10話 3人目の魔法少女
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私の妹は身内びいきなしにしてもすごく可愛いと思う。中学3年生にしては小さめで、輝夜ちゃんとは逆の可愛さを持つ。
桜は自分の可愛さを理解しているのか、ぶりっ子を演じて女の子を侍らせている。恐ろしい子……!
「ごめんね輝夜ちゃん、桜が迷惑かけて」
「迷惑だなんてとんでもない。賑やかになりそうですね」
結局さっきは桜に押し切られて20:00に桜の部屋に行くことになった。納得いかないけど。
時刻は18:20になり、お食事が運ばれてきた。なんとか輝夜ちゃんと2人きりで夕食を食べることは勝ち取ったよ。
でも魔法少女の戦闘があるし、40分で食べてちょっと離れたところに行かないと……
流石に『マジカルインストール』って突然叫んだら怖いしね。
「あっ、このお肉美味し〜♪」
「この茶碗蒸しも美味しいですよ」
「あーんして!」
「ふふっ、灯さんの分があるじゃないですか」
冗談で言ったわけじゃないんだけどなー
そうこうしているうちにもう18:55になっていた。
「ごめん!」 「すみません!」
「「あっ」」
声がかぶっちゃった。こういう時は譲るようにしています!
「輝夜ちゃんからどうぞ?」
「いえ、灯さんから」
「じゃ、じゃあちょっと私お手洗い行ってくるね。輝夜ちゃんは?」
「あっ、いえ何でもありません」
あぁ! 時間が!
「じゃあ行ってくるね!」
小走りで旅館の外へ出て堤防のあたりまで来た。
あと15秒。危なかったぁ〜。おっといけない! 変身しておかないと
「『マジカルインストール』」
ふぅ。
「やっと話しかけられるお☆」
「うわぁ! ビックリした。突然出てくるのやめてよ」
「とりあえず[星乃川市]へワープするから心の準備をしておくことだお☆」
「あっ、うんそうだね」
3、2、1……シュバっと冷たい風が吹く。目を開けるとそこは……
「体育館?」
「体育館だお☆。まぁワープ位置はランダムだから知ってる範囲でラッキーだったお☆」
「ディスポン今回は出てくるの遅かったね」
「まぁあの場で出たらいろいろまずいお☆」
「?」
どういうことだろ?
「今回の戦闘に向けて特にガチャったりはしなかったのかお☆?」
「うん! だって『ハニートラップ』もあるし『インフェルノ』もあるしバッチリだもん!」
「全員【ネイベルナイト】みたいに油断してくれるとは限らないから注意しておくことだお☆」
あれ油断してたんだ……そうは見えなかったけど。
とりあえず体育館の壁にもたれてどこへ向かうかを考える。
ドゴォ!!
「な、何?」
突然校舎が崩れだした! 怖い怖い怖い!
「あー、近くで魔法少女の戦いが始まったみたいだお☆ 乱入してもいいし、巻き込まれないように逃げてもいいお☆」
「逃げる!」
「ええ……即答だお☆……」
「何人も相手にして勝てるわけないよ」
「そうデスそうデス! 乱入ルールはややこしいので嫌デス!」
「うんうん、そうだよね!」
「はいデス!」
……………………
「誰!?」
「あははははっ! 反応が遅いデスよ〜」
一人でもたれていたはずなのに! 金髪ツインテールの異国風の顔立ちをした美少女が横にいる!
「やぁ! 久しぶりだお☆ 【スニフマリー】」
「きゃあ! ディスポンさんデス! お久しぶりデス、初心者講習デスか?」
「そうだお☆ そういうマリーは何をしているんだお☆?」
「当然相手を探していたデス! そしたら近くで戦いが始まっちゃたデス。逃げようと思ったら真下に隙だらけの魔法少女さんがいたから降りてきたデス」
うう、また私の入れない、二人の話が始まっちゃった……
「え、えっと! 【スニフマリー】さんでしたっけ? 私は【ハニーランプ】。今日は私と戦いませんか?」
「ぷっ、あははは! ここまでバカ正直に戦いを申し込む人は初めてデス! いいですよ〜【ハニーランプ】さんと戦うデス!」
可愛い顔して結構大きく笑う子だなぁ。
「もう始めていいデスか?」
「あっ、ちょっと待っててもらってもいい?」
「いいデスよ〜」
なんか結構ゆるい子。【ネイベルナイト】のようなストイックさは感じられないかも。
「ちょっと移動しない? 戦闘中の魔法少女たちに見つかっちゃったら怖いし」
「あー、そうデスね。じゃあこの先に河川敷があったはずなのでそこへ移動するデス! ダッシュ!!」
「えっ!? ちょ!」
【スニフマリー】はそう言って思いっきり走って行っちゃった。
「相変わらず元気な娘だお☆ このまま逃げてもバレないと思うお☆」
「うん。でも、あの子と戦ってみたいかも! 可愛いし」
あっ、浮気じゃないよ? 1番は輝夜ちゃんだから!
とりあえず【スニフマリー】を見失わないように走って追いかけなきゃ。
……もう見えないけど。川へ向かえばいいか。