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異世界転移をした彼女は異世界の常識を変えようと試みるが、勇者がくそ過ぎて困りました  作者: 折原さゆみ
第二章 異世界転移をした彼女は女性の意識改革(服装改革)を行うことにした
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12男の末路としては悲惨だと思います

「ううう、俺はなぜこんなところで」


 女性陣が話しているうちに、宰相が目覚めたようだ。目を開けて身体を動かそうとしたが、うまくいかなかった。なぜかと首をかしげると、頭上から冷たい声が聞こえた。


「ええと、宰相様には悪いですけど、動けないように拘束させてもらいました。あなたには今、二つの選択肢があります」


 声の主を確認すると、まるでゴミを見るような目でソフィアが宰相を見下ろしていた。慌てて自分の身体を確認した宰相は、自分が両手と両足を縄で縛られていることに気付いた。


「私にこんなことをしてただで済むと思うなよ。それに選択肢とはいったい何のことだ。俺に指図していいと思っているのか。女の分際で生意気な!」


 今の状況を理解していない宰相は、自分の置かれている状況に腹を立て、ソフィアに怒鳴り散らす。三人称が俺になっていて、これが素ということらしい。怒鳴り散らす宰相だが、残念ながら、ここに宰相の味方となる者はいなかった。




「フリードリヒ。いい加減、お主は自分の発言の意味をよく考えた方がいい」


「エリザベス様!あなた様なら、私をこのような目に合わせる者のことを処分していただけるでしょう。仮にも、この国の宰相となる私に対して」


「黙れ。ソフィア、さっさと選択肢を宰相に教えてやれ」


 エリザベスに助けを求めた宰相だが、無残にも希望は打ち砕かれた。ソフィアはエリザベスの指示に従い、選択肢を提示する。


「わかりました。では選択肢を説明していきましょう。一つ目は、このまま私たちの言う通りにしていただくこと。そうすれば、宰相の座を降りる必要はありません。ただし、あなたの噂は、実は前々から不快に思っていましたので、これ以上の噂が広まらないように、そのへんの対処は別にさせていただきますが」


「うわさ……。本当に何を言って。いや、待ってくれ。うわさとはいったい」


 宰相は噂という言葉を耳にすると、心当たりがあるのか、急に慌てふためきだした。


「あ、あれは俺のせいではなく、俺に迫ってきた女性を断れず」


「もう一つは、今すぐにこの城から出ていくこと、ああ、ですが、一つ目の選択肢と同様に、それ相応の対処を施させていただいてからの退場となりますが」


 宰相の言葉を無視して、ソフィアは選択肢の二つ目を淡々と述べていく。


「おい、無視をするな!エリザベス様、この女の言うことに耳を傾けるつもりですか?そんなわけ」


「彼女に対して、ずいぶんな口のききようだな。失望したよ、フリードリヒ。ソフィア、やってもらって構わない」


 ソフィアに懇願してもダメだと判断した宰相は、味方だと思っていたエリザベスに懇願を始めた。しかし、エリザベスは宰相を一瞥すると、ソフィアに宰相に対する処罰を許可した。



「かしこまりました。ホワイト!」


『お安い御用だ』


 ホワイトと呼ばれた白い猫が、宰相の股間に飛び乗った。宰相が逃げる間もなく、猫の前足の肉球が男の股間部分に触れた。


「ぎゃあああああ!」


『これで良いのだな、ソフィア。それにしても、お主、案外鬼畜だな』


「おほめにあずかり光栄です」


 ソフィアは宰相に最終宣告を告げる。


「せっかく、選択肢を二つも提示したのに、選んでもらえないとは残念です」


 一ミリも残念そうに思えない表情と声で宰相に何をしたのか言葉を続ける。


「あなたには、呪いをかけました。これからの人生、女性に誠実に接してくれれば、男の機能が不能になることはないでしょう。ですが、女性を自分の道具とか、性欲処理としか思っていないクズの考えのままだと」


 一生、不能のままです。


「うわわわわ」


 宰相はソフィアの恐ろしい言葉にその場を走り去ってしまった。






「ソフィア様って、案外容赦のない御方だったのですね」


「ソフィアさんだけは敵に回さないようにします!」


「ソフィア、宰相はカナデが来る少し前からこの城で勤めているが、そこまでやばい奴だったのだな。しかし、お主の対処法には頭が上がらんな」


 レオナにイザベラ、エリザベスがソフィアの宰相に対する仕打ちを見て、ぼそぼそとつぶやく。自分たちも宰相の処遇を話し合ったというのに、責任はソフィアにあると言いたいらしい。


「あのですね。私は確かに宰相様に直接手を下したようなものですが、一緒に考えたのはあなたたちも同じですよ。まったく」


 ソフィアはため息をつくが、すぐに頭を切り替える。自分はおそらく転生者であり、宰相も同じであると確信していた。そうなると、他にもまだソフィアの知らない転生者がいるかもしれない。


「ホワイト、ブラック、聞きたいことがあるのだけど、宰相みたいな男や女は、他にどれくらい存在するのかしら?」


『異世界転生者のことか?わからん。実は、カナデやお前たちをこちらの世界に呼んだのはわれだが、宰相を転生させた記憶はない。そういえば、われの他に神がいたことを思い出した!』


『女神よ。おぬしは、自分の同胞のことも忘れておったのか。そうだな、悪魔にも同胞はいるぞ!』


「そうなると、なかなかカナデさんも苦労するかもしれませんね」


「にゃーにゃー」


「ソフィアは猫とも話せるのか。本当に何でもできるな。やはりこの城に置いておいて正解だった!今後もカナデとともに城にいてくれると嬉しい。ところでカナデは大丈夫なのか。宰相に気を取られていて放置してしまったが」


 ソフィアが女神たちから与えられた情報について考えていると、エリザベスが現実に戻すような発言をする。




「そうでした。カナデさんは!」


 宰相のような異世界転生者のことは後で考えることにしたソフィアは、カナデの様子を確認する。カナデはいまだに一人でうんうんとああでもない、こうでもないとうなりながら、目をつむっては開き、自分の服装を確認する作業を続けていた。最初に来ていた男性用の騎士団服よりもだいぶ、女性の身体にあったものに変化していた。


「カナデさん、そろそろ時間がありませんので、今日のところはその辺にしたらいかがでしょうか?」


 夢中で試行錯誤を繰り返しているカナデに声をかけるが、返事がない。カナデを集中から戻すためにてっとり早い方法は。


『ふう』


「カナデさん、私はあなたのそういうけなげなところが好きですよ。ですが、いい加減戻ってきてくれると嬉しいです」


「なっ!」


 効果てきめんで、すぐにカナデはソフィアと視線が合って、おろおろと挙動不審になる。ソフィアはカナデの耳もとに息を吹きかけてささやいた。その様子を見ていた女性陣は、今後の女性の生活は、ソフィアとカナデに任せればたぶん安泰だろうと、安堵と少しの不安を抱えるのだった。


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