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啓太24才が片思いの女社長  作者: 古森史郎
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第8話

 ドアの前でノートパソコンを持って立っているロコさまは、白いシャツ一枚と紺色のスカート姿で、首からベージュ色のタオルを垂らしていた。髪の毛も少し乱れてる様だけど?


「ロコ姉さんどうしたんですー、そんな疲れた顔をして」

「と、友美ちゃん、大変だったのよ」

「いらっしゃい、ロコさん。お客様がお待ちですよ」

「マスター、今日は熱いから冷たいアイスコーヒーを淹れて頂だい」

「珍しいですね、アイスコーヒーを頼むなんて」

「ロコ姉さん、汗だくでシャツが透けちゃってるわよ」

「あら、本当だわ」


 ロコさまは慌ててタオルをシャツの中に突っ込んで、胸元を拭いている。


「どうしたんですか?」

「実はね、友美ちゃん……」


 あれ、ロコさまが女の子の耳元に口を近づけて、ひそひそ話をしだしたぞ。


「……だったのよ」

「えー、いいなあ。それ私にも使わせて下さい!」

「だめよ、あんたみたいに若い子には必要無いわ」

「ちょっとだけ体験したいっ」

「だーめ!」

「けちー!」


「あら啓太、そこは私の席よ。ずれなさい」


 おっと、ここに座っちゃいけないのか。僕は向かいの椅子に座り直した。ロコさまは僕のいた椅子に座ろうとする。


 あれ! ストッキング履いて無いぞ、ジロっ。


「あんたどこ見てんの、もー。クビにするわよ!」

「……」


 ロコさまは首に巻いたタオルを取ると、それをたたんで膝の上に載せたんだ。あーあ、生足が見れなくなっちゃった。


 すると女の子がコーヒーを持って来て、テーブルの上に載せた。

「ロコ姉さん、また男を捕まえて来たんですか? 一応、紹介してください」

「今回はすぐに付いて来たわ、えーとこの人は釘丸圭太さん。この女の子は門倉かどくら友美ともみちゃんよ」

「友美です、よろしくね」

「啓太です」

「友美ちゃんはこう見えて、技術系アーティストなのよ。ねじとかベアリングなんかの廃品を使ってバイクの造形を作ってるの。あそこに置いてあるのがそうよ」


 ロコさまが指さしたカウンターの隅に曲げた鉄板にねじやベアリングを組み合わせたバイク模型が飾ってあった。ライトにはLED照明も埋めてある。


「へー、あんな細かいものが作れるんだ。手先が器用だね」

「えへへ、ありがとう。私、工業高専を卒業したの」

「ここのマスターは変わってる人で、単身でフランスへ渡航して傭兵になってたんですって。シリアとか危ない所に行っていたのよ」

石垣いしがきとおるです。身の危険を感じたから日本へ帰って来たんですよ、あはは」


「啓太さんは何をしていらしたの」

「ああ、僕はコンピューターウイルスを監視するプログラムを作っていたんだ」

「これで各分野のプロフェッショナルが揃ったと思ってるの」

「え、どういう意味ですか? ロコさま」


「マスターと友美ちゃんには時々手伝ってもらってるのよ、探偵みたいな仕事があった時にね」


 えええ、こりゃあ探偵ごっこでもするのか? うーん、でも面白そうだな。


 友美ちゃんがアイスコーヒーを持ってきたら、ロコさまは一気に半分ぐらい飲み干した。


「あー、まだ熱いわ」

「ところでロコさま、どうだったんですかあのゲル?」

「あのサイトに書いてあった通りだったわ」

「すると天国へ」

「それがもーびっくりしたわ! て、そんな事どうでもいい話よ。まがい物じゃないことだけはわかったわよ」


 なんだよ、もっと詳しく聞かせてくれー。


「それより、この失踪事件の調べ方を話し合いたいの」


 ロコさまはノートパソコンを開き、例のサイトページを調べているよ。まだ何かやり残したことがあったのかな?


「啓太、ここに行って欲しいの」

「え、どこですか?」





「あのゲルを売っている、歌舞伎町の薬屋さん」


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