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偶然とは恐ろしいものだ。
「か、和真殿と駒形殿……どうしたここに……」
まさか、このデパートで会いたくない人物と遭遇する羽目になるとは……
「あ、あんたこそ、どうしてここに……」
駒形さんもかなり動揺している。
てっきり、駒形さんが仕組んだものかと少し思ったが、駒形さんの反応を見るとそうではないよう。
だとすると、これはお互いに想定外な出来事であることに違いない。
――ファミレスにて――
折角会ったと言う事で、俺達は場所を変え、すぐ近くのファミレスに来た。
だが
「…………」
「…………」
「…………」
今、この空気がとても重苦しい。
皆、誰も顔を合わせようとしないし、席に置かれた食事にも誰も手をつけない。
勿論、誰も会話をしない。
ただただ、黙っているだけの時間。
まるで、何かの修行をしているよう。
俺はその空気を変えるため、彩華さんに話をしてみた。
「ぐ、偶然だね……彩華さん」
「そうですね……和真殿……」
「……」
駄目だ。会話が続かない。
まぁ、あの一件が会って以来の再会だ。
会話が弾まなのも無理がない。
なのでここは駒形さんに話を振ることにしてみた。
「そ、そう言えば駒形さん。それ美味しいの?」
俺は駒形さんが今、食べている物を会話を図ることにしてみた。
だけどそう上手くはいかない。
「別に普通」
「そ、そうなんだ……」
駒形さんはそう呟いた。
けれどもう少し話を繋げられるような反応をして欲しいものだ。
俺の試みもむなしく重苦しい空気が3分くらい続いた。
「か、和真殿たちはどうしてショッピングモールに……」
久しぶりと言うことで、どこかぎこちなさがあるが、彩華さんが口を開いてくれた。
これは、この空気を変えるいいチャンスだ。
そう思い、口を開けた瞬間だった……
「そう言うあんたはどうしてここに?もしかして私達の後を追いかけてきたとか……」
全く、駒形さんは余計なことを言わないで欲しい。なぜなら、彩華さんが一瞬、イラッとしたように感じた。
なんだか、修羅場になりそうな雰囲気……
そして、その予想は的中する。
「いいえ、私は、最近できたショッピングモールに興味があったからです。そう言う、駒形殿は和真殿と」
「別に、あんた達が和真君に関わろうしないんだから、良いじゃない」
「それはそうかもしれませんが、貴方はそれで良いんですか」
「えぇ、別に構わないわ。だって、私はあんたと違って和真君のこと信じているもの」
彩華さんにとっては一番痛いところをつかれただろう。
彩華さんは黙り込んだ。
けれど数秒経過した後、彩華さんは「はぁ……」とため息をついた。
そして衝撃的な言葉を言った。
「ほんと、昔から貴方はクズですね。そうやって、男子をたぶらかして楽しいですか?」
その時の彩華さんは、ほくそ笑んでいた……
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