4 放課後
やっと放課後を迎えた。
さて、帰ろう。
俺は部活に所属してないため帰る。
廊下を通ると、部活を始める準備に取り掛かる吹奏楽とかを見かける。そして、外を出ると、陸上部やサッカー部がウォーミングアップをしている。そんなグランドを通り、学校を出ようとしたら、後ろから声を掛けられた。
「和真君!」
手を振るのは、木嶋さん。
木嶋さんは駆け足で俺の方へ向かってくる。
「奇遇だね。和真君も帰るところなの?」
「うん帰るところ」
「じぁ、一緒に帰えろ。ねぇいいでしょ?」
「うん、いいですよ」
清水さんと登校しておいて、木嶋さんの誘いを断るのは、不公平だし、木嶋さんのお願いしてきた時の顔がピュアな子供みたいで、断れる訳がなかった!
俺は木嶋さんと帰る。
朝みたいに、べったり俺にくっいてくるどこかの誰かさんと違い、木嶋さんは俺の横をただ歩く。
「木嶋さんは、部活とかやってないの?」
「うん。やってない。本当は部活に入ってみたかったけど、私のおうちねケーキ―屋さんをやっているの。だからそのお手伝いをするため、部活には入れないんだ」
自分の思いを殺してでも、家のお手伝いをするとは立派だ。普通、今の年齢の子は、親に反発してでも、自分の事をやったりしたりする人もいると思うのに……
「偉いね。家のお手伝いを優先するなんて」
「そんな事はないよ。私はただ、当たり前のことをしているだけだから」
当たり前か・・・・・・
木嶋さんにとって当たり前かも知れないけど、俺からすれば立派だと思う。
「今日はありがとう。私こっちだから、またね」
「あ、うん。また」
ほとんど会話がなく、木嶋さんと別れることに。
朝登校したどこかの誰かさんとは大違いだ。
「待って和真君!」
「どうした?」
「あ、あの!最後に一個お願いしても良いかな?」
「お願い?」
「その!私の頭を撫でて下さい!」
顔を真っ赤にしながらも、木嶋さんはじっと俺を見てくる。きっと、相当勇気を振り絞って言ってきただろう。
「うん、いいよ……」
「では、お願いします」
俺は木嶋さんの頭を優しく撫でる。
こんな事をするのは初めてで、緊張する。
それにしても、木嶋さんの髪の毛はとてもサラサラしている。木嶋さんの表情を見れば、木嶋さんは頬が緩み嬉しそうだ。まるで、小動物みたいで、可愛い。
「ありがとうございます!これで、お手伝い頑張れます!じゃあ、また明日!」
木嶋さんは上機嫌に行くのであった。