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美少女達に告白されて、数週間がたった。
清水さんとは一緒に登校し、西園寺さんとは、生徒会室でイチャイチャし、木嶋さんに至っては、一緒に下校をし、一緒にお弁当を食べ、おまけに連絡先まで交換して、今度、ご飯を食べに行くところまできてしまった!
「はぁ……」
俺は、ため息をつき、机を見る。こんなにモテるのは、夢のような時間であるが、色々と疲れる。
特にあの美少女たち四人が俺のクラスに来るだけで、注目の的。あの人たちが帰ったら、クラスメイトに質問攻めにあったりする。「ねぇねぇ、どこであの子たちと知り合ったの?」「どこまで、発展したの?」「どこで、あの美少女達を口説いた」など聞かれる。
「ため息なんかついて、どうしたの?何か困った事でもあるのかしら?良かったら私が相談に乗ってあげるわよ」
「実はですね、あの美少女達に絡まれると変な注目を浴びて疲れてしまうんですよ……」
あれ?俺は誰に話しかけているんだ?
相談に乗ってくれると言われて、ついつい喋ってしまったけど、一体、俺は誰に相談に乗って貰っているんだ。もしかして、ついに幻聴でも聞こえるようになってしまったのだろうか?
俺は顔を上げた。すると、目の前に駒形さんがいた。
「駒形さんが!どうしてここに!」
「和真に会いに来た。ただそれだけだったけど、和真が悩んでいるなら、この私が力になってあげるわよ!」
と駒形さんが胸を張るが、今ここに悩みの種がいる。普段、駒形さんはクラスメイトとは関わらない、言わば一匹狼的な存在だ。そんな存在が、俺とだけ親しくしているなんて、他のクラスメイトからすれば、大事件だ。具体的には学校新聞に掲載されるくらいの大問題だ。
「それで、悩みとやらは、なんだっけ?」
あなた達が悩みの種です。なんて言いずらくなってきたな……
それなら、もう一個ある本当の悩みをぶつけてみよう。
「その……友達が出来なくて困っているんですよ!」
苦節二年俺は、いまだに友達が出来ない。俺はもともと、今の学校よりも遠いところで住んでいたため、小学校頃からの幼馴染的な生徒が一人もいない。おまけにコミュニケーションが苦手。最初は、色んな生徒が声を掛けてきてくれたが、次第に声はかけられず、孤立。そして、今も友達が出来ないと言う状態だ。まぁ、最近は、美少女達がくるお陰で、クラスメイトから質問を受けることが増えたが……
「なんだ。そんなの気にしなくて大丈夫よ」
「だって、私達はもう友達でしょ?」
苦節ニ年初めて友達が出来た……
「ありがとう!」
「ちょ、ちょっと手を握らないでよ!」
「ごめん。だけど、嬉しくて……こうやって俺の事を友達と呼んでくれた人がいなかったから」
「そ、そうなのね。和真の気持ちは分かった!だから離しなさいよ!」
俺は、駒形さんに猫のようにかじられた。お陰様で、手の甲にはかじられた跡が残ってしまった。だけど、今は、そんな事はどうでもいい。駒形さんが俺の事を友達と呼んでくれただけで、満足だ。
「駒形さん。今日は相談に乗っていただきありがとうございました。これからも俺と友達でいてください!」
「却下。私は、それ以上の関係を望んでいるから」
「それ以上とは?」
「あーもー!彼氏と彼女の関係を望んでいるわけ!どうして、こんなことまで言わなければならないのかしら!」
駒形さんは不機嫌そうに帰って言った。そして、その後、またクラスメイトからは質問攻めを受けるのであった。
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