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吉田先輩の誘いに俺は応え、千聖の応援に行ってみた。


「それで、私も巻き添えを食らったわけなのね」


と俺を睨むのは、駒形さん。


吉田先輩が連れて来いと言った手前、駒形さんを連れてきたが、やっぱり連れてこなければよかったのかも知れない。


明らかに機嫌が良くないことが伝わる。


「おっ、来たか」


吉田先輩だ。


すると、駒形さんが吉田先輩に近づく


「お久しぶりですね。吉田先輩」


「久しぶりだな花音」


えっ?もしかしてお知り合い?


「バスケ部から試合の誘いを受けたと聞いた時、まさかと思いましたが、やっぱり貴方ですか」


「私が誘って悪いのか?それよりもどうだ?」


「私は、戻るつもりなんてありませんから」


駒形さんは俺の腕を掴む。


「和真、こんなところよりも、もっと楽しいところに行こう」


「ちょっと待って、鈴木君には千聖の試合を見てもらいたいから」


「じゃあ、私は一人で帰ります。悪いけど和真、この人のお願い聞いてあげて」


と駒形さんは俺の腕を離し、スタスタとこの体育館を後にしようとした。


駒形さんの後ろ姿は、まるで怒っているかのように感じた。


「待って。花音。花音にも私達の試合を見てほしい。駄目かな?……」


駒形さんの腕を掴んだ吉田先輩。


一体、二人にどんな因縁があったのか知らないが、吉田先輩がここまでするところ、相当な事なのかもしれない。


駒形さんは深いため息をついた。


「分かりました。試合は見ます。だけど、部活には戻るつもりはありませんから。もう、貴方の下にはつきたくないですからね」


「それでもいいわ。とりあえず、私達の試合を見て欲しい」


という事で、駒形さんと俺は、バスケ部の試合を見ることに。


駒形さんは、じっとコートを見つめている。


一体、どんな気持ちでこの試合を見ているのだろうか?


「和真、わたしね、中学はバトミントン部にいたの。そこで、吉田先輩とは出会ったの」


「そうなんだ」


それで吉田先輩の事を知っているのか


なるほどなるほど


しかし、久しぶりの再会の割には、反応が薄かった。


もっと喜ぶべきでは無かったではないだろうか?


例えばこんなかんじで……


「お久しぶりです先輩!私、先輩と会えて……」


と駒形さんは涙と流し、二人は久しぶりの再会の余韻に浸ったみたいな


まぁ、駒形さんがそんな事を言わないし、そもそも泣かないと思うが……


しかし、それくらいの気持ちがあっても良いだろう。


「先輩は部長だけあって、とてもうまかったし、教え方も上手かった。私は心から尊敬したし、憧れていた。だけど、ある日から先輩はおかしくなった。そして、指導もまるで私たちに八つ当たりするような、厳しい指導に変わった。そして、ある日、突然、先輩は逃げた。その瞬間、私は憧れから、軽蔑へと変わったわ」


駒形さんと吉田先輩にそんな過去が……


それで、吉田先輩と久しぶりに会っても、反応が良くなかったのか


ーー試合終わりーー


「二人とも今日の試合ありがとうー!ねぇえねえ、鈴木君、私達の試合はどうだったかな!」


と吉田先輩は俺にグイグイと近寄ってきた。


駒形さんをチラッと見ると、腕を組み、少し不機嫌そうな表情をしている。そして、俺に目が合うと「「ふん!」」と言わんばかりに、そっぽを向いた。


そんな駒形さんの様子を気にしつつ、今日の試合の感想を吉田先輩に言った。


「素晴らしかったと思いますよ」


「そっか!で、花音はどうだった?!」


駒形さんの手を握る吉田先輩。


そんな吉田そんにも無反応な駒形さんは、こう言った。


「相変わらず、先輩はうまかったと思いますよ……」


「そっか……」


と微笑む吉田先輩だが、どこか寂し気が……


しかし、それ以上のことは何も言わなかった。


一体、この二人の溝はいつか埋まる日は来るのだろうか


「おなかすいたよー和君!」


と俺に抱き着く千聖。


さっきまで、試合をしていたとは思えないほど、良い香りが、鼻に伝わる!


「ちょっと!離れなさいよ!」


すかさず、駒形さんが千聖を引き離そうとするが、千聖は、全くお構いなしだ。


「ねぇ、ねぇ和君。今日の試合勝ったから、ファミレスに連れてってよー」


駒形さんが居るにも関わらず、千聖は俺から離れない。

それどころか、「「和君から離れないぞ!」」と言わんばかりにガッチリ、腕を掴んでいる。


女は怖いものだ……


「ちょっと!和真、デレデレしたんじゃないわよ!はよ!その女から離れなさいよ!」


これは、駒形さんの言いがかりである。

俺はデレデレなんてしたない。多分……


それに、俺も千聖を話そうとするが、無理だ。


「ねぇ!ねぇ和君!」


「わかったよ!連れてってあげる!ただし、あまり食べ過ぎるなよ!」


「ヤッター!」


こうして、駒形さん、千聖、そして、吉田先輩の3人と行くことに


そして、吉田先輩が全てを奢ってくれ、俺達はごちそうとなってしまった。


「なんか、すみません」


「いいのいいの!私がこの中では、一番年上なんだから!それに、鈴木君達のお邪魔になってしまったしね!」


と言う吉田先輩。

けれど、やっぱりどこか無理をさせてしまっているようだ。

やっぱり、後で3人分のお金を払っておこう。


――帰り道――


吉田先輩と駒形さんは途中まで帰り道が一緒になるのであった


「こうして、吉田先輩と帰るのも久しぶりですね」


「そうだな……」


「……」


「……あのさ、花音!」

「先輩」


二人の声が同時に被った。


「うん?なに?花音」


「今日の先輩、かっこよかったです。ちょっと惚れ直しました」


「そうか、ありがとう……」


二人の関係修復には時間がかかるだろう。


だが、そのうちこの大きな溝も埋まる日が来るだろう。

読んでくれてありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!

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