英語と漢字を混ぜると日中間で筆談しやすいと話題に
「そういえば魔王様は節分に豆をまかないのか?」
「鬼から豆まかないのか聞かれるてどないな状況やねん」
魔王城にて。
お猫様情報網により集まった情報を知らせに来たついでになんか言い出したグラウゼさんと、このおっさん隠居すると言いながら娘より働いてないかと疑問に思う魔王様。
ミラーカさんも仕事はちゃんとしているけど、魔王様にいらんちょっかい出すせいで暇そうに見えるからね。仕方ないね。
「吸血鬼は別に鬼ではないぞ。日本人が勝手に鬼の漢字を使っただけだろう」
「それはそうやけど、何で漢字にまで精通しとんねん」
ちなみに吸血鬼は和製漢語とされていますが、中国にも輸入されているので中国人にも吸血鬼で通じるそうです。
「まあそもそも節分で追い払う鬼って、いわゆる角生えた鬼じゃなくて邪気とか病気の類のことらしいしなあ。別に豆まいたくらいで吸血鬼に効くわけないか」
「いや効くぞ」
「効くの!?」
豆は魔滅を意味するという説もあるし、豆をまくという行為がある種の神事みたいになってるからね。
信じる者はデ〇ルメイクライです。
「ええ……じゃあなんで自分からそんなこと言い出したん?」
「日々忙しいので魔王様の故郷の行事をやった方が気も晴れるのでは思ったのだが」
「クリスマスのときといい、なんでその気遣いを幹部連中はもってないんや」
デュラハンさんとかは割と気遣いできるタイプだから……。
なおサイクロプスさん。
今日も魔界は平和です。
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一方高天原。
「そういや鬼って元々は怨霊とか疫神みたいな目に見えない存在のことだっけ。いつごろからマッチョなおっさんになったんだろう」
「別にマッチョは必須事項ではないと思いますが」
でも金棒とか振り回すし……。
なおアマテラス様も言っている怨霊的な鬼のイメージは元は中国から伝わったものであり、つまりは現代の日本人がイメージする半裸マッチョな鬼は中国人には通じません。
なので「鬼に金棒」というのも日本生まれの諺であり、中国語で似た意味の言葉は「虎に翼」というものになります。
「あー中国語だと『鬼』って完璧に悪口になるんだっけ。日本だと良い意味に使われることもあるけど」
「武将などの異名に使われることが多いですね」
なおそのせいで中国人がネットなどで「日本鬼子」と日本人を罵った際、その悪口っぷりが伝わらず「なにそれカッコいい」となった模様。
他にも「小日本」と罵っても「確かに日本は小さいな」と納得されてしまうので、どうやって罵れば通じるんだと中国人も困惑したそうです。
使ってる文字は同じなのに言葉の壁って難しいね。
「そもそも日本語って罵倒語が他の言語に比べて少ないらしいし、もっとストレートじゃないと通じないのでは」
「ストレートすぎるとそれはそれで子供の喧嘩みたいですからね」
むしろ日本人は極端から極端に走る傾向があるので、海外の罵倒のニュアンスを完全に理解したら最初からフルスロットルでぶちギレそう。
今日も高天原は平和です。