異世界へのご案内。
ドッペルゲンガーとは?
【4章 ドッペルさん】
トランプのジョーカーと同じ姿をした人が、目の前にいた。
「あなた誰?それと、ここどこ?」
「私は…ピ、ピエロですよ!」
「みたら、わかる」
「あっ…え、えっと。ここは黒の空間と言って、時間が経たない空間であり、いろんな世界、次元につながっています」
「じゃあ、なぜ私をここにつれてきたの?」
相変わらず、そのピエロはおどおどしながら。
「そ…それは…。あ、あなたに会わせたい人がいるからですよ!」
「会わせたい人?って、誰?」
そうすると、ピエロは下を向いて。
「それは言えません…」
そうすると、下を向いた瞬間に仮面が落ちて割れてしまった。
「「あっ…」」
顔を覗き込むと、私とそっくりな顔をしていた。
「あっ、あの!?…驚かないで……」
「えっ…。あのー、いわゆる、ドッペルゲンガーってやつですか?…」
今の状況が何が何だかわからなくなってきた。だって、同じ顔…。
「いや、見ても死にませんよ!…偽装です」
「それって…」
「そう、作り物なんです…。毎回人によって変えて…」
「お、おう」
その人は、疲れ切った顔をしている。なんか、申し訳ない。私は、
「あっ、そうだ!私、あなたのことドッペルさんって呼ぶね…!」
と、フォローじゃないフォローを口走ってしまった。
ドッペルさんは唖然とした顔をしていた。
「さすがに、そう呼ばれるのは初めてです…」
一瞬だけ気まずい空気になってしまった。
「そ、そういえば、愛さん。あなたを違う世界へと連れて行きたいのですが…」
「はぁ!?」
ドッペルさんは、ですよねーって思ってそうな顔をしていた。
「仕方ないのです。お仕事なので…」
ドッペルさんは、疲れ切ったため息をついて申し訳なさそうにこっちを向いた。
「そうなっちゃいますよね…でも、これからのことが…」
普通に、ドッペルさんのことを心配している自分がいる。相当、大変なんだろう。この仕事が。しかし、自分と同じ顔がとても気になって、しょうがなかった。
「大丈夫です。すべて保証しますから!!!」
「っ!?」
さっきまで、暗い顔をしていたドッペルさんがまるで生まれ変わったようにドヤ顔で言った。発言にも態度にも驚いてしまって、少し発言に困った。
「…じゃ、じゃあ、その仕事とやらに協力します…。終わったら帰りますから!」
「そ…その…」
「ん?」
「…いいえ、何にもないです。
大変、話してて面白かったです。ドッペルさん…覚えておきますね」
そう、言い。ドッペルさんはワープができる空間を作り、
「ここの中に入って歩いてください。そしたら、異世界に行けます」
と言った。私は、言われるがままにその空間に入った。
ドッペルさんは、微笑みながら手を振っていた…
【5章 髪の長いお姫様】
ワープを歩いていくと、だんだん、光が強くなっていきいつの間にか、それっぽいところについていた。その場所は、レンガで道が続いており、周りに花があって、目の前に巨大すぎる城があった。
その場で、大きな城を呆然と見ていたらある女性の声が聞こえた。
「あらあら、こんにちは」
私は驚き、声が聞こえる方へと振り向くと、髪色はピンクで髪が太ももくらいまであり、素敵なドレスを着た女性がいた。その女性は、とても美人で、まるでお姫様みたいだった。
【本当に、ここの世界で会わないといけない人がいるの?】
そんなことも思いつつ、こんにちはと返した。
「あのー、ここってどこなんですか?」
そうすると、女性は不思議そうな顔をした。
「この世界はクリスタルサンスターと言って、いろんな人たちが住んでいるところよ?」
その女性は身長が男性並みにあるから、目線がかなり上だった。正直怖い。
「よく、違う世界からいろんな人が来たりもするのよ、あなたもその1人よね」
「あっ…はい」
女性は安心した顔をして、
「そうよね〜。やっぱり見たことないもの」
と言った。喋り方で思ったが、やはりどこかのお姫様かもしれない…よし、質問してみよう。勇気を振り絞って言った。こんなこと聞いてもどうにもならないけど。
「質問聞いていいですか?」
「なになに?」
「そんなフリフリな服を着て、お嬢様口調で一体…何者なんですか?」
その人は困った顔をして言った。
「うーん…なんと言えばいいのだろう…。一様、この城の持ち主で勝手に姫扱いされてるって言えばいいのかしら...」
【私、今すごい人と話してる…】なんか…変な感じ。聞いてよかった…。
「ん?なんでそんな焦った顔してるの?」
「あっ…こんな大きな城の持ち主と話していていいのかなって…」
「所詮、この城の持ち主なだけで、そんないい実力はないわよ」
そう言った、その人は冷たい目をしていた。
その冷たい空気を紛らわすために、自己紹介をしようと私は決め、言った。
「そ、その、そう言えば!自己紹介してませんでしたね。私は、天野愛って言います。よ、よろしくお願いします!!!」
精一杯言った。少し恥ずかしながら。案外こういうの苦手。学校でも話すの下手だったし。
「そんな、気を使わなくていいわよ!私は、ラバード・バイオレット!ラバと呼んだらいいわ。よろしくね、愛!!!」
かなり、キメキメのドヤ顔でウインクをしてラバは自己紹介をした。きっと、自己紹介する時はいつもこうなんだろうと勝手に想像した。本当に仲良くできるのかな...。
「あら、もうこんな時間かぁ…。残念ながら、次会うのは明日になりそうね。じゃあ、また明日ね。城にお邪魔してもいいのよ」
そう言い、ラバは城の方向へと進んでいった。
ラバさんも大好きです。