こなくそが方言だと知り衝撃を受ける
「イサオが餅を喉につまらせないか毎年心配になるのですが」
「まあ死ぬときは死ぬので仕方ありませんね」
「なんで食事にそんな覚悟決まってるんですか日本人」
ケロス共和国のとある村にて。
鏡開かれてお汁粉になった鏡餅を食べながら言うフィデスさんと、死ぬときは死ぬと開き直ってるイサオさん。
実際みんな歳食って危険だと言われても食いたがるからね。小さく切り分けるとかしてマジで気を付けようね。
ちなみに餅をお汁粉にするかお雑煮にするかで意見が分かれましたが、料理担当のイネルティアさんによってお汁粉が押し通されました。
「まあ毒があると分かってるもんも、なんとかして食おうとするからな」
「おまえはむしろ何でその体で餅が何個も中に入っていくんだよ」
日本人の食に対する執念を語るスクナヒコナ様と、その小さな体で餅何個も食ってどこに行ってんだと疑問に思うサロスくん。
スクナヒコナ様の胃袋が異次元なのは今更なのでつっこむだけ無駄です。
「そういえば2月にも餅を使った料理を食べる行事があると聞いたのですが」
「ああ、もしや涅槃会ですかね。旧暦の2月15日に行われるお釈迦様が入滅されたことを追悼報恩するための行事なので、エルフの皆さんには関係ないかと」
「……そうですか」
「いやどんだけ餅食いたいんだよイネルティアの姉ちゃん」
イサオさんの説明を聞いてあからさまに落ち込むイネルティアさんと、理由つけて餅食いたいだけかよと呆れるサロスくん。
でもそれを言ったら鏡餅と鏡開きも関係ないのではとか言ってはいけません。
「涅槃会では鏡餅をあられにした花供曽と呼ばれる菓子を供物にしますが、別にあられなら好きに食べればいいかと」
「そりゃそうだ」
「ちなみに花供曽は鼻くそと発音が同じなので『お釈迦さまのハナクソ』と呼ばれて親しまれています」
「それは親しまれているのですか?」
あんまりな呼び名に本当に親しまれてるのかと首を傾げるフィデスさん。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「そういえば今年の元旦は不成就日だったから、初詣は控えた方が良かったみたいな話を聞いた覚えがあるんだけど」
「確かに不成就日ではありましたが、仮にそれに問題があるなら日本人の大多数が問題になりますよ」
「それはそう」
かなりの人が元旦に初詣に行くからね。
なお初詣は松の内(門松を飾る期間)の間に行けばセーフとされていますが、その松の内は地域によって7日のところと15日のところがあります。
ついでに多くの場合鏡開きは松の内の後に行われるので、鏡開きの時期も松の内と一緒に地域ごとにズレます。
「あと不成就日は陰陽五行思想由来のものともされるので、神道や仏教には関係ないという考えもありますね」
「そんな良いとこどりみたいな」
なお忌中の初詣についても、神道では死が穢れとされるため避けた方が良いのに対し、仏教では別にんなことはないので普通にお寺への初詣はして良かったりします。
「あー仏教は死に寛容というか、生死に対する哲学みたいな感じあるよね」
「仏教自体がインド哲学から生まれたとも言えますし、仏教哲学というものもありますからね」
お坊さんの説法って真面目に聞くと結構面白いよね。
今日も高天原は平和です。




