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ある日の放課後
――教室にて――
土砂降りの雨が降り、雷が近くで鳴ったりしている。
「何ですか!このざまぁー!」
彩華さんが怒ると、タイミング良く雷がどこかに落ちた。
何という絶妙なタイミング
彩華さんは雷でも操る能力でもあるのか?
もしかして、雷様……なんてな
「和真殿、私、そんな時間ないんですよ。真面目にやってもらいます?」
「すみません」
俺は、今彩華さんに勉強を教えて貰っている。
なぜなら、あと数日後に実力テストがやってくるからだ。
そのため、優等生である彩華さんに勉強を教えて貰っているのだが、俺は教えてもらう人を間違えた。
「何度言えば分かるのですか!ここはここに書いてある公式を使って!」
「こ、これでどうですか?……」
「だから!どうしてそうなるんですか!?えっ!?こんな問題も解けないほど、和真殿は無能ですか?」
彩華さんのイライラがピークだ。
勉強が、出来る人は勉強出来ない人の苦労が分からないだろう。
「ほら、ここも違う!どんだけ、無能なんですか!」
彩華さんによるスパルタ……いやパワハラ教育は数時間続いた。
間違えるたび暴言を吐かれ、もう心が折れそうだ。
「今日はこの課題を出しますから!しっかりやっておいて下さいね」
「わかりました」
どっさり、置かれたプリント
それを後数時間で、やるのは到底無理だ。
その後俺は、彩華さんの所に行くことはなかった。
彩華さんには申し訳ないが、パワハラ教育にはついていけない。今日からは……
「私もうまく教えられるかは、わからないけど頑張ってみるよ」
今日からは、木嶋塾にお願いすることにした。
最初は、駒形さんにでも頼もうとしたが、あの人も、絶対にスパルタだ。
だから、木嶋さんにお願いした。
この人なら、優しくて、教え方もきっと上手いだろう。
「いい、ここはね……」
「そうそう、良い感じ」
「あっ、ここはもう少しこうして」
木嶋さんは将来、先生が向いてそうだ。
とにかく優しいし、教え方もうまい。
どこかの人達よりもとてもいい。
「じゃあ、明日はここからやるから、今日の部分はしっかり勉強しておいてね。あっ、分からないことがあったら、いつでも連絡してね」
もう!一生ついていきます!
木嶋さんはとても優しい先生だ。
でも、少し心配事も……
「木嶋さんは大丈夫ですか?」
「うん!私は、和真君より勉強頑張っているから!」
なら良いんだが……
無理だけはしないでほしい。
木嶋さんとの勉強を終えた俺は帰宅するため靴箱に向かう。
すると、背後から……肩をつかまれた。
「和真殿……」
背後から聞いてはならない声……
俺は、逃げようとする。
しかし、肩をがっしり掴まれ、逃げようにも逃げれない状況に
「ど、どうしたのかな?彩華さん」
絶対に怒っている……
振り返りたくない……
振り返った瞬間、お陀仏だ。
「和真殿、私を放置して木嶋さんに勉強を教えてもらってますよね……」
肩に伝わる力具合いが、彩華さんの怒りパラメータを強調している。
さて、どうするべきだろうか?
ここは正直に言うべきなのだろうか?
それとも誤魔化して、逃げるか?
いや、答えは一つしかないだろう。
嘘をついたところで、火に油を注ぐだけだ。
「ごめんない。彩華さん。もうついていけません」
「なるほど、こうして私は、見放され放置されると……」
肩を掴む力が緩んだ。
しかし、気のせいだろうか?
彩華さんから荒い息が聞こえるようだが……
もしかして、興奮していますか?
「か、和真殿……」
「はい、なんでしょう?」
「こ、これって、放置プレイですよね!」
後ろから、ものすごく荒い息が聞こえてくる彩華さん。
この人はやばい。
「あー逃げないでください!」
俺は彩華さんから逃げた。
追いかけてくる彩華さんだが、興奮していることもあり、いつも以上に走るスピードも遅かったお陰で、逃げ切れた。
逃げ切った俺は、学校から家に帰りすぐに勉強をした。
「さて、勉強でもしようか……」
俺は木嶋さんに言われた部分をしっかり勉強をした。
彩華さんは、教え方が下手くそではなかった。
だけど、木嶋先生はそれ以上に上手い。
教え方も分かりやすいし、優しく教えてくれる。
これほど、良い人はいないだろう。
だから、こそだ。
木嶋さんのお陰で良い点を取れたと」報告出来るようにしなければ。
それが、木嶋さんに教わった俺がすることだろう。
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