70話 集結!
6月25日木曜日。今日も普通に学校に行き、普通に下校時刻を迎えました。
「輝夜ちゃーん!ブラッディ!また明日ね〜」
「はい!また明日〜」
「・・・うん!」
なんか日に日にブラッディの表情が柔らかく…可愛くなっていくなぁ。この勢いだとファンクラブとかできそう。
つい最近までは桜と帰ってたけど、ここ最近桜は近衛ちゃんと遊んで帰ってくることが多いから一人で帰ってる…なんか寂しい。1年のころはこれが普通だったのに。
「ただいま〜」
まぁ家には誰もいないけどね…。
「おかえりだお☆」
「キャアァァァ!!」
「ひっさしぶりの悲鳴、ありがとだお☆」
こ、この餅ぃ〜!
「…で?何の用?」
「忘れたのかお☆? 今日は『百合の日』。SNSで尊い絵を収集する日でありつつ魔法少女の特別戦闘の日だお☆」
あーー...そんなこと昔言ってたよ〜な言って無かったよ〜な…。覚えてないや。いや…そういえば夏休みくらいに聞いた気がする。
「あっ、ガチャのポイントも半分になる日?」
「そうだお☆。その他のルールはクリスマスと変わらないからまぁ頑張るお☆。忘れてるかと思って念のため確認に来てよかったお☆」
危なかった…シンプルに忘れて欠席になるところだったよ。
「『マジカルボード!』」
メルヘンチックにデコられたタブレット端末を召喚する。お?
≪百合の日特別ボーナス+25pt。140pt→165pt≫
やった!ボーナスポイントだ! 一回のガチャが半額の25ptだから…えっと…6回?ガチャれるのかな。
今未登録なのは…魔法2つの欄だけか。じゃあ2回ガチャろ。
≪ガチャ結果≫
魔法『アイス付与』 魔法『ハニーコーティング』獲得
あっ!ユニーク! それに付与魔法もだ!
「ランプは都合よくポンポンユニーク魔法を引いていくお☆…」
「都合よくって何さ!」
「何でもないお☆。そろそろ失礼するお☆」
シュンっとディスポンはどこかへ行ってしまった。本当は前の【吸血姫】について聞きたかったのに。
とりあえずこれで武器2つ、スキル3つ、魔法7つで登録できる全部の項目を埋めることができた!
やっと…やっとスタートラインに立てたよね?ナイト!
そして時刻は19時手前になり…
「『マジカルインストール!』」
さぁ、今日はどこに飛ばされるのかな? ブワッと冷たい風が吹いた。
・・・ここはーーー
アパートや家が立ち並ぶ場所…[星乃川南]か!【テールインペリアル】と戦ったアパートがすぐ隣にある…絶対に会いたくないなぁ。
広さが4分の1だからなぁ…早く魔法少女を見つけないと逆に見つかっちゃう!
よし、とりあえずジャーーンプ!アパートの屋上から探したほうがいいよね。
「「あ」」
そういえば聞いたことがある…「バカと煙は高いところが好き」と。じゃあこの銀髪ツインテ&眼帯娘と私は同レベルってこと!?
「なんでいるかなぁ…【ペインバタフライ!】」
「その言葉、そっくり返してやるぞ。えっと…ピンク服!」
「【ハニーランプ!】ちゃんと覚えといてよね」
「ふん! 前回は我も油断をしてしまったが、ここであったが100年目よ。お主も運がない…大魔導士である我と再び戦わねばならぬ己の不幸を嘆くがいい!」
いちいちセリフが長い…尺取りすぎだよこの子…。
「来て![メルヘンロッド]」
「≪暗黒に染まりし・・・」
でた!めちゃ長い詠唱! 待ってられるか!
「『サンダー・・・』」
雷のムチで攻撃をしようとした瞬間、【ペインバタフライ】の背後から陰が現れた!?
「武器[名槍:月姫]スキル発動『三日月!』」
聞き覚えのある声、聞き覚えのある技、見覚えのある輝く槍…。そう記憶を辿っている間に【ペインバタフライ】の胸を後ろから突き刺した!
「ぐあっ!? な!?【ネイベルナイト】・・・だと!?」
さすがに背後への警戒はしていなかったのか完全に直撃。それでもHPをすべて削れるわけではなかったようで一応戦闘は可能に見える。まだ私がポイントをとることもできそうだね…。
「・・・ナイト」
「本当に、よく出会いますね【ハニーランプ】さん。それとーーー姿を表したらどうです?後をつけていたのは気づいていますよ」
ナイトが背後に呼びかける。その言葉を発して3秒後くらいにまた一人現れた…って!
「きゅ、【吸血姫】・・・!」
純白の長い髪、真紅の瞳。忘れもしない最強の魔法少女…!
「あなたが誰かは知りませんが…ここにいる以上戦う意思はあると認識してよろしいですね?」
「構わない。ただ…」
ジッと私を見て、それから視線を【ペインバタフライ】に向けた。
「この戦いに死にかけの虫はーーー不要」
そう言うと【吸血姫】の手が紅く光り出し…
「弾」
「なに!?」
赤い光線が放たれ、【ペインバタフライ】を貫いた。元からナイトの攻撃でHPが削られていた銀髪娘に耐えられるはずもなくボーナスタイム待機場所へと消え去った。
「嘘・・・」
「・・・」
私もナイトも言葉を失う。そう、この【吸血姫】は圧倒的に強いんだ。
「次は・・・『剣』」
血色の剣の召喚してナイトに襲いかかる。
「『パワーシールド!』」
ナイトは流石の反応速度で攻撃を防ぐ。一瞬【吸血姫】が驚いた顔をしたように見えた。
「な!?」
ナイトの『パワーシールド』が剣を振っただけで壊された!?
ナイトが驚愕の声を漏らす。初めて聞いた声色に私がびっくりしちゃった。
なんとか反転して剣は避けたけどスレスレだった…。【吸血姫】が恐ろしいのはもちろんだけど、ナイトもよくついていけるな…。
「ふぅ。【ハニーランプ】さん…いえ、ランプさん」
「えっ? はっ、はい!」
突然ランプ呼びされたからびっくりしちゃったよ…。
「久しぶりの共闘…というのはどうでしょうか。正直彼女には勝てません。あなたもただ負けるより私に付いたほうが可能性があるのではないでしょうか?」
ナイトと…共闘…!
「うん!もちろん!」
それでも勝てるだなんて冗談でも言えないけど…ようやく戦いにはなりそう!




