2話 ようこそ魔法少女。
す、すごい! THE魔法少女って感じの衣装だ!
純白のフリフリがついて、その上に桃色のヒラヒラのメルヘンな衣装。
「ちょ、ちょっと高校生のメンタルで着るのはキツイかも……」
「インストール完了だお☆。『マジカルインストール』と叫べば、いつでも変身できるお☆。あとは自分のポイントの確認方法を教えたらひとまず19:00までドロンするお☆。『マジカルボード』って叫ぶお☆」
さ、叫ぶの?呟きじゃダメなのかな……
「ま、『マジカルボード!』」
光の粒子が私の手のひらに集まる。
光の粒子は徐々に大きくなって、ピンク色のハートやダイアモンドのティアラが装飾されたタブレット端末のような物体になり、私の手のひらの上に乗った。
「マジカルボードのスイッチを入れるお☆」
言われたとおりにスイッチを入れるとタブレット端末の画面に<Welcome! Akari>と表示される。
なんだかちょっとテンション上がってきちゃった。
「えっと……100ポイントって表示されてるところにポイントが貯まっていくの?」
「正解だお☆。ちなみにそのマジカルボードの情報は身分証明になるお☆。戦闘で使う魔法やボーナスタイムの詳細まで後々記載されるから流出しないよう注意するといいお☆」
バレちゃったら不利になっちゃうってことか〜。じゃあ絶対にバレないようにしないと!
「じゃあ必要事項は伝えたお☆。あとは19:00まで待ってればいいお☆。今日は初戦闘だから僕が色々教えてあげるお☆」
「う、うん。ありがと。またね」
シュン! って音を立ててディスポンはどこかへ消えちゃった。今のも魔法なのかな?
時刻は17:30を示している。今日は早めにご飯を食べれるようにお母さんに頼まなきゃ。
ご飯を食べて、もう時刻は18:40。ドキドキしてきた……。
「言い忘れていたことがあったお☆」
「うわぁ! ビックリさせないでよもー!」
どこからともなく突然出てくるからすっごく怖いよこの子。
「大事なことだからよく聞くお☆。あと20分で戦闘開始だけど、まだ灯は魔法が使えない状態だお☆。一旦変身してマジカルボードを出してほしいお☆」
「ま、『マジカルインストール!』『マジカルボード!』これでいい?」
一瞬で変身&タブレット召喚が終わる。
うーん。やっぱりちょっと恥ずかしいなぁ、おへそとか脇とか出ちゃってるし。
「じゃあマジカルボードをよく見るお☆。左上に魔法少女名が表示されてるはずだお☆」
魔法少女名……【ハニーランプ】?
「ハニーランプって書いてあるやつ?」
「それだお☆。認識阻害があるのに森野灯で活動してたら意味ないお☆。魔法少女として活動する時は【ハニーランプ】と名乗るお☆」
ハニーランプ……なんかくすぐったい名前……
「名前の下にHPとMPって書いてあるけど、よくある体力と魔力のこと?」
「そうだお☆。みんな等しく100ずつだお☆。その上でスキルで上乗せすることもできるお☆」
名前とHPとMPが記された欄の真下に『skills』、右に『weapons』右斜め下に『magics』と表示されてる。
「スキルは3つ。武器はメインとサブで2つ。魔法は7つ登録できるお☆」
「どうやって登録するの?」
「いい質問だお☆。100ptってところをタップするお☆。そしたらガチャって出てくるからそこでガチャを引けば登録できるお☆」
こ、これ、よくスマホのゲームでみるやつだ!
cmで「今なら○連無料!」って言ってるやつだ!
「ちなみに初回無料で5回まで引けるお☆。それ以降は50ptを消費して1回引けるお☆」
すごくありきたりな謳い文句きた!
50ptかぁ。1000ptを目指す上では大きい消費だけど、強くなるにはガチャるしかないのかなぁ。
「と、とりあえず初回無料だけ引くね!」
結構ドキドキしてる……これがガチャの沼ってやつ?
ピカッ!と画面が光った。『マジカルボード』の画面に結果が表示された。
①武器『R メルヘンロッド』魔法攻撃向上
②スキル HP+50
③スキル ジャンプ力向上
④魔法 『サンダーウィップ』
⑤魔法 『インフェルノ』
「おお〜!すごいお☆。R武器は9%の確率でしかでない効果付きの武器だお☆。良かったお☆」
なんだかよくわかんないけどすごそう!
「さぁ、ようやく戦う準備ができたお☆。実戦については後で教えるお☆。あと1分で19:00だお☆」
えっ!? もうこんな時間たってたんだ...!
カチ、カチと時計の秒針の音が心臓に響く。緊張してるんだ。
5、4、3、2、1……
ブワッ! っと、何か冷たい風が通る感じがした。
「改めて……ようこそだお☆、【ハニーランプ】。ここが一般人にとってはたった1秒の日常。魔法少女にとっては一生をかけた2時間の戦場だお☆」
私、森野灯……いや、【ハニーランプ】の初陣が始まった!