34 駒形さんを信じたい……
一体、今何が起きている……
駒形さんが俺を騙していた?
なんだよそれ?
冗談も大概にしてくれ……
だって、駒形さんは俺の事を信じてくれると言ってくれたじゃないか……
だから
「う、嘘だよね……駒形さん」
「当たり前じゃない!」
「いいえ、和真殿は騙されていますよ」
「あんた!でたらめなこと言って和真を奪おうとしているでしょう!?」
駒形さんは彩華さんの胸ぐらを掴んだ。
けれど彩華さんは冷静に反論をする。
「いいえ、そんな事はありません。それよりもでたらめなことを言っているのは貴方じゃありませんか?
「あんたいい加減にしなさよ!」
駒形さんは彩華さんをビンタした。
それは、かなりの音で駒形さんが怒っていると分かる。
「和真!行きましょう!」
「ちょ、ちょっと待って……」
駒形さんが俺を無理矢理連れて行こうとする。
けれど、駒形さんについて行ってもいいのだろうか?
もし、彩華さんの言葉が本当だとしたら……
「どうしたのよ?!」
駒形さんが物凄い表情で見てくる。
それに俺を掴む力が強くなっている。
「どうやら、和真殿は駒形殿のを信じられないようですね」
「いや、そんなことは……」
駒形さんの事を信用できないわけではない。
だって駒形さんだけが俺を信じてくれた雄一の人物。
だから、駒形さんを信じる。
信じる……そう思っているのに……
体が言う事を聞かない。
「和真、もしかしてあんたも……」
「いや……」
違う!違う!違う!そう言いたいのに……
「もう、いいわ。和真」
駒形さんの目から涙があふれ出ている。
俺は駒形さんに言いたい。
違う!駒形さんのことは信じている!
そう言いたいのに……
「さようなら 鈴木 和真君……」
「ちょ、ちょっと……」
その瞬間、俺の腕を強く握っていた駒形さんの手がなくなった。
確か、その手の力は痛くて、早く離してほしいと思っていたのに……
それがなくなった瞬間、なんだか虚しく感じた。
「これで、駒形殿はいなくなってしまいましたが、和真殿は追わなくても大丈夫ですか?」
彩華さんは駒形さんが居なくなったことを嬉しがっている。
その嬉しそうな表情に俺は苛立ち始めた。
彩華さんが来たせいで……
彩華さんがここに来たせいで
彩華さんがここにいるせいで!
俺は彩華さんの胸ぐらを掴もうとする。
そして、「どうして、こんなことをする!?」
と聞きたかった。
だが……
「和真殿、暴れるのは勝手ですが、しっかり場をわきまえてください」
彩華さんが言っていることは正しい。
だから、俺は何も言えず、何も出来なかった。
なんて、自分が情けない
俺は彩華さんを飽きられめ、駒形さんの後を追いかけることにした。
だけど、どこを探しても、駒形さんの姿はもうなかった……
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