悪魔の大陸
周りを見渡しても岩と乾いた草しか見えない
ただの広大な地。
それを真っ二つにするように引かれた車道に一人の青年が歩いていた。
銃弾を弾く戦闘服、額から頬を引き裂いてる古傷など特徴が多いが何より目を引くのは背負っている巨大な剣である。
刀身だけでも青年の胸から足元までの長さがあり、刃幅は肩幅とほぼ同じ、刃先はギロチンの様に歪な形になっている。
その大掛かりの装備は見てくれだけではなく、青年が生き残る為の戦いに必要な物であった。
この巨剣すらも。
青年は目的地がある訳でも目的がある訳でも無い。
更に言えばこの車道の先にある地名すら分からない。しかし彼は何十キロメートルにも及ぶ距離を歩き続ける。
何かから逃げて来た訳でも一目を避けてる訳でも無い。
だか着実に歩を進めていた。
ふと青年は車道の先に黒い物がある事に気づいた、
かなり遠くにあるが大きい物という事は分かった。
最初は動いてなかったが黒い物体も蠢いた。そしてこちらに向かって来た。
明らかに自動車では無かったが、かなりのスピードだ。
近づくにつれて黒い物体の正体が分かってくる。
3メートルほどの高さで頭が付いている。大きなヤギの頭だった。そして痩せ細った人のような身体で四足歩行で走っている。
この世界では良くいる生物だった。
しかし温厚な生物では絶対に無かった。
横に伸ばした不気味な瞳だが明らかに此方に目を向けて走っている。ヤギ頭は青年に向かって突進しているのだ。
明確な殺意を持って。
この突進が当たればひとたまりもないだろう。
しかし青年は表情一つ変えずに歩みを止めない。
ヤギ頭が視界に入っていない訳ではない。この生物が危険という事を知らない訳では無い。
人類の敵だと知らない訳では無い。
しかし歩み続ける。
ヤギのツノが貫かないとばかりにこちらを向いている。突進のスピードも益々速くなっていた。
巨大の迫力、ヤギ目の殺意とツノの獰猛さ、一般なら後退りするだろう。
しかし歩き続ける。
10m先に来た瞬間にヤギ頭が更に加速した。脚力でコンクリートが粉砕し、ジェット噴射をしたかの様に欠けらが舞い上がる。
今青年の胴体を貫かんとした瞬間に、青年は巨剣の柄を手に取った。




