97話 史上最高の戦い
「ここなら広く、戦いに適しているでござるな」
そう言って【テールインペリアル】が改めて構えた場所は、もちろん学校の校庭。さっきまで体育の部が開かれていた場所で戦うんだ…なんか変な気分。
「では改めて始めましょうか」
『イグジストナイトメア』を使ったナイトは全体的に黒くなって大人な印象を受ける。それがまた色っぽくてちょっと興奮する。逆に猫耳とかつけて欲しい…。あれ?【テールインペリアル】の性癖って確かアニマルコスプレだよね…負けてもいいんじゃない?これ。
「行きますよ?ランプ」
「え?あっ、うん!」
いけないいけない!私たちには使命があるんだから!煩悩に支配されている場合じゃない!
「チェリー、準備はいいでござるか」
「当たり前でしょ?」
戦闘が…始まる!…かと思いきや膠着状態に。ナイトが動いてくれないと私は動きづらいんだけど今のナイトは1発でも食らったら終わりだし…。
「グゴ…オオッ…」
「へ?」
「ランプ!避けて!」
ナイトの声に反応して咄嗟に身体を反らす。この膠着状態で最初に動いて来たのは、中身が空洞の鎧武者!
【テールインペリアル】も鎧武者もあのリーチはなんなの!?20mくらい離れているのに刀で攻撃できるなんて…!
「『フレイムボール!』」
「ナイト!?」
ナイトが黒い炎の球を放出する。
「あの鎧武者は攻撃力が高い分動きが遅いので攻撃後に隙ができます。そこを突くのは鉄則ですよ」
隙…なんて私には見つけられないけどまぁいいや!わかったつもりで加勢しよう。
「『サンダーボール!』」
ナイトに続いて雷の球を放出する。
「やらせない!」
「あっ!」
【ドレスチェリー】の銃弾で私の魔法の方はかき消された。ナイトの黒い魔法は強化されているだけあってSR武器と言えども通常攻撃では止まらない!
「グ・・・ゴ・・・」
鎧武者は観念したように唸る。真っ黒な炎に包まれて炎上する様を見て
「やったぁ!」
と喜んだのもつかの間、
「ランプ!前!」
「え?」
「気づくのが遅いでござる!」
しまった!【テールインペリアル】が!
「『テールカット!』」
「くっ!」
ギッリギリで避けれた!・・・と思った瞬間
「ぐあっ!」
背中に斬られた感覚が…!?どういうこと?
「『テールカット』は2度斬る!」
なんかさっきもどこかで聞いたようなセリフ…二回攻撃コンビってことか、厄介な…。
HPはもう残り70。ユニーク魔法を二回食らってこれならマシかもしれないけど…ちょっとまずいねこれ。
「『インペリアルモンスター!』いつまでそうしているつもりでござるか!」
「ギギ…グォォォ!」
鎧武者が黒い炎を払って復活した。嘘でしょ!?
「ねぇテール。使ってもいい?」
「・・・良いでしょう。こちらの方が有利でござるからな」
な、何か来る!
「武器[千本桜]スキル発動!『義経!』」
5枚の桜の花びらがグラウンドを包む。
「ナイト! これ魔法を発動できなくする魔法だよ!どうする?」
「当然、発動を止めます!」
私とナイトは同時に【ドレスチェリー】に向かって走り出した。でも…
「行かせぬ!」
当然【テールインペリアル】が進路を塞いできた。
「くっ! 行ってナイト!私がなんとか時間を稼ぐ!」
「任せました!」
「行かせぬと申しているでござろう!」
今度は鎧武者まで進路を塞いできた。でも…
「『ショットガンランプ!』」
ここは力技に頼るしかない!
「『ショットガンランプ』、発動!」
「くっ!」
【テールインペリアル】が怯んでいる内にナイトは進む。『ショットガンランプ』が自分に当たらないように黒い立方体でブロックしているみたい。そんな使い方もあるんだ…。
雑に置いて発動したからそこそこ程度しかダメージを与えられなかったようで【テールインペリアル】はピンピンしていた。でも鎧武者の方はナイトの黒い炎のダメージと今ので完全に停止したみたいだね。
後はナイトが【ドレスチェリー】の武器スキルを止めてさえくれれば!
「はぁっ!!」
黒い立方体を纏わせて攻撃を仕掛ける。・・・いや、たしか【ドレスチェリー】って…!
「ナイト待って!その子は!」
「『パワーシールド!』」
「なっ!?」
新人なのに『パワーシールド』を引き当ててるんだった…!
「ふぅ。危なかった。[義経]、発動!」
「ナイト!まだ間に合う!発動してから魔法が使えなくなるまで確か1分くらいあるよ!」
「了解です。『フレイムボール!』」
「私も!『サンダーウィップ!』」
「某に雷で勝とうとは笑止千万!『サンダーウィップ!』」
やっぱりかき消されてしまった。でも…
「ジャーーンプ!」
「そこか!『サンダーウィップ!!!』」
今のうちに発動させたい!私は『サンダーウィップ』を甘んじて受け…発動!
「『ハニーコーティング!』」
白ピンクの衣装が白黄になりその上から透明な羽織を着る。これで防御は整った、間に合え!
「『ハニー…」
発動しようとした瞬間…グラウンドを囲む桜の花びらが一斉に輝き出した。…もう魔法は使えない。となると通常攻撃戦になるけど遠距離の【ドレスチェリー】とリーチの長い【テールインペリアル】が有利なのは間違いない。どうしよう…。
いや…私だけならある!
「ナイト!弓!」
「は、はい![ブライトアロー!]」
よし…ワンチャンスに賭ける!
「行くよ![スチールソード!]」
「なんのつもりでござるか?そんな短剣で我が[守人丸]の領域と戦うと?」
「もちろん」
「私を忘れてない?ほら!」
桜色の銃弾が私めがけて飛んでくる。でも…ピンッという音と共に銃弾が消え去る。
「え?」
「ナイトありがと。あとは…まかせて!」
【テールインペリアル】に向けてダッシュ!『ショットガンランプ』を受けたんだからHPはもう底をつくはず!なら…いける!
「甘いでござる。何もかもが!うりゃあ!!!」
来た!超リーチの斬撃。私との距離は約15m。これさえ、これだけ避けれたらいける!
「うりゃあ!!!」
気合の叫びと共にジャンプ!その間に【テールインペリアル】は構え直して…。
「そんなのお見通しでござる!」
ザクッ…と日本刀がお腹に突き刺してきた。プランと力が抜ける…フリをする!
ズルズルと鍔の方へと自由落下していき侍との距離は、もう2m。
「残念でした!私の勝ち!」
スチールソードで【テールインペリアル】の頭を突き刺す!・・・字体だとエグいなこれ…。
「な、なぜ!」
答えは簡単!『ハニーコーティング』のHP1残り効果!魔法が発動できなくなる前に発動して良かったぁ。
「チェリー!」
【テールインペリアル】がパートナーの名を呼ぶ。でも忘れちゃった?あっちの相手は…ナイトだよ?
「こっちは終わりましたよ」
「くっ!」
「私の…勝ちだね!」
HPが尽きた【テールインペリアル】はその場から姿を消した。
「んんんっ!勝ったぁ〜!」
明日は98話、99話、100話の3話投稿します。よろしくお願いします!




