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「あ、あの、和真君。い、いい加減機嫌直したらどうかな?ほら、もう2週間くらい過ぎたじゃん。いい加減、前を向かないと……」
「……」
毎朝必ず来る、木嶋さんにはもううんざりだ。
それに最近は「許して欲しい」から「もう、いい加減機嫌直したら?」的なことを言ってくるようになってきた。
それが余計に許せない。
一体、俺がどんな思いをしたのか分かっていない。
雄一知っている人物だとしたら……
「おはよう、和真」
「おはよう、駒形さん」
最近、駒形さんは俺のことを「お前」なんて呼ばなくなった。
なんでだろうか?
不思議なことだが、なんだかうれしい。
「ど、どうしてかな?どうして駒形さんは無視しないの?お、教えてよ」
木嶋さんは目がうるうるしている。
今にも泣きそうな勢いだ。
けど、俺は無視する。
「ど、どうして私だけ……酷いよ酷いよ和真君!」
木嶋さんは泣きながらどこかへ行ってしまった。
確かに俺がやっていることは酷いことかも知れない。
けど木嶋さんがやっていることも俺にとっては酷いことだ。
「追わなくていいの?」
「別に構わない」
「ふーんあっそ」
駒形さんは木嶋さんに興味がない様子だ。
それよりも……
「どうだった?」
「駄目ね。あの二人は私と喋るには喋るけど、和真の事になると話を逸らされてしまうわ」
駒形さんと和解した後から、駒形さんには俺を貶めた犯人を捜して貰っている。
だけど、今日も収穫はなし……
「けどいい報告もあるわよ」
いい報告?
どんなことだろうか?
「教えてくれる?」
「どうしようかなー?」
なぜか勿体ぶってくる駒形さん。
余計に気になるではないか……
「一生の頼みです!教えてください!」
「あ、あんた一体……」
駒形さんの顔が真っ赤だ。
どうしてだろうか?
そう思い視線を落とすと俺は勢いで駒形さんの手を握っていたようだ。
「ご、ごめんなさい!」
ここは教室。
もし、こんな姿を他の誰かに見られてしまったらと思うと恥ずかしい。
「ふん!もう教えない」
お陰様で駒形さんの機嫌を損ねさせてしまった。
これでは聞きたいことも聞けない。
「お願いします!教えてください!」
気になる!
気になる!
俺は頭を下げてまでお願いした。
そんな思いが伝わったのだろうか……
「な、なら私のお願い一つ聞いてちょうだいよ……」
恥ずかしそうにそう言った駒形さん。
なんだか、その反応が気になるところだがお安い御用だ。
「はい喜んで!」
この軽い返事が後に駒形さんと休日デートとなるがこの時の俺はまだ知らない。
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