失った! 携帯、携帯!」


 こういう時の為にスマホを持ってきて助かった。

 私は取り急ぎ茶巾袋から携帯電話を取り出す。



 「あれ? 副会長?」


 「え?」



 声のする方を見るとどこかで見た事のある男の子が‥‥‥



 私は彼の顔をまじまじと見るのだった。

  

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