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22 物欲を抑えたければ目を閉じ耳を塞げ!


次の朝教室にて


俺は葵と彩華に怒られた。


「どうして!木嶋殿と帰っちゃたのですか!」

「そうですよー!」


いや、お前たちが俺を逃がしただけだろう。

と言い訳を言いたい俺だが二人はまるで俺を悪者扱いしてくるように詰め寄る。


一方、俺の近くではクラスの一部の男子から殺気だっている奴、女子からは変な目で俺を見るなり、友達同士で俺の陰口をしているような生徒がいる。


「わかったわかったから場所を変えよう」


ここでは変な噂や男子から殺されると判断した俺は人気のない屋上近くの階段に場所を変えた。


「それでどうして私達を放置して木嶋さんと帰ったのですか!」


クラスにいた時よりも詰め寄る葵。


(やばい!ちかっ!)


目の前には葵の顔がドアップで映る。

そして下に視線を移せば葵のあれが当たっている。(多分、葵がわざとやっているはず)


そっちが気になるせいか俺は「えっと……」や「そのー……」しか言葉が出てこない。


思春期真っ只中である俺にとっては刺激的演出である。


するとずっと黙っていた彩華が俺に近づく。


「和真殿、貴方には教育が必要ですね……」

「えっ?……」


壁ドンをしてきた彩華。

もし俺が女子で彩華が男子だったら俺はときめいてしまうシチュエーションだろう。


だが、現実は違う。なにせ壁ドンした壁がめきめきと言っている。


まぁそんなとりあえずおいて、彩華が言う教育とはなんだろうか?


きっと彩華のことだ。良くない教育とやらが待っているはず。それが分かっているからこそとても不安だ。


もしかして俺は今日あたり死ぬんじゃないだろうか?


俺はごくりと静かに息を吞み彩華に尋ねてみる。


「き、教育とは具体的に……」


彩華は黒縁の眼鏡をクイッとあげる。


「そうですね、私との放課後デートからあんなことそんなことまで色んなことを教えます。そして和真殿には私をデレさせて貰うつもりです」


はぁ……はぁ……と興奮しているかのような荒い息をする彩華。はやり俺が思う通り良くない教育が待っているに違いない。


昼休み。


やはり俺が思っていたように良くない教育が待っているようだ。


「あのー彩華さんどうしてここに?」

「言ったじゃあありませんかこれも教育ですよ」


机をピッタリくっつけお弁当をあける彩華。

お弁当の中身ををちらっとみるととそこにはとても彩り豊かなおかずがある。正直、どれも美味しそうだ。


「和真殿はどれが好きですか?良かったら好きなのあげますよ」


なら俺は迷わず唐揚げを選ぶだろう。なにせ唐揚げは俺の大好物である。


だがこれは彩華の罠だ。


どうせこの後、「口を開けてください。さぁ、あーん」的な展開が待っているだろう。


それは絶対にごめんだ。


なにせクラスで目立つ羽目になる上に男子の視線が異常なほど俺に向けられる。


「俺はいいよ。彩華一人で食べなよ」


と言いつつも本当は唐揚げが食べたい!

だがこれは罠だ。罠罠罠罠罠だ。


「そうですか残念です……」


彩葉はおかずに手をつける。そして唐揚げを掴み口に運ぼうとする瞬間


上手そう!食べたい!


と思いながら俺はその様子をちらっちらっと見た。


「和真殿、顔にゴミが……」

「え?」


その瞬間だった。不意に彩華の唐揚げが入り込んだ。


「和真殿は唐揚げが好きなんですね」


嬉しそうにそう答える彩華。

するとぞくぞくと奴らが近づいてきた。


「和真さんー私の唐揚げも食べてくださいよー!」

「ふん!仕方がないわね。たまたま売店で売った唐揚げパンあんたにやるわ!さぁ、口を開けなさい!」


「和真くん!良かったらどうぞ!」


「ちょっと私が先ですよー」

「ちょ、清水 葵 私を押すな!」

「そう言う、駒形さんも私を押さないでください!」


俺の周囲には唐揚げを俺に食べさせよとしてくる美女たちに囲まれた。


これを世で言うハーレム状態と言うのであろう。


こうして美女から貰った唐揚げを食べた俺はもう当分、唐揚げを食べないようにしようと決めたのであった。







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