42
学校の授業も終わり、放課後。
今日の放課後は木嶋さんとデートだ。
俺は早々に身支度を済ませ木嶋さんの所に向かったのだが……
「ゴメン!和真君!私ちょっと用事があるの。だから少しだけ待っていて!」
と待ち合わせ場所と時間がかかれた紙をだけ渡されれ、木嶋さんはどこかへ行ってしまった。
俺は途方に暮れた。
木嶋さんとの約束は午後4時。
まだまだ時間がある。
その間、何をすればいいのだろう。
俺は一旦席に戻り考える。
今日はちょっとした課題が出ているため今から、やるべきか……
そろそろ中間テストが近いから勉強をすべきか
いや、勉強は家でやるとして、今から読書をして、時間を過ごそうか……
と色々考えている俺だが、情けない話、結論が出った。
そんな時だった、ある人が来た。
「よ、喜びなさい!か、和真!い、今から私がデートをしてやってあげても……!」
この上から目線で言ってくる、駒形さんから俺は離れる。
だけど、駒形さんは「ちょっと待ちなさいよ!」と俺の前に立ち塞がった。
そして、俺を睨みつけ、詰め寄る駒形さん。
「和真!どうして私から逃げるのよ!この私が放課後デートをしてあげると言っているのだから、快く快諾しなさいよ!」
と言う駒形さん。
本当、予定がなければ、快く快諾してあげたいが……
「ごめん!駒形さん今日はちょっと!」
「どうして?私の約束が嫌なの?……」
駒形さんの目が潤む。
もしかしてこれって……
嫌な予感がする。
俺がいる場には、他のクラスメイトもいる。
そんな中、駒形さんが泣いたらどうなるか、想像しなくても検討はつく。
参った……俺は今、とんでもない爆弾を抱えたようだ。
一歩間違えれば、駒形さんと言う爆弾が爆発する危険がある。
俺は適当な事を言ってなんとか、駒形さんを退かなければならない。
「いや、駒形さんとは付き合ってあげたいよ!だけど、他の約束も……」
「他の約束?それって、私よりも大事?……」
うるうるした瞳で見つめてくる駒形さん。
こんな状態で断ることなんて出来るわけがない。
だけど、木嶋さんとの約束が……
「いや、大事とかじゃなくて、先約だから守らなければ……」
すると、駒形さんは舌打ちをした。
そして、態度ががらりと変わった。
「どうせ、木嶋さんの約束でしょ?」
「う、うん」
「なら、そんなの無視しちゃいなよ」
と言った駒形さんは俺の手を握る。
そして、駒形さんは不敵に笑う。
まるで、なにか悪巧みをしている表情をしている。
なんだか、嫌な予感がする。
「ほら、和真。あいつがこないうちに、ちゃっちゃと行きましょう!」
と俺を強引に連れ出す駒形さん。
駒形さんの力は強い。なので俺も、本気で抵抗しても良かったが、これでは駒形さんが怪我をしてしまったり、変に本気でやると、まるで本当に俺が嫌がっているようで、駒形さんに申し訳ない。
とそんな思いやりある俺の心が邪魔をし、結果、俺は駒形さんに引っ張られついに廊下の外に出るところまで来てしまった。
だが、廊下に木嶋さんが現れた。
「遅いと思って様子を見に来たら、なにしているのかな和真君?」
木嶋さんがいると言う事は……
俺は時計を見る。
時刻は午後4時15分。
木嶋さんと約束した時間より15分オーバーしている。
「あれ、駒形さん奇遇だね。何しているの?」
「別にただ和真君とおしゃべりをしていただけかしら」
二人は笑っている。
けれど、2人からはバチバチしたオーラが漂う。
「あの、2人とも……」
この二人は離したほうがいい。
そう俺の中で警鐘をならしているような気がする。
「なに、和真?」
「なにかな和真君」
二人の声が重なる。
そして、俺の方を二人は見る。
この二人は素敵な笑顔で俺を見ているが、明らかに怒りがあるような……
「いえ、なんでもありません……」
「そう、なら黙って」
とその後二人はちょっとした小競り合いを始めた。
そして、結果的には……
「駒形さん。一応言っておくけど、和真君と先に帰る約束をしたのは私だからね」
「わ、分かっているわよ!だからと言って遠慮なんてしないから!」
と右の腕には駒形さん、左の腕には木嶋さんがいる状態である俺。
これをハーレム状態と呼ぶべきだろうか……
「駒形さん、少し、和真君にくっつきすぎじゃないの?」
と言い木嶋さんは自分の方へ俺を引っ張る。
それに負けじと駒形さんが抵抗する。
「そう言う木嶋さんも、和真にくっつき過ぎだし!」
駒形さんが俺を力強く引っ張る。
そして、これがお互いに何回も繰り返されるのであった。
――歩き続けること5分――
木嶋さんがある店を指差し、こう言った。
「和真君、ちょっとここへ寄っていこう!ついでに駒形さんも!」
と駒形さんが完全に油断している隙に俺を引っ張り、店の方へ
「ちょ、ちょっと!待ちなさいよ!」
俺の腕に絡みついていた駒形さんも店に入る。
――店内――
店の中は、おしゃれなカフェだ。
木嶋さんは俺から離れ、ある場所に向かう。
なんだろう?と思いながらも俺達も木嶋さんの後についていく。
「ごめんね、待たせたよね」
とある人物を見つけるなり、そう言った木嶋さん。
そして、その人物はため息をつき、こう言うのであった。
「人を呼び出しておいて、遅刻とは非常識ではありませんか?」
読んでくれてありがとうございます!
次回もよろしくお願いします!




