50 体育祭!
文化祭も終わった。
そして、次に待つのは体育祭……
俺が、一番嫌いな行事だ……
「はぁ……体育祭やだな……」
「分かるよその気持ち……」
俺と葵さんとは意見があう。
俺と葵さんは運動が苦手だ。
だから、このイベントは憂鬱なのだ。
それに比べて、あの二人はテンションが高い。
「今年は優勝をめざしますよ!和真殿」
「う、うん……頑張りましょうね……」
「なら、練習あるのみね!授業中の練習も大切だけど、自主練習もしっかりやらないとね!」
「そうですね……」
なんで、授業だけではなく、自主練までしなければならないのだ!
嫌だよ!どうして、そこまで優勝を目指さないといけないんだ!
「そうと決まれば、今度の休日から、私の家で自主練習をやりましょう!」
えっと……どういう事でしょう
なぜ彩華さんに家に行かなくてはならないのですか!
「私の家にはこう言う時のためにありとあらゆる運動器具とか揃えているからですよ」
「なら決まりね。今度休みの日。彩華さんの家で、トレーニングね」
嫌!休みの日くらいは休ませて下さい!
でないと、俺死んじゃいます!
「あの、ちょっといいかな。私、その運動が苦手で……」
「分かった。葵さんには優しいメニューを考えておくわ」
優しくそう言った駒形さん。
てっきり駒形さんのことだから「はぁ?運動が苦手だから何よ」的な事を言うのかと思っていた。
葵さんがいいなら、俺も良いよな……
「あの駒形さん。俺も運動が苦手なので……」
そう言った瞬間、「はぁ?」と言い駒形さんは俺をぎろっと睨んだ。
そして、腕を組みこう言った。
「その根性、私が叩きないしてあげるから、覚悟してなさいよ」
えっ?なんでそうなるのですか?
これじゃ、俺スパルタ教育確定じゃないですか
「あんたそれでも男?男なら根性見せなさいよ」
「そうですよ和真殿!男なら根性見せてください!」
と言われた俺は、何も言い返すことが出来なかった。
そして、休日を迎えてしまった。
休日
今日は、彩華さんの家で自主練習が行われる日だ。
だが、俺はゲーセンに居た。
なぜなら、俺は自主練習なんかに参加したくないからだ!
家に居ては、必ず誰かが、俺の家に来るだろう。
だから、今日はゲーセンだ。ここなら、誰も来ないだろう。
俺は朝から昼頃までゲーセンでゲームをした。
今頃、彩華さん達は、自主練に励んでいる頃だろう。
そう思いながら、俺は格闘ゲームなどをやる。
そして、また1時間くらい過ぎた頃
「見つけたわ……」
俺はゲームで負けた。
それと同時に俺自身も、ゲームオーバーするのであった。
駒形さんに捕まった俺は、みっちり拷問と言う名の練習をさせられた。
俺は、クラス対抗リレーと綱引き、後騎馬戦と、ムカデ競争くらいしか出場しないのに、何の意味があるのか分からない筋トレをさせられては、走り込みなどをする羽目になった。
お陰様で、次の日は、筋肉痛であちらこちら痛かった。
だが、次の休日も筋トレは容赦なく続いた。
そして、体育祭が近づくにつれ、駒形さんと彩華さんのご指導は熱が入る。
「もっと!本気をみせてください和真殿!」
「ほら、たるんでる!」
「遅い!もう一周」
彩華さんと駒形さんが声を荒らげ、俺にスパルタ教育をしてくる。
一方、葵さんにはこう言っている。
「葵さん、自分のペースで、無理しないでね」
「うん、頑張るよ」
まるで、天使のような笑顔を振りまく駒形さん。
全く、俺の時とは大違いだ。
「なにぼけっとしているのよ!ささっとやりなさいよ!」
こうして、俺は駒形さんと彩華さんのスパルタ教育を受けた。
――体育祭本番――
今までの努力が報われたのだろうか?
俺は、そこそこクラスに貢献でき、クラスメイトにも褒められたりした。
そして、俺達チームは優勝することが出来た。
案外、あの努力も無駄ではなかったのかも知れない。
――体育祭後にて――
「和真、ちょっといいかしら」
クラスメイトと喜びを分かち合っている中、俺は駒形さんに、人気のない場所に連れてこられた。
一体……?!
えっ、駒形さん何を……
俺は今、駒形さんに頭を撫でられている。
「和真、あんた本当に良く頑張ったわ。
「ありがとうございます……」
駒形さんに頭を撫でると、なんだか、恥ずか?!えっ?……
次の瞬間、俺は胸ぐらを掴まれ、駒形さんの方へ、引き寄せられた。
そして……
数秒続いた。
この時の事は、今でも鮮明に記憶に残っている。
「そのー……今まで、きつく当たってごめん……後、今日の和真かっこよかった……」
そう言い残し、駒形は走って俺の前から消えてしまった。
そして、俺は、あまりにも不意をつかれ、固まったのであった。
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