16 好きな人は渡さない!
悔しいことに俺は木嶋を助けるための作戦が思いつかなかった。
そのため俺は木嶋を助けるため駒形が立てた作戦で行こうと決めたのだが……
ひとつだけ駒形に、どうしても確認したいことがある。
「お前は、どうやって木島を助けるつもりだ……」
駒形は「私の作戦に任せてほしいと言った。」
だがその作戦の内容を話さない。
これではこいつが何をしでかすか分からない。
そしたらまた木嶋のように自分を犠牲にし兼ねない。
それだけは阻止したい俺は駒形に確かめてみたのだが……
「それはむこうについたら説明する」
駒形はそう言い木嶋を救う方法を教えてくれない。
一体どうしてなのだ?
まさか木嶋みたいに自分を犠牲に……
そう予感しながらも駒形の言う通り着いていった俺。
だがやっぱり気になる
「なぁ駒形。やっぱり教えてくれ頼む」
俺は頭をさげお願いしてみた。
勿論これで駒形が教えてくれる保証はない。
そしたら土下座もするつもりだ。
そう覚悟をしていた俺だったが駒形は「はぁ……」とため息をついた。するとポケットをあさりだしてきた駒形はスマホを取り出しスマホ画面を俺に見せてきた。
「こ、これは……」
俺はその画面に映し出された画面に驚いた。
「これを見せてあげたから後はおとなしく私の後についてきなさい」
そう言った駒形は歩き始めた。
なので俺も駒形の後を着いていった。
だが、駒形に見せられたあれには驚いた。
まさか木嶋がいまいる場所を特定するGPSをつけていたとは
一方、木嶋。
「ふぅ~なんとかあの二人を騙せたし、あの二人も撒くことができた。これで和真くんも無事に帰れる」
木嶋は誰もいない教室の教卓の下に体育座りの状態で身を隠し、そう嬉しそうに言った。
「どこ行きましたかね~和真さんは」
「ねぇー彩華さん。私もう飽きましたー」
まるで獲物を捕まえようとするような獣の姿である彩華に対して
腕を後ろに組みつまんなそうにしている葵。
「なら、帰って結構です。ただし和真殿を見つけたら私のものになりますから」
えへえへへへと興奮気味の荒い息とともに笑う彩華。
その姿は狂人と言う言葉がお似合いだ。
一方、彩華の言葉を聞いた葵は
「それは嫌です和真さんは私の物。ですから……」
そう言った瞬間、葵は彩華が立っている廊下より前に出た。
そして彩華に振り返った葵はこう言った。
「貴方には和真さんをあげませんから!」
その目はまるで負けられない!と言わんばかりに強い眼差しをしていた。
「はぁ……そうですか。これで邪魔者が一人消えたと思いましたがそうは簡単にはいきませんか」
「え、残念ながら」
そう言った葵はいつものようにぶりっ子キャラのような口調に戻った。
そしてそこには素敵な満面の笑みを浮かべた葵がいた。
そしてそれにつられてなのか彩華も自然と笑顔がこぼれこう言った。
「でも私は負けませんよ!」
「えぇそうじゃないと困ります!」
互いにがっちり握手を交わし彩華と葵。
二人は互いに協力をし俺に扮した木嶋をくまなく探すのであった。




