金属の板を覆うように土嚢を積んだりもする
「洪水に備えて土嚢を積む練習をしてみんか?」
「またこのおっさんは思い付きで変なこと始める」
安達家のリビングにて。
スマホで何かの動画を見て案の定影響を受けてるグライオスさんと、相手が元皇帝だとか関係なく完全に遠慮がなくなってきているカガトくん。
なお後でこのことを聞いた安達くんが「私にももっと気楽に接してくれて構わないのですがねえ」とちょっと寂しそうにしている様子が目撃されることに。
安達くんグライオスさんみたいに面倒くさいおっさんじゃないからね。仕方ないね。
でも別の意味で面倒くさいな!
「大体土嚢で洪水がどうにかなるんですか?」
「洪水の規模にもよるが、浅いものなら建物の入り口や門などの塀の切れ目を土嚢で防げば水の侵入を防げることもあるらしいぞ」
「それ塀より高くなったら結局意味ないやつじゃないですか」
そんな規模の洪水滅多に起きないから……。
なお地域によっては自治体などが緊急用の土嚢を配布しているところもあります。
また土嚢がない場合は水を入れたビニールを積めば、勝手に隙間を埋めるように変形してくれるので効率的に浸水を防ぐ壁を築けたりします。
しかしそのままだと破れたら大惨事になるので、ダンボールやビニールシートなどで包むとより効果的です。
「じゃあ土嚢なら隙間ができてそこから浸水するんじゃないですか」
「ああ。だがこの自衛隊が築いた土嚢の壁を見てみろ」
「綺麗すぎて逆にキモイ」
自衛隊の積んだ城の石垣みたいな配列の土嚢を見て正直すぎる感想を口にするカガトくん。
いや、やってみたら案外簡単だから……。
「この芸術的とすら言える土嚢の壁。自分でもやってみたいとは思わぬか!」
「思いません」
なんか握りこぶしで力説してるグライオスさんにクールに返すカガトくん。
カガトくんインドアだからね。仕方ないね。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「実際あんな無駄に綺麗に土嚢積んで意味あるの?」
「ありますよ」
「あるんだ!?」
いつもの日本人特有の無駄な拘りかと思ったら、ちゃんと意味があると答えるツクヨミ様と驚くアマテラス様。
意味があるので陸上自衛隊では訓練で何度も土嚢を作っては解体して、また積み直してを繰り返すのです。
炎天下で土遊びするの楽しいな!(ヤケ
「洪水対策としてはというのは置いといて、軍で何のために土嚢を積むかと言えば、銃弾などを防ぐためですからね。大雑把に積み重ねるよりは、均等に隙間なく積んだ方が少しではあっても銃弾などが貫通する可能性は減らせます」
「あー命に関わるならコンマ数パーセントでも確率は下げたいよね」
でも実際土嚢を石垣みたいに積むのは自衛隊くらいなので、実戦で急いでるときにはそんなこと言ってられないのかもしれません。
じ、自衛隊は防戦が主で準備に力を入れまくるから……。
「まあ平らな板で形を整えては積むを繰り返すので、時間は余計にかかるでしょうからね」
「アレ叩いて整えてるんだ」
部隊にもよりますが、土嚢を叩く用に取っ手のついた板が備品として常備されてることもあります。
土嚢を叩く用の取っ手のついた板ってなんだよ。
「それ何か他の常備品で代用できないの」
「平らな面のある装備は中々なさそうですねえ」
他にも水をかき出すために使う鍋みたいなサイズのでっかい柄杓など、普段見ると「これ何に使うんですか?」という備品が自衛隊にはたくさんあるぞ!
備えあれば憂いなしだね。
「一時期災害派遣に来た自衛官が雑魚寝しているのが問題になっていましたが、普通に毛布やマットなどは常備されていますし、そもそも隊員一人一人に寝袋が配布されていますからね」
「じゃあなんで使わないの」
いや別になくても変なとこで寝るのは演習で慣れてるし、緊急出動するのに荷物多すぎるのもなんだかなって……。
自衛隊に入ると気付かないうちにマゾになっている可能性があるので気を付けよう!
今日も高天原は平和です。