68話 ほのぼの修学旅行
「いつまで寝てんだ〜? そろそろ起きろよ」
・・・ん?朝?
「先生おはよう〜」
「『ございます』をつけんか」
先生がズカズカ部屋に入ってくる。ちょっとからかってみよ。
「勝手に入らないでくださいよ〜。えっち〜」
「美山、ブラッディ、朝食だぞ。意外だな…朝弱いのか、美山」
「スルーしないで!?」
私の顔を見て「フンッ」と鼻で笑ったらそそくさと部屋から出て行った。
修学旅行2日目は朝ごはんを食べたらすぐに広島に移動するみたい。ほとんどの学校は2泊3日なのにどうして私たちは1泊2日なんだろ、って聞いたら
「ウチは3年に遠足を設けてるからな」
という回答…。遠足かぁ、どこ行くんだろ?
そんなことを考えてるうちに広島に向けて出発!
「山口県…よかったです」
「うん。よかったね…よくわからないけど」
「・・・楽しかった」
「ねぇ、あの子はどうしたの?ちゃんと帰した?」
そういえば朝起きた時にはもうあの幼女ちゃんいなかったな…。
「うん」
早朝に帰したんだ…いくら近くに住んでいるからって大胆なことするなぁこの子。
「灯さ…あっ、灯は広島で見たいところはありますか?」
まだ「さん」が抜けきってない輝夜ちゃん可愛い! 近衛ちゃんも早く「ござる」が抜けるといいけど…どっちが早く抜けるか勝負だね。私の中だけの勝負だけど。
「広島…もなんだかんだ何があるかわかんないや」
「クラスでは原爆ドームには行きますからどこか別のところ…宮島とかですかね」
「オッケー!どんだけ時間かかるか見とくね」
ふむふむ…原爆ドームからだと最寄駅までそんなに時間はかからなさそうだね。
「うん!いけると思う!」
「・・・宮島?」
後ろの席でブラッディが首を傾げた。
「行ってからのお楽しみ・・・って偉そうに言えるほど私は詳しくないけど」
思ったより時間もかからずに原爆ドームに到着。先に到着していた岡山組と合流する。
「よっす〜。山口どうだった?」
「山口は…よかったよ!」
「そっかそっか。私はデニムストリートで買物できたから満足満足!」
え!? 岡山ってデニムストリートがあるの!?ズル!そっち行けばよかった!
「灯はなんか買った?」
「・・・買ってはないけど…箸」
「え?なんで?」
そりゃそんな反応にもなるよね…。
「おーーい!中入るぞー」
「「はーーい」」
平和記念資料館ではさすがに普段通りのおちゃらけた会話はなく、粛々と見て回る雰囲気が作られる。正直難しいことはわからないけど、いつまでも平和に輝夜ちゃんと生活できるように見ていこう…!
「んじゃこれからは県内自由散策で。16時には戻れよ」
「「はーーい」」
「輝夜ちゃん、ブラッディ、行こっか」
「はい!」
「・・・うん」
とりあえず駅から宮島の方向に向かう電車に乗り込む。特に調べてはなかったけど「宮島口」って名前の駅に到着!
「船は・・・あそこですね!」
船に乗り込むと10分くらいで宮島に到着!思ったより早くつくんだね。
「あれ?鳥居・・・」
「海に浮かんでないですね…」
「浮かぶ?」
「あまり詳しくはないんだけど、宮島の鳥居…あの向こうの赤いやつは海に浮かんでるって聞いたことがあるんだけど…」
「潮の満ち引きの時間はわかりませんからね…仕方ないです」
ちょっと残念だけど仕方ないね。
「・・・!? 灯!輝夜!何これ!」
突然ブラッディが大声で叫んだ。何事!って思ったけど…
「・・・鹿?」
「鹿・・・ですね」
ブラッディが鹿に囲まれてタジタジしている。真紅の瞳で鹿を睨んでも鹿たちはお構いなしにブラッディに吸い寄せられる。動物に好かれる体質なのかな。羨ましい…とは言えないか。
「髪を食べるな! 私に寄るな!」
なんか可愛いしいつもと雰囲気が違うからずっと見ていたいけど…さすがにあの綺麗な純白の髪を食べられるのは可哀想だからダッシュで鹿せんべいを買って…
「ほれほれ鹿たち〜。せんべいだぞぉ〜!」
って言ったらほら来た! 奈良でも広島でも鹿は鹿だね。ちょろいもんよ。
「はい。輝夜ちゃんもあげる?」
「はい!結構可愛いですね」
「・・・どこが…」
ブラッディにはせんべいの受け取りを全力で拒否された。まぁただでさえ寄せ付けるのにブーストかけたらもうライブ会場になっちゃうしね。
とりあえず厳島神社を参拝したら結構お店が並んでたので買い物をすることに。桜や近衛ちゃんにお土産買ってかないとね。
もみじ饅頭・・・はちょっとパサパサしてて苦手なんだよね…ってん?
「輝夜ちゃーん! ブラッディ!揚げたもみじだって〜!」
この世の食材の9割は揚げるとさらに美味しくなると聞く。それを証明するのにもってこいじゃん!
「いいですね。食べてみましょう」
「私は…いい」
「私はクリームで」
「じゃあ私チーズ選ぶ〜」
食べてみると…おぉ〜!普通とは全然違う!噛んだら油がジュワッて口に広がって…チーズが濃厚でうまぁ。
「灯のも食べさせてください。私のもどうぞ?」
ひゃあ! スキー教室以来の「あーん」だ! 前回は動揺して味がわからなかったけど呼び捨てで呼ばれるようになって成長した私なら…!
「あむっ」
んん〜、こっちは甘くて美味しい! クリームの甘さなのか「あーん」の甘さなのかわからないけど…。
その後はお土産を探してお店をめぐり、いい感じのお土産を手にそろそろ広島駅に戻ることにした。
「まだ少しだけ時間がありますね。広島駅付近でどこか行ってみましょうか」
「賛成!」
「・・・うん」
ありがとう宮島…今度来るときは輝夜ちゃんと恋人として来ていることを願っていてね? そこのハゲた銅像の人!




