51話 甘い匂いに誘われて
スキー教室まであと2週間に迫ってきました2月1日の森野灯です。ゴホッ、ゴホッ。私たちは学校でスキーの経験度合いを聞かれたり…ハックション!。えっー、必要な物とかを整理しだしたんですけど、ご覧の通り昨日からインフルエンザにかかってしまいました。
「何ちゃらは風邪を引かないって言うのにねぇ」
「私をバカと言いたいのかな?それとも引いたから頭いいと褒めてくれたのかな?」
「桜に移さないでよ。あの子もうすぐ受験なんだから」
なんでスルーしたのお母さん…。
「わかってるよ。桜にも部屋に入らないよう言ってくれたんでしょ?」
妹に迷惑かけれないしね。何かを棚上げしたような音がしたけど…。
「今日が土曜でよかったわね。高熱の状態で宿題のプリントが来たら解けなかったでしょ」
元から解いたかは怪しい…ってのは黙っておこ。昨日は先生が家までプリントを届けてくれた。先生って大変なんだなぁ。
「それじゃ私は買い物に行ってくるけど、何か食べたいものある?」
「ん…油そば…」
「うどんね。了解」
今何語で会話してたんだろ…。
あっ、そういえば今日は魔法少女の日だ…。でもこれ絶対無理なやつだ…。【ティクルグラント】が先月【リックキャンディ】がインフルエンザで休み…みたいなことを言ってた気がするから今日は休ませてもらおう。
「念のため…『マジカルボード』」
メルヘンチックなタブレット端末『マジカルボード』には今までタップしてこなかったけど「ディスポン呼び出し」なるボタンがある。ポチッとな。
「呼んだかお☆?」
はっや。誇張なしに1秒もかからず来たよこの子。
「今日はインフルエンザだから休んでいい?」
「了解だお☆。ペナルティとして10ポイントは引かせていただくお☆」
「ええっ、ポイント引かれるんだ」
「逆に10ポイントを払えば自由に休むこともできるお☆。もったいないけどね」
≪ポイント更新≫
90pt→80pt(欠席のためー10pt)
ううっ、もったいない…。
「それじゃあ失礼するお☆。お大事に〜だお☆」
ううーん。インフルエンザの時にディスポンの声は聞くべきじゃないね。脳にキンキン響く…。
そのまま私は深い眠りについた。
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ブワッと冷たい風が強く吹く。この風が何なのかをディスポンに聞いたら「ただの雰囲気付け」という回答だった。聞いた自分がバカらしくなる。
「さて、行きますか」
魔法少女【ネイベルナイト】となって随分長い。待望の1000ポイントまであと少しのように見えて長い道のり。もしかしたらディスポンの手のひらの上で踊らされているかも、とまで思い始めた。あの餅ならばありえない話ではないですが。
今日は誰と出会うのか。最近【ハニーランプ】さんとはよく出会う。もしかしたら今日も会ったりして…と思っていましたが…どうやらそう上手くは行かないようですね。
「お久しぶりです。あなたと戦うのは2度目ですね【スニフマリー】さん?」
目の前に久しく見ていなかった魔法少女がその派手な衣装には似合わないコソコソ移動をしていた。
「ひえっ!?ね、【ネイベルナイト】さん!」
・・・年々こういう反応をされるケースが増えてくる…。ベテランの宿命かもしれませんがこう恐れられるのはいいものではありませんね。
「も、もしかして戦う気デス?」
そういえば私が【スニフマリー】さんと戦かったのは彼女のデビュー戦でしたっけ。あの時は一方的にボコボコにしましたが・・・。
「ええ。どれだけ強くなったか、楽しみです」
「うぅ…やるしかないデスか…」
「勝利を。[名槍:月姫!]」
「来てくださ〜い![サンフラワーソード!]」
花の装飾された華美な剣…。SR武器ですか。侮れませんね。
「行くデスよ!『フレイム付与!』うりゃあ!」
武器に属性魔法を付与する汎用性の高い魔法。雑に押し切っても普通に強いから厄介…ならば
「『フレイムボール!』」
「ううっ、負けないデス!」
直撃したのにも関わらず変わらず向かってくる。ーー玉砕覚悟。舐められたものです。
「武器[名槍:月姫]スキル発動『三日月!』」
輝く槍で【スニフマリー】さんを刺すーーこれはーー木!?
しまった、これは『ウッドパペット!』
「武器『サンフラワーソード』のスキル『剣ダメージ強化付与!!』うりゃあ!デス!」
後ろから【スニフマリー】さんに斬られる。SR武器の付与だけあって凄まじい強化率…なんとか避けようと動いてかすっただけでHPを40も持ってかれますか…。
「『フラワーテンプテイション!!!』」
私と【スニフマリー】さんの間に巨大な花が出現する。ユニーク!これはまずい。
「『トリガー・・・』」
・・・? 頭が…回らな…い…? いい匂い…ダメ…
「ハッ!」
意識が覚醒! しかし眼前にはーー
「うりやぁぁぁぁあ!!!デス!!!」
炎の剣を握った【スニフマリー】さんが剣を振り下ろした瞬間の映像が映っていた。




