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1.人生の終わりと始まり

みんなは転生するとしたらどう答えるかな?

 昼休み。それは学生にとっては放課後以外でとても賑わう時間。

 普通の休み時間より長いため、いろんな場所でお弁当を食べたり、何かの話題で友達と盛り上がったりしている。

 俺も高校に入ったらそんな生活を期待していた。

 しかし、現実は悲しいもので……

 入学してしばらくしたらいじめグループに目を付けられ、パシリ同然の扱いを俺は受けていた。

 しかも、そのグループのボスこと、荒神 昴(あらがみすばる)の家がヤクザのため、生徒はおろか、先生も強く言えない。

 息子ラブな父親を持つ彼にそんなことをすれば、何をされるかわかったもんじゃない。

 それを利用し、ボスは取り巻きと一緒に僕に色々命令してくる。

 今回は、購買で全員(計10人)のパンを俺の持ち金で買ってこいと高笑いしながら言ってきた。

 もちろん反論したかった。したかったけど、した後のことを思うと絶対親の方まで牙をむきそうで嫌だから、仕方なく言うとおりにするしかない。

 取り巻きの方は奴のことをよく思っていなく、こういうパシリのときは必ず後で謝りながら代金を渡してくる。

 いつも通り握り拳をしながら頷いて了承してから教室を出て購買へ向かう。

 あーあ……なんで俺が目を付けられたかな……?探せば気の弱いのとかいっぱいいるでしょうに。

 ブツブツと言いながら指示されたパンを買うが、人気商品であるカツサンドが買えなかった。

 これでまたグチグチ言ってくるんだろうな……食いたいなら昼休みじゃなくて早く言うか……ていうかテメェで行けって話だ。

 溜息を吐きながら教室に戻ろうとすると、後ろから肩をポンと叩かれた。


 「よ、狼地。またパシリ?」

 「あー、いつも通りな」


 俺、皇 狼地(すめらぎろうじ)声をかけてきたのは幼馴染の小鳥遊 翔太(たかなししょうた)

 成績は中の上で友達も多く、とても頼りになる。

 そして天然だ。

 そんな奴だからアイツはめんどくさそうで関わろうとしないらしい……つまり、この学校で唯一先生を差し置いて関わることのない存在だ。

 ちくしょう……うらやましい。

 

 「ほんと困るよな、あいつには」

 「まぁなぁ……いっそ、狼とか虎とかの猛獣として生まれたかったぜ。そうすればアイツを黙らせる事ができるんだけどな、物理的に」

 「おい……悪い顔で物騒なこと言うなよ……てか、それじゃお前は危険生物として射殺されんじゃね?」


 クックックッと笑ったら引かれ気味に言われた。

 ……うん、言われて思ったさ。

 でもな、あんな奴はいない方が世のため学校のためになると思ないか?

 ただでさえ、あいつのせいで楽しみにしていた高校での俺の昼休みが潰されてるってのに……

 まぁ……育った環境が悪かったんだから、そこは仕方ないっちゃ仕方ないんだけどよ。

 ブツブツ言いながら教室に戻るために階段を上ってたら、男子生徒が階段を駆け下りてきて、俺の前を歩いていた翔にぶつかってきた。


 「おっと、わりぃわりぃ」


 本当に悪いという感情が全く感じられない言葉だけのセリフ。

 ソイツがぶつかったせいで翔がバランスを崩し、真後ろにいた俺を巻き込んで落ちていく。

 俺は一瞬で悟った。

 これは、よくある記憶喪失や入れ替わりで済まず、死んでしまうと。

 つまり、俺が最後に見たのがあんな奴の驚いた顔なわけだ。

 ザマァないな。気を付けないで走るからお前は殺人という汚名を一生背負って生きていくことになるんだぜ?

 ……いや、もしかすると俺がさっき物騒なことを言ってしまったのが原因なのかもな?

 どちらにせよ、翔は単に巻き込まれて死んでしまうにか。

 てか、人生最後にやってたのがパシリとか……俺の人生は何だったんだろうな?

 ここまでで思考は約二秒。

 その直後に、頭に強烈な衝撃が走り、俺の意識はこの世から永遠に手放してしまった。




 

 ふと目を覚ましから起き上がってみると、そこはなんとも不思議な場所だった。

 下にはコンクリートの硬い床でもベッドか布団の上でもない……雲みたいなフワフワしたとこで、空は綺麗な青空をしていた。

 たしか、俺は翔太と一緒に階段から落ちたはずなんだけど……え、何ここ、天国?


