23 優しい人間にはしっかり応えよう!
昼休みのハーレムから時は過ぎ放課後。
彩華の教育はここから本格的に始まった。
「さぁ和真殿!私と一緒に放課後デートをしましょう!」
机にドン!と手を置いた彩華は興奮している。
一応言っておくが普段彩華が、皆に振舞っている姿としては常に清楚感あふれまるでお嬢様的な存在感を放っている。
だが清楚キャラが壊れている彩華を見たクラスメイトの視線が彩華に注目している。
一方、当の本人は胸を押さえはぁ……はぁ……と荒い息をし、いつものキャラが壊れていることに気づいていない。
「あのー彩葉さんクラスメイトが貴方を見ていますよ……」
「えぇ、知っています。だけどそれでいいのです」
興奮気味に笑う彩華。
その姿に俺はあることに気づいた
もしかしてこいつ、ドⅯなのか?
普通クラスの視線に気づいたら、恥ずかしがったりこんな大胆な行動はしないはず。
だが彩華を見ていると喜んでいるように気がして仕方がない。
「あのー彩葉さん。やっぱり回りの生徒が見ているから……」
「大丈夫!見てくださいこのクラスの視線。この私を偏見するような目、あっ!たまらないですぅ!」
興奮しすぎのあまり語尾もおかしくなっている彩葉。もうこれは、どうすることの出来ない、いたーい奴だ……
こんな姿をさらさなければ木島につぐほど好感度があったというのにとても残念だ……
彩葉の教育が終わった訳ではないが、俺は自分の席から立ち上がり彩葉から距離を取ることにする。
さっきからクラスがみる俺の目も変だ。
「どこに行くのですか?和真殿」
「えっーとお手洗いに」
「そうですか、私は待ってくるので、ゆっくりしてください」
暖かみのある笑みを浮かべた彩葉。
その笑みに罪悪感みたいなものを感じるが仕方がないことだ。
俺はクラスメイトの視線が向けられる中、廊下に出る。
しかし参った……
お手洗いに行ってくると言って彩葉から離れることが出来たが、彩葉は俺が帰ってくるまで俺待つだろう。そうなれば俺は一生帰ることができない。
それにお手洗いに行ってくると言った後の彩葉の表情。それを見たお陰で彩葉から逃げることに罪悪感を感じてきた。
やっぱり……
俺は教室に戻る。
「彩葉さん!今から一緒に帰りましょう!」
彩葉はドMである。そんな奴といると俺も変な目で見られるのでは……そう言う不安がある。
けれど彩葉はあのメンバーの中でダントツと言っても良いほど優しさ溢れる生徒である。
そんな生徒に裏切る行動を取る。
それは間違っているかも知れない。
だから俺は彩葉の手をとり彩葉と放課後の教育を受けることにした。




