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「やっとこの日が来たな!」


大門がいつも以上に元気な様子で話しかけてくる。大門だけでなく、周りの生徒たちも自然と笑顔が溢れている。


「なんだ、いつも以上に元気だな」


「当たり前だろ!こういうイベントの時に出会いがあるんだぜ。俺はこのオリエンテーションをきっかけに彼女を作りたいんだ…」


大門は目を輝かせながらそう言った。実際、すでに同学年にリア充は存在する。しかし、それは少数派だ。入学しておよそ二ヶ月ほどしか経っていないから当然と言えば当然である、


「彼女かぁ…居たら毎日が楽しいんだろうね…」


暗い表情をして朝陽は言った。


「なんでそんなに消極的なんだお前は…」


高校生ともなれば色恋沙汰に興味を持つのは当たり前だろう。だが、叶わない恋というものが存在するのだ。どれだけ頑張っても、手の届かない存在…





◯ ◯ ◯ ◯




天門高校一年生達は旅行バスに乗り現地へ向かう。朝陽は窓の外の景色を見ながら黄昏ていて、隣にいる大門は爆睡している。楽しみすぎて夜は眠れなかったのだろう。一方、愛美と優美果は談笑しながら現地に着くのを待っていた。




「みんな起きてー!到着したよ!バスを降りて、クラスごとに並ぶように!」


先生の号令で一斉に行動を始める。


開会式を終え、生徒たちは各々部屋へ向かい荷物を置いた後に広場へ集まる。

班ごとに整列するため、朝陽と大門は逸れている。

学年主任の横田先生がマイクを取り、生徒全員に呼びかける。


「では、今からオリエンテーション開会式を始めます」


長い説明が終わった後、班に分かれて準備をする。この後の予定はこの町周辺の観光である。



「じゃあな朝陽!班は違うけど楽しもうぜ!」


「うん。くれぐれも羽目を外さないように…」


「なんで俺がお前に問題児扱いされてんだよ…お前こそ、この前の食堂の時みたいに、女子のお尻触ったりするなよ?」


「お、おい!あんまそういうこと言うなよ。あれは不可抗力なんだって…」


「ハハッ それじゃーな」


二人は各自の班へ向かった。




「えっと、俺はE班か。確か水道前に集まるんだっけ」


朝陽は周りをキョロキョロしながら集合場所へ向かう。


「あ、南雲くん!こっちだよ!」


眼鏡をかけたインテリ系男子が朝陽に声をかけた。


「待たせてごめん。ちょっと道に迷っちゃってさ」


「気にする必要はないさ!時間はたっぷりあるんだからね!」


その隣にいた女子が口を開ける。


「えっと、私みんなとあまり話したことがないから軽く自己紹介とかしない?」


「うん、確かに。同じクラスとはいえ、まだ入学して一ヶ月ほど、今回のオリエンテーションは、同級生達と交流を深めるって言うのがメインだからね。それは賛成だ」


いかにも真面目系男子である。


「じゃあ早速僕から行くよ。僕の名前は水上真。部活は数学部に所属してます。高校での目標は東大寺大学に行くこと!日本一の大学で勉学をより深く追求して行きたいと思っているよ!」


「あ…じゃあ次は私ね。私は須藤奈々子。部活は写真部です。何気ないものを美しく撮ることが目標…かな…」


須藤は人見知りなのか、少し顔を赤らめなが言った。


「うん、とてもすばらしいね!写真に対してとても熱い気持ちが伝わってくるよ…!」


水上は一人で頷きながら、とても感心している。


「みんなすごいなー。じゃあ次は私でいいかな?私は桃原優美果!部活はテニス部です!高校生活の目標はもちろんインターハイ優勝!みんなよろしくね!」


思わず周りの人間を幸せにしてしまいそうな笑顔を作り二人を見惚れさせた。


「なんか凄くやり辛いけど、じゃあ自己紹介するね…俺は南雲朝陽。部活は帰宅部です。高校生活の目標は人の役に立つ事です。それが俺に出来る唯一のことかなって思うから。


えっと、それくらいかな」


「うん、人の役に立つか…素晴らしい。他人のために行動することはとても大変だ。その信念、見習おう。」


水上はかけている眼鏡を少し上にずらしながら感想を述べた。


「それじゃ、早速出発しようか!」







◯ ◯ ◯ ◯


俺たちE班は水上を筆頭に町中を観光している。水上と須藤は気が合うのか、結構二人で話すところを見る。幸せそうだ。


「ねえねえ、南雲くん」


「え?あ、なに?桃原さん」


「南雲くんさ、西條先輩と仲良いよね」


「そ、そうかな?そんなに親しくしている感じないと思うんだけど…」


「私からすると凄く仲良いように見えるよ!西條先輩が男子と仲良くしているところあまり見ないから余計に!」


「そうですか…まあ俺はあの人に弄ばれているような気がするけどね…」


「ふふっそういうところ、南雲くんらしいかも」


実際、あの部活動体験以来、西條先輩とまともに話していない。だから決して仲が良いわけではない。南雲くんらしい…まるで俺のことを知っているようだ。と思ったけど中学の時愛美といつも一緒に居たから多少俺のことを認知しているのは当たり前か。



「ていうかさ、結構あの二人いい感じだと思わない?」


「ああ、うん。そうだね。結構気が合ってるように見えるよ」


「だよね〜やっぱりこう言う時に仲良くなる男女って年代問わずいる気がするなぁ(笑)」


桃原さんの発言を聞いて、大門の顔が浮かんでしまった。どうしてるかな。大門のヤツ…


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