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木嶋さんを尾行したある日のこと。
俺と彩華さんは衝撃的な光景を目の当たりした。
それが、木嶋さんと葵さんが一緒にいること。
葵さんはあの日以来、誰とも関わっていない。
一体、どうして木嶋さんと葵さんが
木嶋は葵とこう言ったやり取りをする。
「お久しぶりですね葵さん」
「お、お久しぶりです……」
その後。木嶋と葵は屋上の扉を開け、外へと出た。
俺らからは木嶋さん達が何を会話をしていたのかは分からない。
だから、あの二人が今から何をするのは確かめる。俺は二人がいる屋上へ行こうと、屋上の階段を上る。
すると、彩華さんが俺の背服の裾を掴み、こう言った。
「和真殿。貴方はあちらのほうに行かないほうが良いです」
彩華さんがどうして俺を止めたのかは何となく分かる。
きっとこの後、良くない展開が待ってると思って俺を止めたのだろう。
だが、俺はここで立ち止まっていては駄目なんだ。
「ちゃんと確かめたいです」
俺はまだ信じている
木嶋さんは悪い人ではない。
「和真殿はこの後、後悔するかもそれませんよ。それでも構いないのですか?」
「うん、それでも構わない」
どんな結果が待ち受けていようと俺は受け入れる準備はもう出来ている。
「分かりました」
彩華さんは、俺の裾を放した。
俺は屋上に繋がる階段を一歩上り始めた。
さっき、俺はどんな事が起きても心の準備は出来ているなんてカッコつけたが、本当は、この先どんなことが待っているのか、正直怖い。
もしかしたら、木嶋さんの裏の顔を知ることになるかも知れない。
だけど、俺は信じている。
そして、屋上に続く扉の前についた俺はそっと扉を開けた。
今日は雨が降りそうな曇り空。
屋上にはあの二人以外誰も居ない。
だから、すぐに木嶋さんの目の前に立つ葵さんと、木嶋さんを発見できた。
だが、二人は変だ。
互いに向き合い、木嶋さんは葵さんにスマホを向けている。
一体何を……
と思った瞬間だった。
俺は衝撃的な光景を目にした。
なんと木嶋さんの目の前で、葵さんが制服を脱ぎ始め、葵さんが下着姿になった。
そして、その姿を木嶋さんは撮り始めた。
これは……
余りにも衝撃的な光景で俺は声も出ない。
その代わり、彩華さんが木嶋さんに声を掛けた。
「何をしているんですか?木嶋殿」
「やっぱり私の後を付けていたのですね」
と後ろを振り返る木嶋さん。
木嶋さんは今、にっこり笑っているが、そこからは狂気を感じる。
この瞬間、俺は理解した。
あの優しくて、可愛らしい木嶋さんは作り物……
目の前にいるのが、本当の木嶋さんであると……
「ねぇねぇ和真君ー。どうですかーこの葵さんの姿。和真君も興奮しませんか」
と言われたが、興奮するわけがない。
まるで木嶋さんに怯えているかのように震え上がる葵さんを見てどうして興奮するのか、理解できない。
俺は木嶋さんを睨みつけ、こう言った。
「そんな事をして何が楽しいんだ?」
と答えると木嶋さんは怪訝顔でこう言った。
「分からないですか?この良さ」
分かる訳がない。
何が良いのか理解も出来ない。
「分からない」
「はぁ……和真君もまだまだおこちゃまですね」
と首を横に振る木嶋さん。
すると、彩華さんが木嶋さんに詰め寄る。
そして、彩華さんはこう木嶋さんの尋ねるのであった。
「和真殿を貶めたのも木嶋殿ですね?」
「そうだよ」
「どうしてですか?」
「だって和真君は私のいい玩具になってくれるかと思ったもん」
すると、木嶋さんに対して、彩華さんは強烈なビンタをした。
「貴方は最低な人間です」
死んだような目で木嶋さんを見る彩華さん。
ここまで怒っている彩華さんは初めて見るかもしれない。
彩華さんと木嶋さんがやり取りしている隙に俺は葵さんに近づく。
「大丈夫ですか?」
すると、葵さんは涙をポロポロ溢し、こう言った。
「ごめんなさい……本当に騙してごめんなさい……」
葵さんが謝ることは何も無い。
むしろ俺が謝るべきかもしれない。
俺がもっと早くに気付いてあげるべきだった。
「俺は大丈夫です。それよりもよかったらこれ」
「ありがとうございます」
下着姿の葵さんに俺は自分のブレザーを羽織らせた。
そして、俺は木嶋さんを睨む。
