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5 木嶋 唯のお弁当


――ある日の昼休み――


4限目が終わると、一部のクラスメイト達が机やらを動かし始めた。

仲の良い友達同士でお弁当を食べ始めるだろう。ここには学食も存在する。そのため、もう一部の生徒たちは学食に向かうものも多く、教室を出るものもいる。俺は、学食派の人間なので、学食で食べよう。

俺は、席から立ちあがり、学食に向かおうとした。すると……


「和真君~!」


 俺の存在に気づいた木嶋さんが手を振る。

思わぬ客にクラスメイトは木嶋さんと名前を呼ばれた俺を見る。最初の頃にも言ったが、木嶋さんも、この学校ではかなりの美少女。まるで小動物みたいに可愛く、男子女子問わず人気がある生徒。だから、こうやって注目を浴びるのは必須だ。


「木嶋さんどうしたの?」

「実は、前のお礼をしたくてお弁当を作ってきたの!だから良かったら一緒に食べてくれないかな?」


 前のお礼とは、前一緒に下校したことだろう。そんな大した事はしてないから、一緒にお弁当を食べるなんて、おこがましいと思ったけど、木嶋さんの目の下にくまが出来ている。きっと、今日の朝早くから作ってくれたのだと伝わる。ただでさえ、家のお手伝いで疲れているのに……


「よし!一緒に食べよう!」

「じゃあ、冷めないうちにここで食べよっか」

「えっ?でも、ここにはクラスメイトもいるし、変な注目を浴びてしまうよ」

「いいのーいいのー気にしない!気にしない!」


 と言われ、俺の教室でご飯を食べることになった。なんなんだ。この状況!机を挟んで目の前に木嶋 唯と言う美少女が笑顔で俺を見ている。

そして、下を見れば、木嶋さんが作ったと思われる、お弁当が入った白い布の袋がある。

これを出したら、木嶋さんのお弁当が……


「どうしたの?食べないの?」

「食べます!」


 お弁当を取り出し、お弁当に包まれている白い布を取り外す。そして、二段弁当が露わに、一段目はおかず、2段目は……


「ちょっと、恥ずかしかったけど、作ってみたかったの……」


 まさかのハートマークが書かれている愛妻ごはん。よく、新婚さんのお弁当とかで、テレビで見かけるやつで、夢物語だとおもっていたが、まさかこんなところで、夢物語に出会うとは思ってもいなかった。そんな演出に驚きながらも、俺はもう一段のお弁当を開ける。そして、もう一段のお弁当を開けると和食中心のお弁当で、彩り完璧かつ、どれも美味しそうなおかずが現れた。


「これ、全部俺のために……」

「うん、和真君のために一生懸命作ってみた」

「じゃあ、食べるね」


まず最初に、きんぴらごぼうを頂く。


「うま!」


な、なんなんだ。このうますぎるきんぴらごぼうは!ゴマの風味と甘辛い味付けが、ご飯の意欲を進める!きんぴらごぼうを食べ終わり、次に卵焼きを取る。きんぴらごぼうがうますぎたから、絶対卵焼きも上手いに決まっている。俺は卵焼きを口に入れた卵焼きを味わう。ほんのり甘みがある卵焼きは、まるで木嶋さんの優しさを表したような卵焼きだ。


「どうかな?……」 

「木嶋さん!」

「は、はい!」

「うますぎです!」

「あ、ありがとう」


 顔を真っ赤にし、俺と目線を合わせない木嶋さん。クラスメイトがなんか、俺達を見てひそひそと話している。あと、この違和感はなんだ。しとやかな手触り、良く握ると暖かい。


「かかかかかかか、和真君!」


 心なしか、木嶋さんの顔がより一層、顔が真っ赤になっているような……まさか……目線を下に落とすと、俺は木嶋さんの手を握っていた。クラスメイトがいるのに……


「ご、ごめん!」


「ううん、大丈夫だよ!」


 その後、「……」が続き、気まずい空気になってしまった。木嶋さんのお弁当を食べながら、何か会話をしなければ、なんて考えているが、気まずすぎて、何も思いつかない。

こうして、黙り続けて、かれこれ数分がたった。

すると、木嶋さんの様子が……


「木嶋さん?大丈夫?」

「あ、うん、大丈夫だよ!」


 木嶋さんはあくびをし、腕を伸ばす。ここまでして、俺に好かれるためにわざわざお弁当を作ってきだ……ここまでしてくれた事には、とても嬉しいけど、なんか、もやもやする……


俺は、このままで、良いのだろうか?


「ありがとう。木嶋さん」

「えっ?何が?」

「ほら、木嶋さん。家の手伝いもやっているんでしょ?それなのに朝早くから、俺のお弁当まで作って、ほんと、嬉しいよ。あの、もし木嶋さんが良ければ、今度どこか空いている日に、食事でもいかない?」


 木嶋さんは、何度も瞬きをしたままフリーズしている。もしかして、嫌だったかな?俺なりに感謝するつもりで、誘ったのだが……


「是非!よろしくお願いします!」


 と木嶋さんは前かがみになる。喜んでもらえてなによりだが、近い……木嶋さんのやらかそうな唇が近くて、このままなんかの拍子で、キスできてしまうんじゃないかと思うほどだ。


「あっ、ごめんなさい!私ったら!」

「ううん。別に気にしなくてもいいよ。それよりも喜んでくれて良かった!」

「こちらそこ、こんな私を誘ってくれてありがとうございます!」


 こうして、木嶋さん食事に行く事になった。そして、具体的な内容を決めるために、連絡先まで交換してしまった。

初めての女子のアカウント………

それも美少女の……これは夢なのだろうか……

頬を引っ張っても痛みがある。

これは現実と言うことか……

ベットに寝そべり、ショートケーキのアイコンをじっと見つめていた俺であった。













読んで下さりありがとうございました!


良かったら、評価もしくは、登録のほうもよろしくお願いいたします。


あと、もう少しで、100ポイントまでいくところまできました。


これも皆様のお陰です!


ありがとうございます!

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