やはりたまにサボるのが続ける秘訣……
「年末は配送が遅れ気味であったが、新年になっていつも通りに戻ってきたな」
「なんで年末年始まで通販で物頼んでんですか」
安達家のリビングにて。
注文していたイノシシカレーが届きほくほく顔で言うグライオスさんと、どっからそんなもん知ってきて買うんだと呆れ顔のカガトくん。
年末はお歳暮商戦が終わっても、新年のおせち料理や材料のかまぼこなどが運送会社経由で運ばれるので、時給が良いのにつられて荷物仕分けのバイトとかに行ったらえらい目にあうよ!
「まあしかし数年前と比べれば全体的に遅くなっているのが気になるな。2024年問題とやらの影響は大きいようだ」
「あー長距離ドライバーとかの残業とかが厳しくなったんでしたっけ。一般人にはそれこそ通販くらいしか関係なさそうですけど」
「何を言う! 大いに関係あるぞ」
自分関係ないしーとぶっちゃけるカガト君に、めっちゃ関係あるわと声をあげるグライオスさん。
カガトくん高校生な上に理系だからね。物流とかよく分からないよね。
「そこらの店に並んでいる商品だって輸送されてくるのだ。加えて以前から担い手不足と言われていた運送ドライバーのさらなる離職に繋がりかねないとされていたのが2024年問題。幸い今のところは影響は少ないが、このまま悪化していけば最悪『商品はあるのに店まで運べない』などということも起きかねないのだぞ」
「そこまで!?」
大袈裟だと思われるかもしれませんが、割とマジです。
そうでなくとも運送コストの増加は物価の上昇にも影響を与えます。
「というか何でグライオスさんそんなことに詳しいんですか」
「わしを誰だと思っておる。元フィッツガルド帝国皇帝だぞ。物資の輸送は戦はもちろん平時でも頭痛の種であったわ」
「……あー」
アンタそのあたり全部丸投げせずに自分でも考えてたんだという言葉は飲み込んだカガトくん。
常にデンケンさんとかインハルト侯がそばにいるわけじゃないからね。しかもグライオスさん帝位を継いだ後に内乱が起きて、最初は味方が圧倒的に少ない状況で戦ってたからね。
「じゃあどうすれば以前のように戻るんですか?」
「それができたら苦労せんな」
残業時間の規制自体は真っ当なことだからね。仕方ないね。
なおそこから起きる問題への対処法。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「前回の更新で500話だった上に10周年らしいよ」
「メタな発言はお控えください」
読者に言われるまで気付かなかった作者の心の声を代弁するアマテラス様と、よくこんなもんが十年も続いたなとちょっと呆れてるツクヨミ様。
なお以前この作品の書籍版を中学生のときに買いましたという報告をもらいましたが、その報告者が既に社会人だと知り地味にダメージを受けました。
「というか運送業界そんな大変なんだ。ニュースでやってたのはちょろっと見た記憶はあるけど」
「まあそもそも少子化などの影響で、ドライバーどころかあらゆる業界が人手不足ですからね」
どれくらい人手不足かというと、十数年前は「おまえらの代わりなんていくらでもいるんだからな!」と言っていた上司が「辞めないでください」と頭を下げ始めるレベルです。
氷河期世代から怨嗟の声が聞こえてきそうです。
「まあ私は通販が届くのが少し遅れるくらいは気にしないけど」
「気にしなさ過ぎてたまに取りに行くの忘れそうになっていますよね」
なお高天原には人類では宅配便は届けられないので、アマテラス様が通販を利用するときなどは適当な宅配ロッカーを指定して届けてもらい、タヂカラオ様などに取りに行ってもらっています。
宅配ロッカーに入らないような大きい荷物は、営業所止めと言って各宅配会社の営業所に置いてもらい自分で受け取りに行く方法もあるよ!
「アレってずっと受け取りに行かないとどうなるの?」
「管理会社にもよると思いますが、宅配ロッカーなどは期日までに受け取りに行かないと、自動的に返品になりお金も戻ってきますね」
「マジで!? 各所に凄い迷惑すぎて、お金まるごと戻ってくるのが申し訳なくなるじゃん」
そうだね。だから頼んだものはちゃんと受け取りに行こうね。
「普通はそうなる前に催促のメールが届くと思いますが」
「……パソコンのメールってうっかり見るの忘れたりしない?」
「しません」
言い訳をするアマテラス様を一刀両断するツクヨミ様。
でも某密林ってスパム多すぎてたまに本物すら怪しく見えてくるよね。
「いっそタヂカラオの端末に姉上のメールソフトを同期しておきましょうか」
「それ通販関係ないメールも見られるじゃん!?」
タヂカラオ様なら筋肉紳士なので関係ないメールは見ない……はず。
今日も高天原は平和です。