表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚が多すぎて女神様がぶちギレました【連載版】  作者: 湯立向日/ガタガタ震えて立ち向かう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/532

結婚式のサプライズは大抵失敗する

 ガルディア王国。

 隣のメルディア王国の姉妹国であり、たまに作者もうっかり名前を間違えてつっこみをくらう国ですが、現王であるリチャード陛下は当初こそ盆暗と陰口を叩かれていたものの、最近では名君として民に称えられています。

 リチャード陛下がそんな変化を遂げたのは、愛妻である王妃様の功績であることは広く周知されていますが、その王妃様が現在絶賛お怒り中でした。

 どれくらいお怒りかというと「失礼します」とドアを開けた文官がシンキングタイムゼロで「失礼しました」と即座に閉めるほどです。

 まるで「邪魔するんなら帰ってー」と言われた芸人のようです。


「で? 何で隠してた?」

「えーそれはだな……」


 床に正座させられている王様と、その前で仁王立ちしている王妃様。完全に目が据わっています。

 腕組みをしたその左手の先には、フィッツガルドの皇帝陛下からの書簡。

 例の「うちの勇者異世界の門開けるかも! やっべー! どうしよう!?」と書かれた書簡です。


「日本についての会議。私の故郷の会議だろ? 何で私に内緒にする!?」

「い、いや、話すつもりはあったんだ」

「じゃあ何故隠した!?」

「だ、だから……」


 王妃様に詰問され、しどろもどろな王様。

 まるで浮気がバレたお父さんのようです。


「……と思った」

「何だって?」

「……おまえが帰ってしまうと思ったんだ!」


 王妃様に聞き返されて、半ば自棄に叫ぶ王様。

 どうやら日本への移動方法が確立されてしまったら、王妃様に逃げられると思ったようです。

 さすがみんなの期待を裏切らないヘタレです。


「は? そんなの当たり前だろ」

「グハァッ!?」


 当たり前だろボケェと言われて胸を押さえて後ろに倒れ込む王様。

 足は正座したままなので筋肉がすっごいストレッチされています。


「ただでさえ親を結婚式に呼べなかったんだぞ? 報告くらいしたいだろうが。孫が産まれたら見せてやりたいし」

「……え?」


 しかし予想外の反応に復活し状態を起こす王様。

 腹筋を利用してぐにゃりと起き上がるその様は実にキモイです。


「……戻ってくるのか?」

「当たり前だろうが!? おまえ私をどんだけ薄情な女だと思ってんだ!?」


 夫が自分をまったく信じていなかったと知り、しゃがみこんでからのアッパーを顎に叩き込む王妃様。

 かち上げられた王様が某セイントのように吹っ飛びました。

 ここでその某セイントの歌詞を入れようと思ったのですが、某著作権団体が恐いのでやめときます。

 聖○士☆矢ー!


「そうか! そうだな! よし! フィッツガルドに妻も出席すると返事をしなければ」


 そして殴られたのも気にせずに、上機嫌で返信準備をする王様。

 流石の立ち直りっぷりです。


「まったく。いつも強引なくせに何でこういう時はヘタレなんだ」

「それだけ王妃様を愛しているということでしょう」


 王妃様の愚痴に苦笑しながら答える文官。

 一連の騒動を当たり前のように流しているあたり、この文官も中々いい度胸をしています。


「しかし日本への門が開くなら、シーナ殿下とも再会できるということに気付いていなさそうですね」

「言うな。気付いたらさらにいらん騒ぎになる」


 そううんざりとした様子で言う王妃様ですが、その可能性よりも先に王妃様に逃げられることを心配するあたり、王様のシスコンも以前よりは沈静化しているようです。


「しかしシーナ王女って日本の総理大臣と交際してるとかいう噂があったらしいからな。今頃結婚してるんじゃないか?」

「ハハ。そうなったら陛下が向こうの大臣に一騎打ちを申し込んでしまいますね」


 そう言って笑う二人ですが、シーナさんの安達くんへの惚れっぷりを考えると、割と洒落になっていません。

 でも相手は安達くんなので、一騎打ちを申し込まれても普通に互角に戦いそうです。


 今日も異世界は平和です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらの作品もよろしくお願いします。

スライムが倒せない
 とある田舎の村の少年レオンハルトは「冒険の旅に出たい」という夢を持っている。
そのため手始めに村の近くに出没したスライムで魔物との戦いの経験をつもうとしたのだが……。
コメディーです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