62 貸し切り遊園地!
遊園地
誰もいない遊園地に俺たちは入園した。
「とても新鮮だわ……」
「こんな経験、これから二度とありませんよね……」
「せっかくだし写真撮りましょうよ!」
とみんなを集め、自撮りをしようとする木嶋さん。
今日の木嶋さんはとてもテンションが高い。
「木嶋殿。写真は撮るのは構いませんが、くれぐれも、写真をSNSに投稿しないでくださいね。まだ世の中には開示されていない情報とかもありますので」
「了解です!」
と言ったそばから、色んな所をとる木嶋さん。
本当にSNS上げたりしないのか、心配になってくる。
「ねぇ、彩華さん。ちょっと聞きたいけど」
「はい、何でしょうか?」
「今回の目玉であるアレはあるの?」
「えぇ、もちろんありますよ。良かったら楽しんでください」
「もちろん、楽しみさせてもらうわ」
人が誰もいない遊園地。
こんな経験は二度来ないだろう。
良し!遊びつくすぞ!
そう意気込みを胸に俺は、駒形さんを連れて歩き出そうとした。
すると
「和真殿は、私とデートをしましょう」
俺の腕を組んだのは、彩華さんだ。
「ちょっと!彩華!なに私の彼氏を勝手に奪っているのよ!」
「別にいいじゃないですか!それに和真殿は、みんなのものです!それにそれに、ここに居られるのは誰のおかげですかね?」
「それは……」
「分かればいいのですよ。さぁ、和真殿。一緒に回りましょう!」
「ちょっと待ってください!」
彩華さんの目の前に立つのは、木嶋さん。
「彩華さん、私は和真君とデートが出来るから、彩華さんの協力したのよ!」
「話が違うじゃないですか!」と怒る木嶋さん。
一体この二人にどう言うやり取りがあったのだろうか……
て言うか!俺の許可を取れよ!
「木嶋殿は、私の後、そうですね……午後からとかどうでしょうか?」
「まぁ、それなら良いです」
「ちょっと私の和真なんですけど」
すると、駒形さんが俺の手を取った。
「和真!行くわよ!こんなところに居られないわ!」
ちょっとせっかくの貸切遊園地が!
「ちょっと待ってください駒形殿。せっかくの貸切遊園地ですもの、みんな仲良くしましょうよ」
「はぁ?それあんたが言う言葉なの?」
彩華さんと駒形さんの間は一触即発だ。
そんな中、木嶋さんが割り込んだ。
「駒形さんはずるいです」
「はぁ?なによ急に……」
「確かに、和真君は駒形さんの彼氏です。だけど、まだ私達は和真君を諦めてません!だけど、駒形さんばかりに和真君を奪われて私達が和真君にアピールできるチャンスがないじゃないですか!」
と木嶋さんがキレた。
駒形さんは反応に「何なのよ……」と困っている。
「和真君!私達と忘れない思い出作りますよ!」
俺は、木嶋さんに引っ張られた。
だが、駒形さんがそれを逃がすはずがなく……
「ちょっと待ちなさい!和真は私のものよ!」
「だから言っているじゃないですか!和真殿は皆のものだと」
木嶋さんが引っ張る手腕に彩華さんが加わった。
せっかくの貸し切り遊園地なのに、喧嘩を始めて……
「皆さんいい加減にしてください!」
俺は、彩華さんの手を握った。
せっかくの遊園地まで来て、グダグダと喧嘩を始めて、もう我慢の限界だ!
