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啓太24才が片思いの女社長  作者: 古森史郎
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第3話

 なーんだ、ホテルに誘われるのかと思ったら、そこに停めてある車に乗るのか、つまんないの。おや、路子さん、かなりイライラしている様子だな、駐車違反のキップを握り締めて何度も足を地面にたたきつけているぞ。怒りっぽい性格なの?


「もーいや、こんなちっちゃい車にキップ切らなくてもいいじゃない!」


 路子さんの車って、相当古い車だなあ。確か、『てんとう虫』とか呼ばれていた車だ。わざわざこんな車に乗るなんて、変わってるねこの人。だけどモ〇ビトのお財布なんか持ってんのに、高級志向じゃなかったのか?


「さあ、この車に乗って私の事務所へ行くわよ」


 あれ、この車、宇都宮ナンバーだ。事務所も宇都宮にあるって事?


「事務所は、宇都宮にあるんですか?」


「そうよ、ここから一時間半くらい掛かるわよ」


 えー、こんな車で一時間半も走るのお、途中で壊れたりしないかな。今の軽自動車の半分くらいしか馬力が無いんじゃないかと思うけど。


「なに突っ立てるの、早く乗りなさい」

「は、はい、わかりました」


 見た目は可愛いなこの車。おお、フロント側が開くんだ、この扉。結構室内は綺麗にしてるな、シートも革張りでできてるし、でもめちゃ狭い。あれ? シートベルトはどこだ。


「あのー、シートベルトが見つからないんですけど」

「そんなもの最初から無いわよ、この車は40年以上前の車なんだから」

「マジですか!?」


 へー、シートベルトしなくていいんだ、知らなかったよ。


「さあ、行くわよ」


 丸っこくて小さな車はプスン・プスンと音を立てて走り出した。でも、この車すっごく狭くて、路子さんがギアをチェンジすると僕の膝に当たりそうになるんだ。


「もう少し左に寄って頂だい、運転しづらいから」

「はーい。ところで『コンソルロコ』って何をやっている会社なんですか?」

「事務所に着いたら、詳しく教えてあげるわよ」


 やれやれ、左にずれて座ってるけど一時間半もこの体勢でいられるかな? あれ、スカートのままで運転してると、さっきよりも膝の上が見えるなあ。クラッチやブレーキを踏むたびにめくれてくるのか? けど、この人すごく肌の色が白い。


 あんまり足ばっかり見てたらスケベな奴だと思われるかも、目のやり場に困る。あーあ、くたびれそうだなこの移動時間。


 どうやら高速道路を使わないで走るみたいだぞ。そうだ! 時間つぶしにさっきの『スーパー・なんとか・ゲル』をスマホで調べようっと。


 僕はさっき開いたページをスクロールする。僕の印象では、さっき路子さんが慌てて取り返したあのボトルは、どう見てもこのHな塗り物だ。


 うふぉー、なんかやべー記事が出て来た! すごくHなやつじゃん、これ。


 『あなたはパートナーに愛されていますか?』愛のない〇〇〇ってあんのか。


 『統計では3分の2の女性が満足していません』って、どうやって調べるの。


 『たった2、3摘で天国へ行けます』すごいなこのゲル。


 おお、使い方が書いてあるぞ。——ふむふむ、——うーん、——ドキドキ。


 痛てー、肘打ちされた!


「ちょっと、あんた何ゴソゴソしてるの?」


 やばい、Hなサイト見てるの勘づかれたか? だけど、さっきのダークピンクのボトルの事、聞いちゃおうかな。どういう反応するんだろう?


「えーと、ひとつ質問してもいいですか」

「何よ」

「あのスーパー・なんとか・ゲルって何ですか?」

「……しつこいわね、あんた。ぷっくぅ」


 ほっぺたを膨らまして怒ってる顔も可愛いじゃん、もう少し攻めて見ようかな。


「今、スマホで調べてたんですよ、そのゲル」

「キー! やめなさいよ、もう」


 おほほー、顔が赤くなってきたぞ。もっと聞いてやれ。


「何に使うんですかー? そのHなゲル」






「このゲルは、仕事の依頼者から渡されたのよ!」


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