もう一度言うが、あの頃の木嶋さんはもういない。
今いるのが、本当の木嶋さんだ。
「どうして葵さんにこんな事をした?」
木嶋さんはニヤリと笑いこう言った。
「なんとなくムカついたから。だってこの女、昔はおとなしい陰キャだったくせに、高校に入ったとたん、調子に乗ったから」
そんな事を理由で葵さんを……
なんとも身勝手な理由だ。
俺は今、とても怒りに震えている。
もしこれが、男子生徒だったら殴っていたかもしれないくらいだ。
「木嶋殿。今の発言から一つお聞きしたいですが」
「はいはい、どうぞ」
「木嶋殿と葵殿は一緒の中学校だったんですか?」
「まぁ、そうだった。正確には、2年くらいかな。その後は、私は転校したし」
「転校。それは親の都合とかで……」
「ううん、違うよ。ただ私がクラスメイトの子を虐め過ぎたからかな。最終的にはその子は死んじゃってさぁ!」
と笑いながら話す木嶋さん。
葵さん以外にも被害者が……
それも人を殺している。
それなのに、加害者である木嶋さんは反省するどころか、また虐めを……
木嶋さんはもう普通の人でもない。犯罪者だ。
しかし、ちょっとした疑問が俺にはある。
虐め、それは犯罪。
それなのにどうして平然と学校に来れているのか疑問だ。
そう思った俺は木嶋さんに聞いてみた。
「どうして木嶋さんは普通に学校に来られているのですか?」
「それはね、私のパパが揉み消してくれるから。なにせ私のパパ偉いから。あんた達と住む世界が違うの」
と言うと木嶋さんは手を叩いた。
そして、俺達にこう言うのであった。
「さて、あんた達は私の正体を知ってしまった。勿論、このまま帰す訳にはいかないけど分かっているよね?」
木嶋さんは俺達も、葵さん見たいにさせようとしているのだろう。
「さぁ、早く……さもなければあんた達のお友達の恥ずかしいー画像ばら撒くわよ……」
すると、彩華さんが笑い始めた。
そして、こう言うのであった。
「果たして貴方にそんな事が出来るのでしょうか?」
「はぁ?どう言う……」
すると、彩華さんは内ポケットから何かを取り出した。
そして、それを目にした木嶋さんはこう言った。
「ま、まさか!」
「そのまさかです」
すると木嶋さんは「ふふふ……」と下を向き笑う。
そして
「お前たち!やってくれるじゃねーかよ」
と木嶋さんはどこか楽しんでいるかのような表情を見せた。
窮地に立たされていると言うのに、まだ余裕があると言う事だろうか……
すると、木嶋さんはニヤリと笑った。
そして、俺の予想は的中するのであった。
「でも、あんた達の証拠は、無意味。パパが必ずもみ消してくれるわ」
そうなれば、木嶋さんの本性は誰にもバレないし、これじゃあ、葵さんも救えない上に俺達も……
「さぁ、それはどうかしら」
「その声は!」
木嶋さんは後ろを振り返る。
するとそこには駒形さんがいた。
「やっぱり、それがあんたの本性だったのね」
死んだ目で木嶋さんをみる駒形さん。
「駒形!やっぱりお前、私を知っていたのか!?」
「勿論、あんたは私の親友を殺した張本人なんだからね」
「そうか、やっぱり、あんたも同じ中学だったのね……」
はぁ……とため息を吐くと木嶋さんは先程の態度が嘘だったかのように覇気をなくした。
「消す順番を間違えたわ……これじゃあ、今までしてきたことを消すのはむりだ。はぁ……やっと普通の高校生活を送れると思ったのに、私の負けね……」
そのまま木嶋さんはふらふらと歩き出す。
それは、屋上の柵の方へ
まさかだが、このまま……
「駒形さん、どいてくれない?」
「このままあんたを死なせる訳にはいかない」
「なら、私にどうしろと」
「死んだ美緒の分まで、償いながら生きろ!」
「ただ、それだけだわ」と言い残し駒形さんは屋上を後にするのであった。
「和真殿。私達も葵殿を連れて、行きますよ」
と言われ俺達は木嶋さんを残し、屋上を後にする。
そして、残された木嶋さんは灰色の空を見上げていた。
一体、何を思っているのだろうか?
それを知りたい俺だったが、
もう知ることは不可能だ。
なぜなら、あの木嶋さんの姿を最後に俺達は木嶋さんを見るとこがなかったのだから……
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