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――放課後――


駒形さんの用事が終わったあと、誰もいない教室に俺は呼ばれ、駒形さんの前で正座をする羽目になっている。



「これ、どう言うことなのかしら」


「えっとこれはですね……」


俺は今、駒形さんに呼ばれて、とある写真を見せられた。


その写真と言うのは、以前、木嶋さんの家に行った時の写真だ。


どうして、こんな写真が駒形さんにあるのかは不明だが、とりあえず説明をしなければ……


「これは、木嶋さんと勉強会をした時の写真です」


「へー本当にそれだけの写真なのかしら?」


「そうだよ」


「嘘、ついてないわよね……」


「ついてない。本当に本当だよ。俺は木嶋さんと勉強しただけだよ」


駒形さんは腕を組み俺をじーと見てくる。


「まぁ、和真を信じるわ。だけど、嘘が発覚したら……」


「わ、分かっています!」


そうだ。俺を信じてくれ


俺は、木嶋さんと勉強をしただけで何も後めたいことはしていない。


すると、誰かが教室にやってきた。


それは木嶋さんだ。


なんて言う悪いタイミングだ!


「あれ?駒形さん和真君。こんなところでなにしているの?」


「別に、なんでもないわ」


「そっか、ならいいんだけど……それよりも」



すると、木嶋さんは俺の手を取ると、満面な笑みを浮かべてこう言った。


「和真君!また、機会があれば勉強会しようね!またご褒美も用意しているからね!」


「ご褒美?」


駒形さんは何かに勘付いたようだ。

これはやばい!


「ねぇ、木嶋さん。ご褒美ってなに?」


「あっ!え、えっと……」


木嶋さんは鞄から、電子辞書を取り出す。


そして、何かを調べ始めた。


「ご褒美とは、子供などを褒めて与える金品だって」


「ご褒美の意味を聞いているわけじゃなくて、和真に与えたご褒美は何かをきいているのよ!」


「あーそうなんだ!それならそうと早く言ってよー。それで、和真君にあげたご褒美……えーとなんだっけかなー」


木嶋さんの目は泳いでいる。


誰が見ても動揺している。


もしかして、木嶋さんは嘘をつくのが下手とかではないよな……


「あっ!私用事があるっけ!」


「ちょっと!木嶋!」


と逃げようとした木嶋さんを捕まえようとした駒形さんだが、華麗に木嶋さんは駒形さんの魔の手から回避し、教室を後にした。


こうなれば、今度は間違えなく俺の方へ矛先が向けられてくるだろう。


木嶋さんが逃げれれば、俺も逃げられる。(多分!)


駒形さんは木嶋さんに逃げられたことにイライラしていて、俺が逃げようとしても気づかないだろう。


俺はこっそり後ろの扉から逃げることに……


どうか、駒形さんが気づきませんように……


床が軋む音が聞こえるが、駒形さんは気づいていないだろう。


このまま、そっと……


「か・ず・ま・君」


振り返ると駒形さんは、俺との距離を縮める。


「なんでしょうか!」


「なに、逃げようとしているのかしら?」


「にげる?!誰がですか!」


「あんたに決まっているでしょ……」


俺の腕を掴んだ駒形さん。


これで、逃げるチャンスは失った。


「ねぇ、和真。私、昨日、爪を切るのを忘れてしまったの……」


と駒形さんは手を見せる。


俺よりも小さいだろう手のひら


それとは、裏腹に凶器となるだろう爪。


「さて、ここで問題!この爪で和真君の顔をとかをかじったらどうなるでしょう?」


血だらけとなり、明日は絆創膏を大量に貼って登校となるだろう。


「私、和真を傷つけたくないの。だから正直に答えてくれるかな?」


「はい……」


俺は木嶋さんから受け取ったご褒美を全て駒形さんに話した。


「へー私がいない所でそんなことを……へー」


教壇に座り、足を組む駒形さんはかなりご立腹だ。


まるで、どこかの女王様だ。


これ以上、何かを言ったら地雷を踏み即死刑になりそうだ。


「和真、こっちに来なさい!」


「えっ、どうしてですか!」


「いいから!はよ来い」


と言われたので、俺は恐る恐る駒形さんのところへ……

明日は、顔面血だらけだろう……


「和真!ここに頭を預けなさい!」


「う、うん」


俺は、駒形さんの膝元に頭を預ける。


誰もいない教室で、こんな事をしていても良いのだろうか?

こんな姿を他の生徒に見られたら、明日は笑われ者だ。


駒形さんは俺の頭を優しくなでる。


なんか、居心地が良いんだが……


「いい和真……」


すると、駒形さんが俺の耳元に!


「和真は私のもの。そして、私は和真のものなんだから。そのもし、もしもだよ……和真が膝枕して欲しかったらいつでも私がしてあげるから。だから他の女の膝枕なんか、駄目なんだから……」


と囁いた駒形さん。


いつもはツンツンしている駒形さんがこうも、自分の気持ちを伝えてくるとは……


駒形さんの気持ちを知った、俺は気持ちを入れ替えようと思った。


あの時は、木嶋さんに流されて、木嶋さんの膝枕を受けてしまったが、今度こそはしっかり断ろう。


俺には駒形さんと言う大切な人がいるのだから


「さぁ!もう膝枕は終わり!さぁ!帰るわよ!」


俺は駒形さんと下校する事に……


――下校――


「和真。こっち向いて……」


すると、駒形さんは俺の唇にキスをするのであった。


「今回はこれで、終わりだけど次はただじゃ済まないから……」


「うん……」


その後は気まずい空気が漂い、何も会話もなく下校するのであった。



読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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