初めての魔法
川に流されていた聖を助けたフリュはリア村の村長であった。見た目は高校生くらいの身長のフリュだが、実際の年齢は聖より年上の46歳らしい。といっても魔族であるフリュは人間と比べて寿命が長く人間換算で20歳ほどらしい。それでも聖より年上なのだが。
しかし、人間換算でも20歳の村長というのは中々に若い。一体どうしてなのだろうか。
「なあ、フリュいやフリュさんとかって言ったほうがいいのか?何でその歳で村長に?俺の住んでたところでは村長ポジションの人たちは若くても40とかだったんだけど。」
聖に問いかけられたフリュは何か書類の書く手を止めて答えた。
「ああ、フリュで構わないよアキラ。まあ、私は少し特殊でねえ。元々父さんがこの村の村長だったんだけど、戦争に行って戦死したんだよ。で、娘の私が父さんに代わって村長を務めることになったのさ。」
「それは、そのごめん嫌なこと思い出させちゃったかな?」
「いや、大丈夫だよ。戦争に行くってなったときに覚悟はしてたしね。」
「そうか…でも戦争って、ここの村は人間と魔族の戦争に反対してたから出来た村なんだよね?」
「それは、そうなんだけどね…アキラ何も戦争は異種間の中だけで起こるものじゃないんだよ、魔族同士の戦争もあったんだよ。」
「どうしてそんなことに?」
「さっきアキラが言った通りこの村は魔族と人間の争いに反対してできた村だ。でもほかの魔族は魔王様と共に戦わないなんて何事だと争いになってしまったんだよ…皮肉なもんだよ争いが嫌だから離脱したはずなのに争うことになるなんてね、しかも同族同士でさ…」
「それは…」
「ああ、やめだやめ!こんな話したってアキラには関係のない話だしもう終わったことだ、気にすんな。」
「フリュがそう言うなら、分かったこの話はやめにしようか…で、俺は一体どうしたらいい?正直ここに俺がどうやってやってきたのか全く覚えていないんだ。まあ、予測はつくんだけど。」
「んー、やっぱり記憶がないっぽいのか?」
「そうだな、あんまり覚えてない。特にここに来た理由とか原因にも思い辺りがないし…どうしたものか。」
「まあ、この村にいる限りは保護してやることも可能だよ。もちろんただでって言うわけにはいかないけどな。」
「いや、ありがたいよ。もしかしたらフリュじゃない魔族にあってたら殺されてたかもしれないんだしな。」
そうだ、ここはどうやら異世界のようだ俄には信じられないがこうやって話を聞いた限り日本のことも知らないなんてのはあっちじゃあまり考えられない。それにまだフリュ以外には見ていないが魔族もいるようだし…ん?待てよ?
「ちょっと、フリュ今思ったけどこの村今、お前以外に魔族はいるのか?ここに来てからほかの魔族を目撃しないんだが…」
「ああ、それならもうすぐ帰って…ほら噂をすればなんとやらってやつだ、外を見て見な。」
俺はフリュに言われて外を見ると何やら人だかりが森の中からでてきた。そしてその集団が持ちあげているのは、豚?しかしあれほどの大きさの豚もはや化け物だぞ?
「フリュあれは一体…」
「ああ、今日は特別な日でな。この村には魔族といっても色んな人種がいるんだ。その中でもアマゾネスって言う種族がいるんだがな、誰かが成人するときにはああやって狩りをして皆で祝うという習慣があるんだ。私はちょっと村長ということもあって参加はしてなかったんだが、雑務にも飽きてなちょっと釣りでもしてたらお前が流れてきたんだよ。」
「なるほどねえ。で、不思議なのがあのでかさの豚がいることにも驚愕なんだが、どうやって持ってんのアレ。」
「ああ、そんなこと単純だよ。魔法を使っているだけさ。こう風魔法でヒョイっとね。こんなふうに。」
フリュが徐に近くにあった本を魔法で浮かし本棚にそれを収納した。
「おお!すげえ、魔法じゃないか!」
「何だか魔法を見たことがないような反応だねアキラ?」
「だって魔法だぜ魔法!すげえじゃん俺も使いてえ!」
「いいとこの出のふくそうしてるくせして魔法を使ったことがない。おかしいね、どうしてなんだい?」
「んー、俺の住んでたとこでは魔法なんかオカルトで科学技術が進んでたよ!そんな事より感動で鳥肌が止まらない!」
しばし時を忘れ魔法に感動するアキラであった。
誤字脱字ありましたらご報告をお願いします。次回更新は5月10日を予定しております。