「まずは、彩華さんといろいろ回ります!」
「そして、次に木嶋さん!」
「そして、最後に駒形さんと回ります!」
「さぁ!行きますよ!彩華さん!」
「ちょ、ちょっと和真殿!」
俺は彩華さんを連れまわした。
「彩華さん!これはなんて言うアトラクションなんですか?!」
「えっと、それは……」
「彩華さん!ここは!」
「えっと……」
彩華さんにはとりあえず、遊園地の案内役として色んな所を手当たり次第に回った。
「よろしくお願いしますね和真君」
次は、木嶋さんと遊園地を回った。
正直、この人とは、回りたくはない。
この人は、清水さんを虐めていた人物だからだ。
そして、木嶋さんは観覧車へ案内した。
「今日、葵さんは来ませんでしたね……」
「そうですね……」
一応、俺は、今日の遊園地を誘ってみた。
だが、清水さんは断った。
まぁ、虐めていた人が、来るとなるとそれは、来たくないだろう。
「はぁ……残念です。私、清水さんに謝りたかったので……」
とどこか寂しそうな表情を見せる木嶋さんだが、俺は騙されない。
またそう言って、清水さんを虐めたり、何かをネタに脅したりするつもりだろう。
「和真君はどうして、木嶋さんを虐めていたか知っています?」
「それは……」
清水さんにムカついたから。
言わば嫉妬に近い。
「じぁ、どうして、清水さんに嫉妬したと思います?」
確か、清水さんは、元々おとなしい子だったけど、高校に入ったとたん、調子に乗りだしたから
みたいな理由だったような……
「確かに正解です。ですが、それは違います……本当は……」
すると、俺の近づいた清水だ。
そして、衝撃する発言を言うのであった。
「実は、清水さんのことが好きなんです!」
はぁ?清水さんのことが好き?
この人は何を言っているのだ。
そもそも、清水さんは女性です!
「だけど!好きなんです!何ですかあんな反則的な可愛さ!ペットにして、可愛がってあげたいです!」
今まで見たことのないほど、興奮状態である木嶋さん。
木嶋さんは、べらべらと葵さんの良いと可愛いところを言ってくる。
「和真君!お願いがあります!私と清水さん……いや!あおっちの仲をとりもってくれませんか!」
「駄目ですか?……」とキラキラした瞳で見られても困ります。て言うか、あおっちて……
「私、しっかりあおっちに謝って、告白したいのです!だから私に協力をお願いします!」
最初はまた木嶋さんが嘘をついているのかと思っていたが、どうやら本当だろう。
こんなにキラキラした瞳を見たのも初めてだし、こんな感情を表しているのも始めただ。
そして、何よりも清水さんを熱く語ってきてくれた以上は嘘には見えない。
だが、問題は……清水さんの方だ。
木嶋さんの思いを聞いて、どう反応を示すのだろうか……分からないが、こうも、木嶋さんにお願いされた以上は、やるしかない。
「わかりました。出来るだけのことはします。だけど、あまり期待しないでくださいね」」
木嶋さんは、清水さんをいじめていた過去がある。
どんだけ、木嶋さんが清水さんのことが好きだと熱弁しても、清水さんは良い顔はしないだろう。
こうして、木嶋さんとのデートは終わった。
「さぁ!和真!遊び尽くすわよ!」
最後は、駒形さんとデートだ。
貸し切り遊園地で待ち時間0分。
俺達は、思うがままに遊び尽くした。
途中、俺達に嫉妬したと思われる彩華さんたちが、邪魔する場面があったりとかしたが、最後は、みんなで仲良く、遊んだ。
「和真殿!私が援護します!」
「よろしくお願いします!魔導士彩華!」
「和真、私が攻撃の援護射撃をするから!」
[分かりました。スナイパー駒形」
「私、出番がないのですけど……」
「俺たちがピンチになった助けてくださいね!ヒーラー木嶋」
「分かりました!皆さんのお役に立ちます!」
こうして、俺達は、オンラインゲームを楽しんだ。
「結局、私の出番、あまりなかったですね」
「だって、このクエスト簡単すぎるもの」
「駒形殿が強すぎるのですよ」
「ふん!これが普段からゲームで鍛えて力だわ」
「えっ!駒形さん!ゲームやるのですか!」