 「うお!なんだここは!?」


 あ、翔太もここにいたのか。

 起き上がった状態で周りを見て、驚愕の表情をしている。

 俺に気が付いたからか、急いでこっちに駆け寄ってきた。


 「ろ、狼地!なんだよここ!?」

 「……俺がわかると思うか?」

 「……だよな」


 ほんとにどこなんだ、ここ?

 まぁ……死後の世界なのは間違いないな。


 「ハァーイ、お二人さん!アタシは女神のシャナっていうんだゾ!」


 ……なんかポップな幼女が現れた。

 俺達はあまりのことに二人してポカーンとしてしまった。

 え、何?今どっから現れた?ポンッて効果音が似合う現れ方をしなかったか?

 ていうか、自分で女神とか言ったぞ?

 ……スマン、正直頭が追いつかん。


 「よしよし、君は手品が得意なんだね。すごかったよ、瞬間移動マジック」

 

 そう言いながら自称女神の頭を撫でる翔太。

 ……天然は恐ろしい。

 今のを瞬間移動のマジックだと言い張るか。

 じゃあ、現在進行形で宙に浮いてるのはどう言うつもりだ?空中浮遊マジックとでも言うつもりか?


 「子供扱いしないでほしいんだゾ!アタシは女神なんだから!」

 「はいはい、わかったから暗くなる前に帰るんだよ?」

 「むぅー!死人のくせにしつこいゾ!」


 シャナと名乗る子が言い放った言葉でピタッと翔太の動きが止まった。

 シャナはその隙に少し上昇して、翔太の手が届かないとこまで避難したとこでニヤッとした。

 うわ、なんという悪い顔……


 「皇 狼地、小鳥遊 翔太……学校の階段からの転落死……ダサい死に方したねー」


 何だろう、子供に笑いながら言われるこの屈辱感は……まぁ、それは事実なわけだけど。

 だけど、言葉や文字にされたりするとこう……心へのダメージがな?


 「まぁまぁ、そんなに落ち込まないで。そんなあなた達に大チャーンス!」


 は、大チャンス?


 「これから君達に要望を聞くよ。その要望にできる限りお応えして転生させちゃうゾ!☆」

 

 はい?転生?

 それって小説とかでよくある別の生き物として再び生まれるってやつ?

 ……マジ?


 「え、ホントに転生できるの?」

 「もちのロン!」


 ……なぜだろう、ちょっと殴りたくなった。

 ちょっと怪しいけど、どうやら本気のようだ。

 しかし転生か……俺がなるのはただ一つ!


 「じゃあ猛獣にしてくれ!」

 「え?えっと……猛獣?」

 「猛獣」

 「おま……まだそんなこと言ってるのか?」


 トーゼンっしょ!

 どーせ同じ世界に生まれたら、何かの理由で出会っちまうかもしれないし。

 なら、猛獣になれば可能性は一気に減るだろう。動物園に連れてかれなければ。

 にしても……どんな姿になるのかな?狼か、虎か……はたまたライオンか。


 「猛獣……ねぇ……猛獣……ホントに猛獣でいいの?」

 「ああ」


 ん?今ニヤッとしたような?

 何だろう……なんだか嫌な予感がしてきたんだが?


 「それじゃ、そっちの子のも聞こうかな?」

 「いきなり聞かれてもな……人間であればなんでも」

 「えー!つまんないこと言うなぁ」


 口を尖らせて「ブー」とふてくされる自称女神。

 もっとマシなのはいないのか?

 女神っていうのはなんというかこう……髪が長くて白いローブ着てて、ニコッと優しい笑顔で語る姉ちゃんがお約束なんじゃないのか?

 ……ああ、ダメだ……まったく期待できん。


 「……よし、二人の希望はわかったゾ!それじゃ、特別なスキルをプレゼントするから、お互い新しい人生を楽しんでね!」


 いや、それよりまずはさっきのニヤッを説明してほしいんだが?

 そう思ったら俺達の足元に穴が開き、重力に逆らうことができず、まっすぐ落ちていく。

 ああ……なんか落ちてばっかだな、俺ら。

幼馴染も一緒に穴に落ちました

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