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朝陽のやつ、よろしくやってるだろうか…現在こちらは、とっても気まずい状況にあります…あの時は興奮しすぎて気づかなかったけど、同じ班に榊くんが居るのです。ええあの学年一のイケメンくんです。俺の存在感が…

聞くところ、綾瀬さんとは中学の時から一緒なんだって?もうこれお決まりルートじゃん…


「愛美さんお腹すいてないかい?」


「ううん、大丈夫だよ。けどそろそろお昼の時間だから、昼食の場所は今から決めておいた方がいいかもね。大門くんはなに食べたい?」


「え、俺?俺はラーメン食いたいっす!」


「あーラーメンか!いいね!私は賛成!」


「そ、そうか。なら僕も賛成かな。甲斐さんは?」


「私は何でもいいわ。それに、今私が意見を言ってもなにも変わらないでしょ?4人中三人の賛同を得てから残りの1人に、もちろん賛成だよね?感を出して聞いてくる意味ある?」


「「……………」」


「わ、悪い…今度からは気をつけるよ」


「 私が周りを見ずに張り切っちゃったから…気を悪くしてごめんなさい」


「ラーメン嫌いか?」


大門の空気を読まない発言に愛美と榊はより一層背筋を凍らせた。




ーーー ーーー ーーー ーーー



朝陽達E班は町の観光を楽しみながら和気藹々としていた。

時刻は丁度正午になろうとしていた。


「ねえ、そろそろお昼にしない?」


優美果の発言に三人とも賛成の意を表す。


「あ、私もそろそろお腹すいたな。もうお昼にしていいかもね」


「うん、時刻は11時54分…そうだね。丁度お昼時だ。一度休息を取ろうか!」


「いいと思う。この辺で有名な食べ物って何だろう?」


朝陽の問いに水上がここぞと言わんばかりに口を開く。


「この町は主に中国人観光客が多く、中華街が非常に有名なんだよね。特に、緑駅を出てすぐの繁華街にあるラーメン屋さんはとても繁盛しているよ。店名は風風亭だったかな」


( ( (さ、さすが水上くん…ちゃんと予習してきてる…!!) ) )


「じゃあそこにしようよ!せっかく来たんだし有名店に行きたいな〜」



こうして、E班は風風亭に向かうのであった。



ーーー ーーー ーーー ーーー



風風亭はとても繁盛している。だから4人席が空いていなく、2人席を二つ取ることになった。だが問題はそこじゃない。朝陽は男女で別れると思っていた。しかしどうも水上が須藤と一緒になりたかったらしく、それを察した優美果が気を利かせ、水上と須藤、優美果と朝陽になってしまったのだ。

それに、二組の席はかなり遠くへ離れてしまった。だから朝陽と優美果まさに2人きりなのだ。


「も、桃原さん!メニューどうする?」


「うーん…この風風味噌ラーメンか風風もやし大量ラーメンかで迷うんだよねぇ…うぅ…」


桃原さんはメニュー表を見ながら必死に考え込み、頭を抱える。思わず可愛いと思ってしまった。いや、下心はないんだぞ!?だって桃原さんは学年トップクラスの美貌の持ち主だもん。仕方ないじゃないか…


「あ、じゃあ俺が風風もやし大量ラーメンを食べるよ!それでそれを桃原さんに分けたら両方食べれるよね!」


朝陽の提案に優美果は目を丸くする。


「え、でもそれじゃあ南雲くんは自分が食べたいのを食べれないよ?そんなの申し訳ないからいいよ。でも、ありがとう」


そう言って笑顔を見せる。天使ではないだろうか…


「いやー実は俺もやし食べたかったんだよねーだから丁度良いかなって思ってさ。桃原さんが嫌ならいいんだとね?まあ同じクラスの男子が食べてるものを食べたくもないだろうし…」


「ううん!そんなことないよ。とても嬉しい!じゃあそうさせて貰おうかな」


朝陽は店員を呼び注文を済ませた。優美果とてもご機嫌な様子。

だが朝陽はラーメンが来るまでの間をどうするかで頭がいっぱいだった。その時、優美果が朝陽に話しかける。


「そういえば南雲くん、最近愛美とは上手くいってる?」


まさかの質問に朝陽は驚く。もしかして、愛美が何か言っていたのだろうか。


「上手くいくっていってもな…別に幼い頃からの馴染みだから、特になにもないな」


「そうなんだ。私さ、愛美とは小学四年生の時にテニスの大会で初めて会って、そこからライバルだと意識しながらも、愛美の家に遊びに行ったりして、凄く仲良くなったんだ。それで中学高校と同じ進学先で、今では親友だと思ってるの。もちろんテニスではライバルだけどね」


朝陽は黙って優美果の話を聞く。


「朝陽くんよりは一緒にいる期間は短いけど、愛美のことは他の人よりわかってるつもり。だから中学の時からずっと愛美に違和感を感じてるんだ。あれは中学二年ぐらいの時だっかな。普段は凄く笑顔で皆と話したり、本当、皆が愛美に好かれる理由がわかっちゃうような振る舞いをするの。完璧でいて、それでちゃんと周りに気を使って…」


それは朝陽もわかっていた。愛美は幼稚園のころから不思議と周りに人が集まる人間だった。いつどんな時でも皆に明るく振舞っていた。だから朝陽は徐々に愛美と距離が出来ている気がしたのだ。


「でも時々、悲しい表情を見せるの。多分それに気づいているのは私だけ。最初は、さすがの愛美でもこうやって皆に振る舞うことをストレスに感じてるのかなって思ったんだけど、どうも違う気がしてさ。そんな時にふと思い出したの。小学生のころ愛美と遊んでいる時に近所に住む少年の話をしていたのを。いつもその少年のことを話してたなー

しかもすっごく嬉しそうに。学校では見せない曇りがなく、太陽のように輝いた笑顔だったな」


小学生のころ、その頃はまだなんの隔たりもなく、朝陽の愛美は2人で遊ぶことが頻繁にあった。互いに家に招き、夕食を共にすることもあった。今思えばとても幸せなことだったと朝陽は懐かしい記憶に浸る。


「それでさ、中学一年のときに愛美が南雲くんと話をしているときに、あの時見せた、学校の誰にも魅せない太陽のような笑顔が見えたの。その時に、もしかしてあの少年なのかなって思った。でもそれ以降二度とその笑顔を見ることはなかった。その後は薄く雲がかかった月のような笑顔を見ることがほとんどだった。そして今も」


「そう、なんだ…」


「まあ、私がただ考えすぎてるだけかもしれないけどね〜」


優美果はそう言って届いたラーメンを受け取り、スープを飲んでから麺をすする。


「ただ、愛美は南雲くんといる時、とても幸せそうだったよ。これだけははっきり言えるね」


朝陽は麺をすすりながら黙り込んでしまう。


「アハハッラーメン食べながら重い話しちゃったね。ごめん」


「いや、全然気にしないでよ。桃原さんがそこまで愛美のことを考えてることを知れてよかった。良い友達持ったよな〜」


「フフッ南雲くんは愛美の親?」


「アハハ。今の発言だとそう捉えられちゃうのもありえるよね。あ、はい、もやしラーメン。これ分けようよ」


「あ、ほんとに良いんだ…ありがとう!じゃあ遠慮なくいただきまーす」


朝陽と優美果は互いに少しだけ打ち解けた気がした。

そう思いながら朝陽のラーメンから小皿に麺を分けてる優美果の元へある影が近づく。

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