前の職場で明らかに室内にコオロギが棲みついて鳴いてた
「そういえばこの国って虫が少ないわよねえ。やっぱり涼しい地域だからかしら」
「虫?」
メルディア王国の王宮内にて。
いつもの警備巡回を行っている最中に中庭を見ながら言うオネエと、何故虫の話になるのかと首を傾げるグレイス。
ちなみに暑すぎると蚊が死ぬというのは嘘ですが、適温を越えると活動が鈍くなり日陰などに逃げ込みます。
そして主に外に居るやぶ蚊などは34度くらいまでは普通に活動するので、調子に乗ってのっぱらとかに突撃したら刺されまくる可能性はあります。
「虫なら蝶や蜂などがそれこそ中庭を飛んでいるのをたまに見かけるが」
「いやそういう益虫じゃなくて、不快害虫とか呼ばれてるゴ〇ブリとか大きな蜘蛛とか」
「ゴ〇ブリ?」
「うっそでしょう」
グレイスの反応的にどうやらメルディア王国にはGがいないらしく驚愕すると同時に、そういえば今まで屋敷の台所ですら見なかったようなと思い返すオネエ。
メルディア王国に引っ越してえ。
「いくら冬は寒くなるからってそんな北海道みたいな……。いえ、そういえばこっちには常時稼働してる家電製品とか暖房なんてないものね。仮に入ってきても冬を越せる個体がまずいないのかしら」
ちなみに実際のところ北海道にはG自体は生息していますし、都市化や温暖化の影響で生息域を広げてすらいます。
人間が快適に生活しようとすれば奴らもついてくるのです。
「しかしその虫はそんなに恐ろしいのか?」
「いえ恐ろしいと言えばそうなんだけど、先入観がないとコオロギとかと変わらないかもしれないわね」
実際Gが居ない地域に住んでいた人が、引っ越し先で初めて見たGを無邪気に捕獲してみることなどもある模様。
でも苦手な人は初めて見ても普通に苦手です。
「では何故そんなに嫌われるのだ?」
「不快だから」
客観的に聞くと理不尽だけど実際不快だからね。仕方ないね。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「秋になると収穫が終わった田んぼの積み重なった草の中とかでめっちゃコオロギとかスズムシが鳴いてるよねえ。あれ草まくったら大量に飛び出してくるのかな」
「飛び出しては来ないかもしれませんが、虫が苦手ならやめておいた方がいいでしょうね」
ちなみに自衛隊は定期的に山の中で演習をしていますが、夏や秋ごろだと匍匐前進してる最中の草むらから色んな虫や爬虫類などが飛び出してきます。
でも女性自衛官も無言で突き進んでたからプロ意識って凄いね。
「そういや虫の声を楽しめるのは日本人特有で、他の国だと騒音に聞こえるって聞くけど」
「ああ、それは厳密に証明した研究はありませんし、そもそも海外にも虫の声を楽しむ詩などはありますので、都市伝説に近いかと」
「マジかよ」
定説のように語られていたことが怪しいと知り驚くアマテラス様。
例えばコオロギを飼って鳴き声を楽しむ文化は古代ギリシャをはじめとした西洋にもあったとされていますし、中国の古書などにもコオロギの鳴き声を題材にしたものがあります。
「中国では手のひらサイズの小さな虫かごに、虫を一匹だけ入れて持ち歩くこともあったそうですね。これは単に虫の声を楽しむ以外にも、虫同士を戦わせる娯楽があったためらしいですが」
「リアルでム〇キングを!?」
まあ虫を戦わせる文化自体は各地にあるし。
カブトムシやクワガタ飼ってる虫かごって独特の匂いがするよね。
「あと平安時代頃まではコオロギをキリギリスと呼んでいたようですね」
「何で?」
軽く調べたけど諸説あってマジで分からん。
今日も高天原は平和です。