とこの遊園地の目玉アトラクションである、オンラインゲームも楽しんだ俺達は、話に盛り上がっていた。ちなみに今、この3人はオンラインゲームで話が盛り上がっている。
「駒形さん!どんなゲームをやるのですか?!」
「そうね、冒険もののオンラインゲームもやるし、あとはレースゲーム……ほかにも色んなゲームをやるわ」
「ちなみに、どれほどの時間を」
「休日予定がなければ、毎時間。平日もかなりの時間を費やしているわ」
「すごいですね……」
とドヤ顔を決める駒形さんに対して、彩華さんは少し引き気味だ。
「そういえば、和真もそういうの好きだよね。それで、どのくらいやっているのかしら」
話を聞いていた俺に話を振った駒形さん。
なぜか、分からないが、俺を睨みつけてきた。
もしかして、俺に対抗心があるとか……
でも、駒形さんは負けですよ……
「俺は、休日は毎時間、平日もほぼ毎日やっています」
すると、彩華さんが両肩を掴んだ。
「和真殿!しっかり勉強をしなければいけませんよ!」
「大丈夫です。勉強もしっかりしていますから」
「いいえ!駄目です!いつか痛い目を見ますよ!」
と貴方は俺のお母さんですか?と聞きたいほど、俺の事を心配してきた彩華さん。
俺の事を心配してくれるのは、嬉しいが、心配しすぎです。
「和真さん!私とフレンドになって下さい!」
彩華さんをどかし、俺の手を握る木嶋さん。
木嶋さんは、自分がやっているオンラインゲームを俺に見せる。
「このゲーム?和真君はやっていますよね?」
木嶋さんが見せたゲームは有名なゲームだ。
グラフィックはとても綺麗で、やりこみ要素がたくさんあって面白い。
「私、このオンラインゲームをやっているのですが、まだ初心者で弱いのです……だから経験豊富で強い人とフレンドになって、アイテム交換とか一緒に狩りに出て、色々と交流したいのです」
たくさんやっている=強いとは限らない。
だから、そんなに期待されても困ります。
だけど、多少は、木嶋さんの力になれると思います。
「これ、俺のフレンドIDです」
「ありがとうございます!」
ラ◯ンでIDを送ると、木嶋さんはとても嬉しそうだった。
「ねぇ、木嶋さん。あなたがやっているゲームはこれかしら?」
「そうです!」
「なら、私からもプレゼント。話きっと木嶋さんの力になるわよ!」
「あんたにも、私のID送っておくから。きっとあんたの力にもなると思うから」
と駒形さんのIDを受け取った俺であった。
「皆さんだけで、盛り上げってずるいです!」
不機嫌な表情をする彩華さんが俺たちの会話に入ってきた。
そんな彩華さんに木嶋さんはこう言った。
「ねぇ彩華さんも私達と一緒にゲームをやりましょうよ!」
そんな木嶋さんに彩華さんは戸惑いの表情をした。
「私、そういうの無理ですよ……何しろゲームなんてやったことないですし」
「大丈夫!私たちが教えてあげますから!」
「本当に大丈夫ですか?私、皆さんの足を引っ張るだけですす……」
「大丈夫!最初は皆そうですよ!」
「なら、初めて見ようかな……」
と後日、彩華さんはゲームを始めた。
その結果、
「皆さん!一緒に冒険しましょう!」
毎日のようにラ〇ンが来るが、あの時、「ゲームのやりすぎは良くないですよ!」的なこと言っていましたよね……
そう思った俺は、彩華さんにラ〇ンを送った。
「彩華さん、ゲームばかりは良くないですよ」
そして、こんな返事が返ってくるのであった。
「大丈夫です!しっかり勉強も両立しているので!」
それならいいですけど……
彩華さんが勉強をしっかりしているなら、それでいいのだが……
こうして、貴重な貸し切り遊園地を体験し、オンラインゲーム仲間を手に入れた俺は、また新しい生活に進むのであった。
ある日のオンラインゲームの日
俺はあることに気づいた。
「駒形さん……もしかして……」
「そうよ、私が、日本でトップ4に入るユーザー、こまちゃんよ!」
まさか、あの駒形さんがあのユーザーだとは……
読んでくれてありがとうございます!
次回も宜しくお願いします!




