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あの日以来、彩華さんから聞いた噂が気になる。
「おはよう、和真君」
と読書をしていた俺の視界に映り込んだ木嶋さん。
今日も相変わらず可愛い。
しかしなんだろう?
今日は木嶋さんを見ていても、あまりときめかない。いつもなら、可愛さのあまり、心臓がバクバク鳴りっぱなしだと言うのに……
「突然だけど和真君。今日の放課後空いているかな?良かったら私と放課後デートしない?」
と俺の手を握った木嶋さん。
その手はまるで、木嶋さんの優しさを表すかのようにとても暖かい。
いつもの俺だったら、手汗をかいていたかもしれない
そして、木嶋さんの誘いにものっていたかもしれない。
「ううん、今日は予定がある」
と俺は木嶋さんの誘いを断った。
どうしても彩華さんの言葉が気になる。
彩華さんの言葉を完全に信じたわけではないが、やっぱり、木嶋さんの事が気になる。
今、木嶋さんは俺を見て何を思っているのだろうか?
木嶋さんは俺を誘って、どうするつもりなのか?
木嶋さんは本当に俺の事が好きなのだろうか?
など、木嶋さんを見るとそんな事を思う。
そんな中、木嶋さんとデートなんてして楽しいのだろうか?
いや、考えるまでもない。そんなデート絶対に楽しくないし、こんな思いを持った俺とデートなんて、木嶋さんに申し訳ない。
だから、この目で証明してみることにした。
木嶋さんは綺麗で優しい女性だと
と言う事で俺は後日、彩華さんを呼び出し、その事を相談した。
そして、その結果、俺と彩華さんで木嶋さんを一週間、尾行する事となった。
だが、この尾行が、後に後悔する事になるとはこの時の俺はまだ知らなかった……
そして、それが、起きたのが、木嶋さんを尾行して4日目だった。
「さぁ行きましょう!和真殿!」
とどことなく楽しそうな彩華さんと一緒に放課後木嶋さんを尾行した。
スタート場所は教室を出た後だ。
いつも通り、教室を後にした木嶋さん。
だが、今日は、靴箱に向かうわけでもなく、部活動をしに行くわけでもなく、階段を登り続ける。
確か、この最上階は屋上だが……
「和真殿。木嶋殿は一体どこへ向かっているのでしょうか?」
と俺の近くで囁く彩華さん。
「こっちが聞きいたよ」とツッコミたいし、後、「顔近い!」とツッコミたいところだが、今は木嶋さんの動向に集中しなければ……
木嶋さんは今、階段を上り続け、明らかに屋上に向かっているのは明白。
だが、その目的はが分からない。
そして、木嶋さんが屋上の扉前についた時だった。
木嶋さんは屋上の近くで待っていただろう人物と接触した。
だが、その光景が俺と彩華さんは衝撃的すぎる展開だった。
「ど、どうして……」
「落ち着いてください和真殿。まだ木嶋殿が黒だと決まったわけではありません……」
だが、この光景を目の前にして落ち着いてられるはずがない。
だって木嶋さんが接触している相手は……
「お元気でした葵さん」
と葵さんににっこり笑う木嶋さんだった。
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