29話 夜の学校
今週末に[星一祭]を控えた10月28日。ようやくダンスを覚えてきました。
「他のクラスって何やるの?」
「確か...2組が日本史展示会、3組がスタンプラリー、4組がおばけ屋敷だったと思います」
「・・・ファッションショーでよくOKもらえたね。私たち」
2組は先生が日本史の担当だから気合い入れちゃったのかな?
「今日はリハーサルだ。真剣にやれよ」
「「「はーーい」」」
体育館を半分使ってランウェイを作った! 本番は一般のお客にも生徒にも投票してもらう仕組みになったんだけど、午前中しかファッションショーを開けないから票が入るか不安だなぁ。
「灯さん、リハーサルです」
「あっ、もう出番?」
えっーとモデルの歩き方を...
私が出るとクラスメイトから笑い声が漏れる。
「灯ー! そんな堂々と自分を出すマッチ売りの少女がどこにいるんだよー」
「ハッ!そういえば私マッチ売りの少女だった!」
とまぁ、私のことなんていいんだよ!本番は輝夜ちゃんなんだから!
「美山さんどうぞー」
「おお〜」
思わず歓声が溢れる。スタイル最高の輝夜ちゃんの白雪姫は、どこか私のイメージする白雪姫とは違う、もっと大人な白雪姫って感じだ。要するにエッチだ。
「チッ」
・・・? どこかから何かが聞こえたよーな?
「うう。恥ずかしかったです」
輝夜ちゃんが顔を真っ赤にして戻ってくる。
「本番はもっと人いるよー? 大丈夫?」
「が、頑張ります!」
輝夜ちゃんは童話ファッションショーのメイン(個人の意見)だからもっと堂々とやってもらいたい。でも弱々しい輝夜ちゃんは保護欲をくすぐるからやめられない!
「灯さん大丈夫ですか!? 薬物中毒者みたいな顔になってますよ!」
乙女にしていいツッコミじゃないよ!
それから4日経ち、ついにーーーー
「第25回[星一祭]を開催しま〜す」
生徒会長の開催宣言で私たちの[星一祭]が始まる!
まずは体育祭からなので、出番のダンス以外は全部観戦。
「晴香はリレー?頑張れー」
「頑張ってください!」
「おう!晴香ちゃんの活躍を期待しとけよー!」
晴香はハチマキを風に揺らして走っていった。
「輝夜ちゃん足速いんだからリレー出れば良かったのに」
走ってる姿を見たかったし、何より輝夜ちゃんを応援したかった。当然一緒にダンスを踊るのは楽しいけど、乙女心的にがんばる好きな人を応援するイベントを経験したかった...!
「あっ、スタートしましたよ」
「本当!? 頑張れー!」
晴香はアンカーだっけ。じゃあまだずっと後か。
・・・輝夜ちゃん、やっぱりテンション低そう。こういう人が沢山いるイベントはあんまり好きじゃないのかな。あ〜横顔綺麗だなぁ。
「すごい!1組トップでしたね!」
「えっ!?」
横顔に見とれてレース見てなかった!まぁいっか。
「ドヤァ〜! カッコよかったっしょ?」
晴香がそれはもう満点のドヤ顔で帰ってくる。
「う、うん!よかったよ」
「・・・見てないでしょ?」
「へ?」
「どーせ美山さんに見とれて〜とかだろ? あっ、そうそう」
屈んで耳打ちしてくる。
「なんかクラスの一部のグループの雰囲気が変なんだ。ちょっと気をつけといて」
「・・・うん」
何となく気づいている。誰かがあまり輝夜ちゃんをよく思っていないことを。それなら私が輝夜ちゃんを守らなくちゃ!
(続いて一年生によるダンスで〜す)
「よしっ!行こうか、輝夜ちゃん!」
「はい!」
特に何も起きることなくダンスは進行していく。私が1つ2つミスしただけで、ほぼ完璧なダンスを披露できた。
「1組すごーい」
「レベル高いねぇ」
「あの黒髪の子超キレイじゃない?」
「動画撮ってるよ」
ちょ!? その動画ください!っていう言葉をギリギリのところで飲み込む。ダンス終わりの決めポーズで叫んだら台無しだもんね。
「お疲れ〜。良かったじゃん」
「ありがとー」
「ありがとうございます」
うーーん!今日はこれで終了!あとは明日の文化祭の方だけだね。
(数時間後)
「お疲れさん。今日は特例として20時までは明日の準備をすることもできるが、残ってくやつはいるか?」
「「「はーい」」」
なんと全員が手を挙げた! みんな設営とかの手伝いをする気みたい。だいたいこういうのって誰かはサボったりするのにね。
うーん、それにしても20時までか。19時には魔法少女にならなきゃいけないからなぁ。毎月毎月イベントの時に魔法少女の戦闘がある気がするんだけど。
「灯さん? 体育館で再集合ですよ?」
「およ? ごめん。考え事してた」
早歩きで体育館に向かう。あと小一時間で19時になっちゃう!
少なくとも体育館の準備は早く終わらせないとね。
「森野さんこれそこに広げて!」
「う、うん!」
「ここのイスまだ?」
「ごめん!今行く!」
・・・戦場!?
超忙しいんだけど!
そうこうしてたらもう19時になっちゃうよ!ヤバイ!
「ご、ごめん! ちょっとトイレェ!」
「あっ!森野さ〜ん!」
はぁはぁ、危なかったぁ。あと15秒切ってるよ...
「『マジカルインストール!』」
もうすっかり着慣れた魔法少女衣装に切り替わる。
ヤバイ。息切れしながら叫ぶの超きつい。オーバーキル。
ブワッといつも通りの風が吹く。トイレで風浴びるの正直嫌だな...
さてと、街へ出ていこっかな。トイレのドアを開けて正門へ向かう。ん?人影?
「・・・えっ?」
「・・・なっ!?」
声は同時に生まれた。通常[星乃川市]の外にいない限り、19時丁度を迎えた場所からスタートする。つまり...
「あなたがここに...そうですか」
【ネイベルナイト】は、同じ学校の生徒である可能性が高いということだ。
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