6話 眠れない夜
『マジカルボード』に通知が来たのは19:00が1秒過ぎてからだった。
本当に私たち以外にはただの1秒だったんだ……
画面に表示された文字を目で追う。
≪【ハニーランプ】ポイント更新≫
戦闘開始前:100pt
↓
戦闘終了後:100pt
≪内訳:ガチャ1回−50pt。 戦闘勝利+20pt。 ボーナスタイム+30pt≫
≪weapos≫ 『メルヘンロッド』 sub 『未登録』
≪skills≫ 『ジャンプ能力向上』『HP+50』『未登録』
≪magics≫ 『インフェルノ』『サンダーウィップ』『ハニートラップ』『未登録×4』
えぇ……あれだけ恥ずかしい思いをしてボーナスタイムでは30ptしか稼げてないんだ……なんかショック。
あぁ〜、ダメだダメだ! 思い出したらまた恥ずかしくなってきた! それに顔も熱くなってくる。
もう寝ちゃおう。明日も学校あるし、輝夜ちゃんに寝不足の顔を見せるわけにはいかない……!
悶々として寝れないかと思ったけど、ベッドに入ってからたった5分で寝れた。さすが私。
◆
戦闘が終了して5分が経った。心臓はまだバクバク動き、鼓動のたびに身体が小刻みに震えるのがわかる。
つい5分前まで【ネイベルナイト】として戦っていた私は、今自室のベッドに籠って丸くなっている。
「いやー、久しぶりだお☆」
やはり来たか……このマスコット、ディスポンは煩くてどうも苦手だ。ちなみに久しぶりと言っても2ヶ月にも私の前に現れている。
「からかいに来たのですか?」
「まぁそうだお☆。数多の魔獣を葬り、世界を救った一因である【ネイベルナイト】が、駆け出しの魔法少女に負けたんだから、そりゃからかいたくもなるお☆」
魔獣を倒して貯めてきたポイントや魔法少女に勝って貯めてきた715ポイントの内、今日で50ポイントも失ってしまった。
圧倒的に有利であるはずのvs初心者という状況であったのにも関わらずだ。
だからこそ疑問に思った。こんなにディスポンにとって面白い状況が、果たして偶然に起こったことなのだろうか。
「まさか……ディスポン。あなた仕組みましたね?」
「……なんのことだお☆?」
「【ハニーランプ】さんの戦闘に、私を当てた……これはあなたが仕組んだことなんじゃないですか?と言いたいんです」
「さぁ?どうだかわからないお☆」
否定も肯定もしない……やはりこのマスコットは嫌いだ。
「でも1つ教えてあげるお☆」
「なんですか?」
「ナイトはストイックに見えて、その実自分の願いに疑問を持っている。それは弱点になるぞ。あっ!お☆」
「……ご忠告どうも」
「それともう一つ……」
ディスポンがここまで私に情報を開示するなど何年ぶりだろうか。まださらに何かを私に伝えるつもりなのか...
「指歯磨き、そんなに気持ちよかったのかお☆?」
「なっ……! うるさいです! この餅が!」
近くにあった目覚まし時計をディスポンに向かって投げつける。軽い身のこなしでヒョイっと避けられた。
「まぁその答えはその赤面と行為中の声でわかってるからもういいお☆。またいつかだお☆〜」
もう2度と来るな。そう心の底から思った。
「大体! 【ハニーランプ】さんもどうかしてます!人の口に指を入れるなんて……」
もう独り言になっているのは理解しているが止められない。
「でも正直、悪くは……な、何を言ってるんでしょう。私……」
そういえば宿題をやっていなかった。それに読みたい本を今日買ったばっかりでまだ1ページもめくっていない。
宿題と本で今日のことは忘れることにしましょう。そうでないと頭がおかしくなりそうですし。
「えっと……ここの集合が……」
モヤモヤ
「……ここで絶対値を……」
モンモン
「ううっ……忘れられない。」
こうして私、【ネイベルナイト】いや、美山輝夜は眠れない夜を過ごすことになるのです。




