35 思い
次の日
駒形さんと廊下とすれ違った。
「こ、駒形さん。おは……」
「……」
駒形さんは俺を無視した。
まるで、その場に俺がいなかのように、そのまま俺とすれ違った。
「こま……」
もう一度、駒形さんを呼び止めようとした。
けれど、駒形さんが無視ししているのは、きっと俺のせいだ……
あの時、木嶋さんの手を取ってあげなかったから・・・・・・
あの時、木嶋さんを信じてあげられなかったから・・・・・・
だから、駒形さんを呼び止める資格は俺にはないかも知れない。
――教室――
あの一件以来、俺の生活はまた振り出しに戻った。
信じてくれた人を自分自身で裏切ると言う災厄な形となって……
「か、和真君、元気がないけど、だ、大丈夫?」
相変わらず、毎朝、俺に話を掛けてくる木嶋さん。
最近、俺は木嶋さんを泣かされたばかりなのに、よくも諦めない人だ。
「もう、来ないでくれるかな?……」
もう、木嶋さんを遠ざける気力もわかない。
もう、誰とも関わりたくないや・・・・・・
俺は机に伏せた。
そして、今日一、誰とも接することなく、ただ一人で過ごした。
放課後
俺は教室を出た。
すると、だれかが俺の腕を掴んだ。
振り返るとそこには木嶋さんがいた。
「木嶋さん、離してくれる?」
「嫌です!」
なんだろう?
なぜか、木嶋さんが不機嫌な表情をしているように感じる。
だけどまぁいいや……
木嶋さんが怒っていようが俺には関係ない。
木嶋さんが腕を離さないなら、力ずくで離すだけ。
俺は木嶋さんの腕を振り払おとする。
けれど木嶋さんの手は離れようとしなかった。
「私、離さないよ!」
木嶋さんは俺の腕を強く握りしめる。
一体、なぜそこまでするのか分からない。
分からない
分からない
分からないから、ムカつく
「やめてくれ…」
俺は木嶋さんに怒りの感情が芽生えていた。
そんな時だった……
「いい加減にしてください!」
その瞬間、俺は木嶋さんからビンタされた。
それは、なかなか強烈な一撃だった。
けれど、どうして俺が殴られなければ……
俺は木嶋さんを睨んだ。
けれど、木嶋さんは言葉を続ける。
「いい加減、私の思いにも気づいてください!私は今、和真さんのことが心配で仕方がありません!なのに和真さんに声を掛ければ無視。そんなのないですよ……」
木嶋さんは俺に思いをぶつけた後、泣いた。
いつもはおとなしい木嶋さんがこんなに怒ってくるところ初めて見た。
そこまで、木嶋さんは俺に対しての思いがあったのだとこの時、初めて知った。
けれど、木嶋さんはずるい。
あの件から俺がどんだけ苦しい思いをしたのか知らないくせに、自分の思いだけ、俺に押し付けるなんてずるい。
ずるすぎる……
ずるすぎると言うのに……
なぜか涙が出てくる。
どうしてか、分からない。
分からないのに涙が止まらない。
読んでくれてありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!




