24話 今日は私の・・・
10月1日火曜日。今日も学校をいつも通り終え、さぁ魔法少女バトルの日だ!と心を燃やしております。森野灯です。
さて、今日も学校をいつも通り終えました。
今日は私の誕生日なんですけどね。
・・・私の誕生日なんですけどね。
「お姉ちゃん誕生日おめでとー」
「うわぁ〜〜ん!!! 桜ぁ! 輝夜ちゃんに祝ってもらえなかった〜」
妹の桜の腰にしがみつく。
「ちょ!?」
「うわぁーーーん!どうじで〜〜」
「いや、お姉ちゃん輝夜さんに自分の誕生日伝えたことあるの?」
「ない」
「どうやって祝えと...」
「私は輝夜ちゃんの誕生日知ってるよ! 11月7日! 今年なら木曜日!」
サプライズのために念入りに調査したから間違いなし!
「いや怖い...ってのは今は置いといても普通は言われなきゃ知らないから!」
やっぱそうだよね...
「今はそんなことより、はいこれ」
「およ?」
桜が顔をほんのり赤くしながら袋を渡してくる。
「およ?じゃないでしょ。今お姉ちゃんが言ったじゃん。だから、誕生日おめでと」
「プ、プレゼント!? ありがとー!!」
「なんで毎年驚くんだろ。去年もあげたのに」
「開けていい?」
桜がどーぞと首を縦に振る。
「何だろなぁ...香水?」
「うん。10月1日は香水の日らしいよ。友達に詳しい子がいたから聞いたんだ〜」
すごく綺麗な黄金色の香水...香りは...ハチミツの匂いかな。
「なんかお姉ちゃんは黄色とかの色が似合うからハチミツをね。どう?」
「うん! すっごく嬉しい!」
ガバッと桜に抱きつく。
「ちょ!?」
「照れなさんな〜〜」
桜がジタバタ私の腕の中でもがく。こういう時妹って可愛いなー。
さて時刻は18:55となりました。初めて一人での魔法少女バトルへ挑むんだ...!
まるで初陣の時みたいな緊張感があるね。
「『マジカルインストール!』」
魔法少女衣装に切り替わる。今日はどんな子に会えるかなー。できれば前回戦った【ティクルグラント】や【リックキャンディ】には会いたくない。一人で戦うことになったらまず勝ち目はないしね。結局ナイトにはなんで味方してくれたか聞けずじまいだったなぁ。
そういえば今日で16歳になったから魔法少女でいられるのはあと4年切っちゃったんだ。ちゃんと1戦1戦を大事にしないと!
19:00ちょうど! ブワッッといつもの風が吹く。
「今日はどこ行こっかなぁ」
そういえば新しいスキルの『街灯索敵』があったね。2個までなら街灯を登録できて遠距離でも監視できるんだっけ。
「これでいいのかな」
ものは試しだと家の前の街灯を登録してみる。街灯に手を触れて登録って思うだけで白い光が一瞬黄金色になってまた白に戻る。これでOKかな?
ちょっと遠くに行ってみて試してみよ。
登録した街灯が見えなくなるくらいの角まで走って...
どれどれ...おっ!見える見える。当然何もいないけど。
結構鮮明に見えるんだね。監視カメラみたいな感じで映ってる。
「何してるんデス?」
「んー、内緒。ちょっとお試しでね」
「あー、あるデスあるデス。ゲットしたものは使ってみたいデスよね」
「そうそう...ってこの感じどこかで!?」
「キャハハッ! またまた遅いデス!」
【スニフマリー】、今私が唯一負けている魔法少女。あの時は手も足も出なかった。
「いや〜ここで会ったが100年目! 諦めてもう一度私と戦ってもらうデス!」
ぐぬぬ...当然一回負けてるから苦手意識はある。でもここで勝つことができたら成長したって証明になる!
前回のタッグ戦は相当私の経験値になったはず!
「いいよ。今日は私が勝つから!」
「威勢がいいデスね〜。じゃあもう始めるデスよ!」
前回のように巻き込まれる心配はないから移動の必要もない。河川敷みたいにひらけた場所じゃないからこのまえほど不利ではなさそうだね。
「うん! いくよ!」
「来てくださ〜い![サンフラワーソード]」
「来て![メルヘンロッド]」
「武器に変わりなしデスか。今日もサクッと勝つデスよ〜」
「それはどうかな...『サンダーウィップ!!!』」
雷のムチを【スニフマリー】めがけて放つ。
「『フレイム付与』やぁっデス!」
前回の対戦で私を一撃で倒した炎の剣がムチを切り裂く。
どうやって倒すか.....これしかないかな?
ニッと笑って【スニフマリー】を見る。
「どうしたデス?私の可愛さにニヤついちゃったデス?」
「そうかも、ねっ!」
「あっ!?」
前回【スニフマリー】には見せなかったジャンプをここで使う。一旦離脱がなんか癖になってるけど結構便利なんだよね。
「逃さないデス!!」
私と【スニフマリー】の追いかけっこが始まる...!
と、言いつつ目的地は近め。住宅街になってるからスピード向上スキルを持ってる【スニフマリー】よりジャンプ向上を持ってる私のが移動には有利だね。
じゃあバレないうちにコソコソと...
私はもう一つの街灯にそっと手をかけた。




