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6月下旬
じめじめとし、ほぼ毎日が雨で憂鬱な日々にある朗報が舞い込んできた。
なんと、こんな時期に転校生がやってくる。
噂だと帰国子女だとか……
まさか、葵さんが戻ってくるとか?
「一体、どんな子なんだろうねー」
「そうだね。どんな子が来るんだろうね」
「噂だと、すごーく可愛いらしいけど」
「そうなんだ」
「和真君、心躍っているでしょ?」
「別にそんな事はないよ」
嘘、本当は少しだけ気になっている。
あの木嶋さんが、美少女と言うことは、かなりの激アツだろう。
そして、俺の隣の席に空白の席がある。
多分そこが、転校生が座る場所になるだろう。
なら、気にならないことなんてない!
と木嶋さんと転校生の話をしていると、担任と転校生らしき生徒がやってきた。
そして、「「失礼します」」と言う声と共に転校生が……
その転校生は、黒髪のロングヘアーを一つに結ぶ女性。
一瞬で男性を虜にしそうなルックス。
木嶋さんが言っていた通り美少女だ。
これは、男子生徒からすれば大当たりだろう。
しかし、何だろう?なんだか懐かしさを感じる。
どこかで会った事があるような……
「それでは自己紹介を」
「はい。みなさんこんにちは!私の名前は、小手 千聖と申します!みんなとは仲良くしたいので、よろしくお願いします!」
小手 千聖……聞いたことがある名前。
まさか!
小手さんと俺は目が合う。
「あれ?もしかして、和君?!」
小手さんがこちらに来ると、クラスメイトの視線が俺に向く。
すると、小手さんは、俺の手を取る。
そして、一人でに喜び始めた。
「やっぱり!やっぱり!そうだ!和君だよね!?」
「そうだけど……」
やっぱり、小手さんは、あの小手で間違いない。
久しぶりの再会だ。
「嬉しい!こんなところで、和君に会えるなんて!」
「お、俺も嬉しいよ……ちぃ……」
すると、千聖は嬉しそうに俺を抱きしめた。
幼稚園以来の再会。
あんなに小さかった千聖がここまで成長しているとは……
て言うか苦しい……
――休み時間――
早速、千聖はクラスの人気者だ。
千聖はクラスメイトから質問責めだ。
クラスメイトが俺の席まで来たので、俺は、避難する。
あんな所にいたら、息苦しくてたまらん。
「それで、私が読書するところに邪魔をしに来たと言うことなのね和君」
「べ、別に邪魔をしに来たわけではないよ……ただ、あそこがいずらくて」
「へー……」
と言い、駒形さんは読書を続ける。
俺の彼女なんだから、「「和真、大丈夫?クラスメイトに冷やかしとかされてない?」」なんて、心配してくれてもいいのに!
ほんと駒形さんは可愛げがないな!
「ねぇ、和真。あの娘とはどんな関係なのかしら?」
「えっと、幼馴染的な?」
「的な?なんか変な言い回しだけど」
「まぁ、幼稚園から小学生までの関係だったので、幼馴染とは言えないのかなって……」
「あーそ」
駒形さんは何事もなく読書を続ける。
俺は、一体どうすれば……
「二人で、何話しているの?」
「ちぃ……じゃなかった小手!」
突然、現れた事に驚き、つい昔、読んでいたあだ名で呼んでしまうところだった
流石に、幼い頃みたいに、「ちぃちゃん」なんて言えない。
小手もいいお年頃だ。
きっと嫌に決まっている。
すると、小手がクスッと笑った。
そして、こう言った。
「昔みたいで、ちぃちゃんでいいよ!」
「でも、流石に小手も恥ずかしいだろ!それに俺も小手の事を、ちぃちゃんなんて、呼ぶのも恥ずかしいし……」
「へぇーさっきは呼んでくれたのに?」
「あれは!つい昔の癖で……」
「そっか……じぁ、千聖でいいから私のこと呼んで!だから、名字で呼ぶのは禁止ね!かず君」
「わかったよ。こ……」
小手と言おうとした瞬間、小手は顔をぷっくり膨らませ、俺を睨む。
俺は慌てて、訂正した。
「ごめん、千聖」
「それでよろしい」
「あの、お取り込み中のところすみません。私、今、読書をしているので、そこでイチャイチャしないでくれます?あの、ものすごく不愉快のですが」
とオタク口調でそう言った駒形さんは本を閉じ俺達を睨みつける。
「あっ、ごめんね。えっと……」
「紹介するよ。駒形 花音さん。俺の彼女だよ」
「えーーーーーーー!」
と驚いた千聖。
そして、俺の両肩を掴み、思いっきり揺さぶる。
「ちょっと!ちょっと!どういうこと!どうして、和君に彼女がいるのよ!」
「えっと、駒形さんから告白されて……そのなりゆきで……」
き、気持ち悪くなりそう……
「違うでしょ和真?」
「え!どう言う事!」
「私からもう少し、詳細に言わせてもらうと、私、含め3人の美少女から告白され、結果、私を選んだという事です。ちなみに、そこで、お友達と仲良く喋っている木嶋さんもその一人です」
「そうなの!和君!」
近い、近い千聖!
みんな俺達を注目している。
それも「「なんなのあいつ」」と言わんばかりに、俺を軽蔑するような目が多い。
「答えてよ和君!」
「うん、駒形さんが言う通りだよ」
「なら!私との約束はどうするつもりなの?」
え?約束?何それ?
俺、千聖と何か約束なんてしたっけ?
「覚えてないの?」
目がうるうるしている千聖。
もし、ここで「「覚えてない」」なんて言った瞬間、想像するまでもないが、俺は間違えなく、クラスから干されるだろう。
明日から不登校生活が始まってしまう。
ここは俺の身を守るためだ!
「も、もちろん!覚えているよ!」
「なら!今すぐ、別れて!その娘と」
と千聖が指差すのは、駒形さん。
面白いご冗談を言う千聖さん……
どうして、駒形さんと別れなければならないのだ。
さっきも言ったが、駒形さんは大切な彼女。
いくら幼馴染でも、それは出来ないに決まっている。
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