62話 吸血姫
「「ただいま〜」」
桜と二人同時に帰宅! 今日のご飯は何かなぁ〜!
「おかえりなさい。灯はコレ、よく読んどきなさい」
お母さんから一枚の紙を手渡される。なんだろ?
≪修学旅行について≫
本校では6月1日と2日に修学旅行を計画しています。本校の修学旅行は行き先を
①広島と岡山
②広島と山口
の2つに分けております。希望する行き先を選択して提出してください。
「おお〜! 修学旅行についてだ!そっか〜もうあとひと月かー!」
「で、あんたはどっちに行くの?」
「なになに…行き先は広島と岡山or山口…?何このチョイス・・・」
「灯、ここは家よ。多方面の方を気にする必要はないわ」
お母さんが神妙な面持ちで肩をポンと叩いてくる。そうだ、自宅だから遠慮はいらない!
「・・・どっちでもいい…よく知らない…」
「お姉ちゃんそれ絶対外では言わないでね…危ないから…」
「ええ〜! どうせならユ○バとかデ○ズニーに行きたかったぁ!岡山か山口って…どっち選んでも変わんないじゃん!」
「私なら岡山の倉敷で酒巡りするけど・・・まぁ輝夜ちゃんたちとも話し合ってよく考えなさい」
うーーん。輝夜ちゃんならどっちがいいって言うかな…。
「もうちょっと海外とかさ〜、国内でも沖縄とか北海道とか東京大阪でもいいから若者が楽しめるところじゃダメなのかね…」
「公立高校だから仕方ないでしょ。染髪が許されてたりウチは校則緩い方だからマシなんじゃない?」
たしかに校則が厳しいと思ったことはないけど・・・。桜の方が考えが達観してる。
・・・ってもう19時になっちゃうじゃん!
急いで部屋に向かわなきゃ!
「『マジカルインストール』」
3秒前に変身。ギリギリセーフ!危なかった〜。さて今日はどこに・・・ん?
何かが視界の端っこを通った気がする。まぁこの時間に動けてるんだから魔法少女なんだろうけど。追いかけてみよっと!初めて見る魔法少女な気がするし。
2分ほど追いかけたところで足を止めた。バレちゃったか。
「・・・誰?」
夜に映える純白のロングヘアに真紅の瞳・・・あれ?なんか超最近にこんな特徴の子を見たような…見てないような…?
「私は【ハニーランプ】。デビュー10ヶ月目くらいの魔法少女!」
「そう。私は・・・【吸血姫】」
【吸血姫】…? なんか今までの魔法少女とはだいぶ系統の違う名前だね。
「どうするの?戦うの?」
キリッと目つきを鋭くして私を見てくる。なんかちょっと怖い・・・。
「う、うん…そのつもりだけど」
「そう。なら・・・『翼』」
「ほへ?」
【ペインバタフライ】のような可愛らしい翼とは違った、黒い骨格に血のような赤色の羽の風格はただのJKである私には理解できない見た目をしている。
ただ一つわかるのはーーーこの魔法少女は強い!
「行くよ![メルヘンロッド!]」
可愛らしい杖を持って構える。対して【吸血姫】は何も武器を取り出さない。
「『サンダーウィップ!!!』」
定番の様子見技になった雷のムチで先制攻撃!・・・が
「『盾』」
血色の盾に防がれて・・・そのままムチが消された!?
「なっ!?」
「『剣』」
今度は血色の剣を取り出してきた。鍔の部分にドクロのついた、なんというか【ペインバタフライ】が好みそうな剣。根拠はないけど。
「私だって!『ショットガンランプ!』」
手持ちランプに持ち変える。最近いいとこなしでごめんね[メルヘンロッド]。
「『ショットガンランプ』発動!」
なんか怖いから雑に発動! 格上の相手には出し惜しみせずにHPを削っておいた方がいいと思う。【テールインペリアル】も鎧武者を召喚してなかったらかなりのHPを削れていたと思うしね。…たぶん。
「・・・弱い。こんなものか」
感情のこもってないような声でボソッと呟く。悲しみのような呆れのような感情がまざったような声・・・?
「へ?」
たった一回瞬きをした。その時間だけなのにーーー25mは離れていた距離が、もう3mまで詰められた!?
「くっ!」
「『血の薔薇』」
私の『ショットガンランプ』が発動したことに目もくれずに【吸血姫】が魔法を発動してきた。よく見ると翼で光を防いでるの!? なんか…ハイスペックすぎない!?
【吸血姫】の持った紅い剣から血の滴る棘付きのツタが伸びて私の腕を掴んだ。
「うぅ…」
5・10・15・20・・・すっごい速さでHPを削ってくる…。このままじゃ…。
「くっ![スチールソード!]はぁ!」
絡みつかれてない方の手で【吸血姫】を斬ーーーーれない!? 表情一つ変えずに私の剣を素手で防いだ。
「な、何なの・・・」
「こんな弱い者に、私たちはーーーー!」
突然の大声にビクッとした。そのまま私の首根っこを掴んでくる…。
「これで、終わり!『血の薔薇』開花・・・!」
私の腕に絡まった薔薇のツタから大きな赤い花が咲く。次の瞬間、私はいつもの真っ白い部屋で目を覚ました。




